FC東京vs札幌の周辺をコンサドーレ目線でウロウロと…

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どういうわけだか、昨シーズンはあんまり味スタに行かなかったのですが、今シーズンは早速やって参りました、飛田給。乗りました準特急高尾山口行き。

豪華戦力を早くも持て余し、この時点で既に去年のジェフ千葉と同じような匂いがプンプン香ばしくなっているような気がしないでもないFC東京と、例年通り遣り繰り上手な石崎さんが若手を積極的に登用することで、どうにか戦力を整えているコンサドーレ札幌との試合でございました。

まずは、FC東京の外国籍の新助っ人セザーに注目です。

ケリーやルーカス、ジャーンといった優良外国籍選手を揃えていたのも、今は昔。ササなんとか辺りからケチが付き始め、ワンチョペで痛い目に遭い、エメルソンやらリカルジーニョなどなど、その他の外国籍アタッカーは、悉く「微妙」な感じの活躍をしてチームを離れていきました。

敢えて言うなら、カボレは相応の活躍を見せましたが、何故かFC東京って、いっつも、「めちゃくちゃダメダメって程じゃないけど、なんだか〈微妙〉、てゆうか、使い勝手が悪い」って選手ばっかりを連れてきますよね。

よりによって、そんな狭い範囲に針の穴を通すようなコントロールでヒットさせなくても…なんて思いますが、「悪い選手じゃないし、全く日本のサッカーを理解できていないわけでもない。一芸もある。でも何かが足りない」って選手をピックアップするFC東京のスカウティングは、もはや職人芸といっても過言じゃありません。

つまり、セザー選手も、そういう感じです。伝統的なFC東京所属外国籍アタッカーの系譜を引いているらしい。

一方、札幌の新外国籍選手はアンドレジーニョ。今シーズン、札幌は3人の外国籍選手を新たに補強しましたが、スターティングラインナップに名を連ねたのは、この選手だけ。

今日の試合を見る限り、アンドレジーニョ選手は足下の技術に秀でたドリブラー。表現を替えれば、いかにも南米出身者らしい「持ちたがり」ですね。

こういう選手は、テンポが速い日本のサッカーにフィットしづらかったりもするのですが、ブラジル人アタッカーは、大抵こんな感じですので、石崎監督くらいのキャリアがあれば、「このタイプは、こうやって使うべし」みたいな取扱説明書を保持している模様。個人での打開力は優れているが、日本人のリズムに自らをフィットさせて、チームの歯車役を全うするという感じの選手ならば、じゃあ、「個人で打開する係」に任命してしまえって話ですね。カウンターの起点として機能していたと思います。

アンドレジーニョ選手の特徴は、横に活動域が広いところ。主戦場はバイタルエリアで、ドリブル突破を除き、ペナルティエリアには余り飛び込んでいかない。

ボランチと最終ラインの間のスペースを右に左に動きまわりながら、巧みにフリーになりつつ、足下でボールを貰うと、後はゴールに向かって猪突猛進するのみ。

イメージ的には、元ガンバで、その後は清水とか大分とか仙台とかにいた(他のチームにも所属していましたっけ?)、フェルナンジーニョ選手のプレースタイルを想像して頂ければ、だいたい近いかと。比較的小柄で上半身の姿勢も良いですし、背番号も11番なんで見た目も、微妙に似ているような気がします。

で、ふと思ったのですが、この選手のリズムは、先週に駒沢で試合を見てきたヴェルディのサッカーとの相性が良いのではないか。勿論コンサドーレのサッカーとの相性が悪いというわけではありませんが、足下のショートパスを繋げるチームのアクセント役としては、この上ない素材なんじゃないかなぁ、と。

というわけですので、札幌は、これまで磨きをかけてきた石崎流ハイプレスでボールを貰うと、少ない手数で攻めきる、基本、攻撃はアンドレジーニョに任せるっていう、縦に速いサッカーを展開していました。

そのような札幌の戦術を1人でガラリと変化させてしまったのが、件のアンドレジーニョ選手に代わって途中投入された砂川選手です。

さすがはベテラン選手だけあって、途中出場すると、次の瞬間にはゲームに参加している。団体の球技経験者なら分かると思いますが、これは案外と難しいタスクだったりします。どうしても、新たにピッチに入った選手と、すでにピッチにいる選手とでは、テンション的にというかモード的にというか、空気感的に温度差ができますから、途中出場して違和感なくゲームに溶け込むというのは、一種の特殊技能と言えます。

だから、途中投入されて直ちに存在感をしめした砂川選手は、それだけで素晴らしいのですが、この選手は、さらにサッカーの質を縦に速いスタイルからポゼッションを厭わないパスサッカーへと変えてしまった。

途中出場選手のメリットとして、肉体と同様に、頭もフレッシュである、というのがあります。フィジカル的にキツくなったり、試合を進める中でテンションが上がったりすると、どうしても視野が狭くなる。その点、途中出場の選手は、他の選手に比べて全体を俯瞰できるメンタルコンディションにある。

砂川選手は、その広い視野を生かし、しっかりゲームを落ち着かせ、持ち前のパス技術で潤滑油として、チーム全体のパス本数、成功率を飛躍的に向上させました。その結果、後半の30分から40分の時間にかけて、札幌は小気味よいパスサッカーを披露するに至ったのですね。

試合はスコアレスドローでしたが、前半はアンドレジーニョ選手の個人技を生かした縦に速いサッカー、後半は砂川選手のベテランの妙味によりもたらされたパスサッカーを見ることができた札幌サポーターの満足度は、それなりに高かったのではないでしょうか。