DFに転向したアタッカーの周辺をウロウロと…2012年シーズンのJリーグを振り返る・選手の群像

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小森田友明に日本サッカーの未来を・・・ムリに見ようとする[町田vs北九州(05月03日)]

この試合を見ていて、ちょいとビックラこいたのが、CBに入っていた小森田。

この選手が近年はCBで起用されているということは、なんとなく知っていたのですが、背番号が「3」なんですね。もはや完全にDF扱いじゃないですか。小森田といえば、最初はトップ下とか、場合によってはFWとかが中心で、「そういうタイプの割には…」って感じでボランチもやっていた。いずれにせよセンターラインで攻撃を司るプレーヤーだったかと思うんですけど、気づけばいまやDF。

ということは、最初からDFをしていれば、今頃、今野や森重みたいな足元のシッカリした現代型CBになっていたかもしれない。

ただ、世代的に、まだ彼が小学生の頃って「キャプテン翼主義」が横行していたんですよね。そのチームで一番上手いヤツは、その選手の適性云々はさておいて、とりあえず10番の司令塔。市川大祐が清水ユースで圧倒的に上手いにも関わらず、SBとして育てられたことは、その当時としては、かなり画期的な出来事でした。

そう考えると小森田が10番タイプのプレーヤーとしてキャリアを積んできたのも時代の趨勢として自然なことですし、ひょっとしたら、彼にとって必ずしも最適ではなかったかもしれないポジションのままプロになったとしたら、それは凄いことですよね。

ただ、それだけに、彼が10年遅れて生まれてきていたら、どうだったんだろうって気持ちも抑えられないわけで。と言いますのも、「180cmを越えて、足元もチーム随一」って選手は現在「トップ下もできるボランチ」みたいな感じで育てられることが多いと思うのですが、そういう選手が、なんのためらいもなくCBとして育てられるようになって初めて日本サッカーは世界と渡り合えるようになると思うのですね。・・・まぁ、そんな彼も戦力外になっちゃいましたけど。。。

■宮澤に日本サッカーの未来を・・・ムリに見ようとする[FC東京vs札幌(10月27日)]

この試合は17時00分キックオフだったのですが、その直前、三鷹で13時00分キックオフの横河武蔵野FCの試合を見ておりました。横河の10番は金守選手。この日はボランチでしたが、本来はDFの選手ですよね。そんな選手が10番を付けている。ちなみに、たぶん兄弟だと思いますが、何年か前まで愛媛FCにも金守というDFがいて、この選手も一時期10番を付けていました。兄弟揃ってDFながらチームの10番を背負っていたとしたら、地味ながら、これはなかなか日本サッカー史上に残るレアケースなのではないかと。

そして、この試合、札幌の10番もCBで出場していました。そうですね、宮澤選手ですね。この選手は高校時代は世代屈指のFWとして高体連サッカーを牽引したのですが、いまやコンサドーレでCBを務めている。

FW出身のCBといえば、盛田選手や増川選手、さらには巻弟など、ボチボチいないでもないですが宮澤選手の凄いところは、CFをそのままCBにコンバートしたのではなく、トップ下→ボランチ→CBと順番にポジションを下げていったところ。先に取り上げた小森田パターン。中盤でも十分にやっていけるだけの足技があって、かつ守備の強さもあり、その上、高さもそれなりってわけです。こういうタイプってアルゼンチンだったかスペインだったかの方面では例があったような気がしないでもないですが、日本で極めて稀なケースですよね。

なので、この試合の札幌のシステムは、かなり流動的でした。宮澤選手がパスカットしたり、セットプレーで攻め残り、芳賀選手とポジションチェンジの上、ずっと中盤に上がりっぱなしになるなんて日常茶飯事。場合によっては、流れの中で、河合選手以外のDFが全員上がってしまって、Wボランチが下がって、3バック状態になっている、なんてこともありました。

良いですよ、こういうの。好きです。日本代表とかに入るまで成長したら、だいぶ‘オモロい’ことになるんだろうなぁと夢想が止みません。

■元FWの大型CB[甲府vs水戸(08月12日)]

この試合、ヴァンフォーレのCBコンビは、津田選手と盛田選手。まだ『エルゴラッソ』が発刊されていない頃、なかなかJリーグの情報が手に入らない時代、こんなワタクシも、ときどき某巨大掲示板群を覗いたりもしていたのですが、そこで当時、頻りにネタキャラにされていたのが、盛田選手。期待の大型FWとして浦和に入団するも、鳴かず飛ばず。某原博実が特訓するも、レッズがJ2に降格する「原動力」になってしまったり。

そんな盛田選手、いつの間にかCBにコンバートされると、広島では貴重なバックアッパーとしてペドロビッチ監督の信頼を獲得しましたね。で、サポーターに惜しまれつつサンフレッチェを退団し、ヴァンフォーレの一員となりました。

そんな盛田選手、この日の甲府は真夏の盛りということもありプレスは緩め、その割にはラインが高いってことで、相手の水戸が繰り出す、DFラインの裏を突く素早いサッカーに四苦八苦してました。そうなるとさすがの盛田選手も、星原選手あたりとのスピード勝負では、なかなか分が悪い。ただ、それでも、読みと落ち着きは円熟味を増し、足技もFW出身らしく、“大型CBとしては”洗練されている。ってなわけで、安定感はともかく存在感は十二分に示しておりました。

で、思ったのですが、FW出身のCBって、大器晩成というか、熟練の域に達してからこそ真骨頂となっていくんですかね?

スピードやアジリティーは年齢とともに低下しやすいですが、高さは衰えませんし、パワーも30代のうちは大丈夫。読みやポジショニングはキャリアとともに、むしろ向上していくものですし。名古屋の増川選手なんかも似たようなタイプかと思いますが、盛田選手といい、増川選手といい、三十路に足を踏み入れてから、急激に選手としての商品価値を高めたような印象があります。