スーパースルーパスに反応したグダグダPK戦〜横浜FMvs神戸(2/8)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

いよいよ2020シーズンも目の前に。というわけで、ゼロックススーパーカップへ。前座試合はパスして本番から参加したのですが、前座試合、知らないうちに、「ユース選抜vs高体連選抜」じゃなくなったんですね。まあ、構造的に「ユース2年生選抜vs高体連3年生選抜」にならざるをえなかったので、賢明な判断といえば賢明な判断。

そんなわけで午前中は散歩もかねて門前仲町をフラフラと。下町、厳密には川向かい、要するに深川、現代風に言えば江東区って、歴史を感じさせてくれて、散策にはとても良いですよね。清々(きよきよ←イジリネタとしては、古っ!)しい気持ちになりながら、お昼ご飯。カフェ飯です。「リコプラス」というお洒落で清潔なカフェで、これでもかっ!ってくらいの種類に調理されたブロッコリーの小皿をアレコレ食べて、自家製(だと思う)のパンを食べて、マロは、もう、幸せじゃぞ。

 

https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131303/13176930/

 

 

さて、両チームについてですが、まず横浜FMですけど、仙頭啓矢は?前貴之は?ってな感じ。2人ともベンチにも入れず。まあ、水曜日のACLにはターンオーバーして出てくるんでしょうけど、頼むから、どこぞのミシャの岩崎への対応みたいなことはしないでね、ポステコさん!

前貴之は…今ひとつ前寛之との区別がつかないのでWikipediaで調べたところ、貴重な「Jリーグ・アンダー22選抜」での出場キャップがある選手とのこと。頑張っていただきたい。

 

対する神戸は…そりゃ、もう「アンドレース!」ですよ。去年も横浜FMvs神戸を見て、その時はビジャ以外のVIPお二人はお休み。今回もイニエスタが出るとか、出ないとか、とにかく情報が錯綜していて、「ひょっとしてこのまま生イニエスタを見ることなく終わってしまうのかな」とさえ覚悟していたので、南北線の中でスタメンを確認したときには、小さくガッツポーズですよ、。アンドレース!そして、アンドレース‼ アンドレスフォーエバー!サンキューフォーマイアンドレス‼

 

 

この日のピッチ内のデザインを確認すると、マリノスは、『エルゴラッソ』などで表記されるように4231でなく4213。日産の鳥瞰ではよく分からずとも、埼スタだと、さすがは専スタだけあって、しっかりと把握できる。確かに仲川とエリキはマルコス・ジュニオールではなくオナイウと同じ高さにいる時間が長い。

もう一つマリノスで興味深かったのは、ボランチのボールの受けどころ。真正ボランチの喜田と扇原も、エセボランチと同じようにハーフスペースでボールを受けることが多いのですね。

 

一方の神戸は、見れば見るほどブンデスみたいなサッカー。まず、無駄に繋ぎすぎない。割り切って逃げるところは雑なロングキックで逃げる。こういうところの合理的判断は日本人が苦手とするところなので見習わなければならない。

それから攻撃におけるテンションのメリハリが凄い。全ての攻撃において全身全霊でゴールを目指すような非合理的なことはしない。状況が整ったときだけ一気呵成。これまた、日本人が苦手とするところなので見習いたいところですね。

 

 

この試合で注目されたのは、アンカー対決ですかね。神戸にはサンペール、横浜FMには扇原というアンカータイプのゲームメイカーがいて、シャビ・アロンソが大好きだったワタクシのテンションはだだ上がり。どちらかといえば扇原の方が目立っていた印象です。

そしてもう一つはGK対決。飯倉vs朴ですね。飯倉については古巣対決なんで、その時点で注目なんですけど、飯倉を追いやった朴も飯倉と同じスタイルを身につけて凌駕したからこそレギュラー奪取したわけなんで、両チームゴール前とも、とにかくGKがアグレッシブ。今どきノイアーだってそこまで極端にペナルティエリアをお留守にしないぞ!ってくらいの外回り・出張が序盤からひたすら繰り返されていた。それぞれ、相応の副作用の甘受を余儀なくされたわけですが。

 

試合展開は、まずアンドレスのスーパースルーパスに反応したドウグラスが決めたゴールで幕開け。その後、両GK劇場が取り交わされる。まずアグレッシブに飛び出した朴が相手アタッカーと交錯したこぼれ球をマルクスジュニオールが押し込んだゴールで横浜FMが追いつくと、飯倉のアグレッシブさを前提とした不用意なバックパスを古橋がかっさらって、再び神戸がリードする。これらの1点ずつが、先に述べた「相応の副作用の甘受」ですね。

