「あえて旬じゃないときにアップする」というモットーを持つ幣ブログ。単に筆が遅いだけとの説もありますが、そんな雑音には耳を貸さずに、なぜか、この時期にこの夏のワールドカップの各試合レポ(地上波限定)をします。
の、第七弾。
フランスvs南アフリカ
「空中分解」
この言葉は、今大会におけるフランスのために、悠久の昔の先人たちが作ったのかもしれません。
牛若丸あたりが弁慶とかに、「きっと千年後くらいに〈どめねく〉って人が天から降りてきたときに使う機会もあるだろうから、『空中分解』って言葉を流行らせようぜ!」
みたいな提案をしたに違いありません。ただ、1998年当時、既にオトナだった皆さんにとっては、必然的な結果といいますか、なるべくしてなった崩壊かもしれませんね。
フランスの凋落の原因を一言で言うと、「ジダンのせい」だと思います。世代交代の失敗やら監督が怪しげやら、フランスの抱える問題点は2006年の時点で明白でした。
ただ、それをジダンというタレントが全て覆い隠してしまった。タラレバを述べれば、ドイツの段階でジダンが代表を引退していれば、「ベスト16で敗退→監督更迭→世代交代の強行」という流れを経た上で、2010年を迎えていたかもしれません。前回の準優勝と引き換えに今回の惨敗があったと考えています。
この試合は中盤のタレントの差がそのまま出てしまいましたね。
スロベニアの2列目のキルムやビルサも奮闘していましたが、イングランドの守備陣を崩壊させるような一発は繰り出せませんでした。3列目のコレン、ラドサブコビッチも、現象として消されてしまっていました。具体的に誰がどのように動いたことで、この2人が消されたかまでは分からないところが、未経験者の限界でありますが。
一方、イングランドはジェラードが時間とともに存在感を示していきました。序盤はボールロストも多かったですし、上手くパスワークに絡めていないようにも見えなくはなかったですが、スペースが出来はじめると、ルーニーとのコンビプレーなどが、相手に脅威を与えていました。
ただ、ジェラードにしてもルーニーにしても、素人的には、一試合に23回は「これぞワールドクラス」っていう分かりやすいスーパープレーをして貰いたいと期待してしまいますので、そういう意味では、「そうそう毎回は過剰な期待に応えられないよね」って内容でもありました。
スロバキアvsイタリア
この言葉に今回、イタリアが苦戦した原因は象徴されるかと思います。別にデロッシがイタリア敗退の戦犯だと言いたいわけではありません。
イタリアの戦い方は、伝統的に「人数をかけて、少ない手数で点を取る」というものですよね。その戦い方が上手くいくためには、大きく2つの要素が必要になります。
一つは、正確なロングパスですね。今大会はデロッシがロングパス配給当番になりました。しかし、デロッシのロングパスが一向に通らないんですね。では、それはデロッシの責任かというと、そういう要素もあるでしょうが、むしろデロッシはジャブラニの最大の犠牲者とも言えるのではないかと思います。要するに、戦術上、ジャブラニのワリをもっともくったのが、正確なロングパスを身上とするイタリアだったのではないかと感じるところです。
それでも、ピルロ投入後はイタリアもリズムを作りました。時間帯的にスペースがあったからってのもあるでしょうが、ピルロの場合、グランダーの長いパスをキッチリ通し続けていましたね。これがイタリアの戦術上、必要な要素の2つ目です。すなわち、イタリアの戦い方が機能するためには、どうしても「必殺技の使い手」が必要になるんだと思います。
今回のイタリアは世代交代でトッティやらデルピエロやらインザーギやらといった必殺技の使い手を喪失し、ピルロやガットゥーゾといったキャラクターの濃い選手を故障で半ば失いました。そのしわ寄せがデロッシやイァキンタに全て集中してしまったんだと思います。彼らは問答無用の必殺技を、プロフットボーラーとして生き残るための唯一の手段としているわけではないでしょう。この意味でもデロッシは可哀想でしたね。
デンマークvs日本
今大会の日本代表のベストマッチ。すでに星の数より多くの方々が優れた分析をされているでしょうから、ワタクシにできることと言えば、星の数を数えて、本当に星の数より分析の方が多いのかどうかを確認することくらいです。ただ、星の数はメチャクチャ多いですし、羊の数を数えるくらい眠くなる作業ですので、これは一生のライフワークとさせていただきます。
試合内容に一言だけ言及するならば、2人の中盤のうち、長谷部が守備的、遠藤が攻撃的というように役割分担が明確だったのが、「日本人によって構成される日本代表」にとっては良かったのかなぁ、なんて思います。