■なでしこ 1 vs 1 イングランド女子代表[フレンドリーマッチ 06月26日]
90分を通じてイングランドが若干ながら優位に試合を進めていたでしょうか。男子もそうですが、ヨーロッパのプレーヤーはミドルパスが日本人に比べて上手い。狙い澄まさなくても、それなりのパススピードで、それなりのコースに飛んでいく。だから日本人の感覚だと、どうしても‘縦に速い’と感じるわけですが、イングランド女子代表も、そういったサッカーだったように思います。
しかも、イングランド女子代表は、CFに長身のホワイトを置き、左右のWGが瞬発力のあるアルコとヤンキーとう前線の組み合わせ。ホワイトは純然としたアングロサクソン風で、サイドの2人はアフリカにルーツがあるであろう選手。この辺りも、いかにも欧州サッカーの縮図といった感じで、さすがは近代的帝国主義を牽引した国だけあります。
ともあれ、先制点は、そのイングランド女子代表。いわゆるショートカウンターってやつ。中盤のルーズボールを拾ったジル・スコットがワンタッチで左に流すと、それを受けたヤンキーがやはりワンタッチで最終ライン裏へスルーパス。反応したアルコがまんまと押し込みました。
一方のなでしこですが、この試合は澤が落選、宮間は出場停止と言うことで、熊谷と阪口がボランチコンビを組みました。ともに狙い澄ましたロングフィードに定評のある2人なので、前半は様子見がてら、比較的長いボールでチャンスを伺います。
で、ハーフタイム直前に先制されたことで、後半になると攻め急ぎなのかなんなのか、前半以上にロングパスが多くなります。むろん、それでそれなりに相手の急所を突けていたので、悪くはなかったのですが、ロングパスが正確ゆえに、かえって中盤でのショートパス交換で相手のバランスを崩すという、なでしこの長所が出づらくなっていたのは、皮肉っちゃ皮肉。
とはいえ、それでも同点に追いつくんですから、コンフェデにおける男子の有り様とは対照的に、‘勝者のメンタリティ’が発揮されたのかもしれません。ちなみになでしこの同点弾もイングランドの先制点と同様にショートカウンター。大野が高い位置でパスカットし、大儀見を囮に突破の隙を伺いつつキープすると、‘運動量の女王’こと川澄がPAに侵入。大野が見事に足下に通して、川澄がキッチリと決めました。あの角度・位置からの川澄のシュートって、ホント、決定率が高いですよね。
同点になってからは比較的オープンな展開になりましたが、やはりそこは女子サッカー。男子と違ってなかなかシュートまでは持ち込めない。少数精鋭なシュートで互いに勝ち越しゴールを狙いますが、テスト的な選手交代も相まって、同点のままタイムアップとなりました。