しばらく「このまま神戸かな〜」って雰囲気になったのですが、そんなワタクシの心のエアポケットが神戸守備陣にも伝染したらしく、左サイドからなんとなくクロスを入れられてしまい、それをエリキ(と思いきや扇原)が決めて同点。ここから、どことなくグダグダ感が仄かに蔓延しだし、横浜FMは低い位置での繋ぎミス連発した挙げ句、イニエスタのスーパースルーパス(その2)によって山口蛍の勝ち越しゴールを献上。神戸は神戸でカウンターからあっさり仲川の突破を許し、その折り返しをさらに折り返した遠藤のラストパスをエリキに決められて3ー3に。そしてグダグダはPK戦でも収まらず、9人続けて外すというなかなかの光景が繰り広げられた結果、神戸が天皇杯に続くタイトルを獲得しました。

ドラマチック〜ルヴァンカップ決勝(10/26)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

ルヴァンカップ決勝でございます。生観戦は何年ぶりかな? まあ、楽しみ。どちらかというとチャレンジャーの立場で決勝の舞台に立つのが札幌。浦和退任後、フリーになっていたミシャを一本釣りして、成績が高止まり状態。野々村さん的にはミシャの浦和退任は「渡りに船」って感じだったと思われますが、ワタクシにとって、札幌の決勝進出が「渡りに船」。今シーズンはなかなか札幌戦との相性が良くなくて、生観戦する機会がなかったのです。「もしや日帰り札幌ドーム⁈」とかも考えていたので、ホント、渡りに船。

そんな札幌を待ち構える壁、それが川崎フロンターレ。まあ、ルヴァンの決勝はフロンターレにとっても高い壁ではあるので、どちらも壁への挑戦なわけですが。思い出すなあ、ガム…。森……。ともあれフロンターレについても今シーズンは天皇杯の明治戦しか見てないので、この大舞台で改めて観戦できるのは、渡りに船っちゃ、渡りに船。なんだかんだでリーグ戦は苦戦してますが、この成績で「苦戦」と言われるのだから、さすがは王者。

 

そんな王者川崎を向こうに回した札幌ですが、ミシャ軍団は怯んだりなんてしない。アタックを仕掛けます。攻守において札幌のキーマンとなっていたのは、ジェイとチャナティップ。この二人にボールが入ると、簡単には失わない。だから守備も体勢を立て直せる。そして、この二人には展開力もあるから、ウイングバック鈴木武蔵も信じて走ることができる。はまったときの攻撃は、とても痛快でした。

対する川崎はスロースターターなんですかね。この試合だけなのか、最近はそんな感じなのか、じっくり相手を見極めようとする序盤。その間に先制点を奪われてしまったのだから、「試合巧者、ウイニングメンタリティに溺れる」みたいなことになりかけました。鹿島やブラジルみたいに序盤を見極める時間にするなら、もう少しセーフティファーストに、例えば大きく蹴るってことを増やすとか、そういう感じでも良いのかな、なんて思ったりもする。パスサッカーのDNAがそれを許さないのかもしれませんが。

 

ともあれ、先制したのは札幌。右サイドからのクロスが抜けて、最後は大外でフリーになっていた菅が豪快なダイレクトボレーを叩き込みました。もう少しミートが綺麗だったら完全にウイニングイレブン状態でしたね。そこからは川崎が攻めまくります。バーやらポストやらに直撃させまくります。なかなかゴールラインを割れませんでしたが、前半のロスタイム、ラストプレーのコーナーキックからの流れで阿部が蹴り込み、前半のうちに同点となりました。

後半に入ると少しずつ札幌がカウンターをしかけることが増えていきます。そしてさらに勢いを加速させるべくミシャ監督はアンロペ(アンデルソンロペス)とルーフェル(ルーカスフェルナンデス)を投入。負けじと鬼木監督は切り札としてとっておいた中村憲剛と小林を続けざまにピッチに送り込みます。しかも、その小林が勝ち越しゴールを決める。これで勝負は決まったかな、と思いきや、後半ラストプレーのコーナーキックで札幌が追いつく。カップ戦の決勝らしくドラマチックです。

 

延長戦に入ると、試合はさらにドラマチックに。チャナティップがカウンターから爆走すると、谷口が決死のディフェンス。イエローカードが提示され、フリーキックの準備をしていると、VAR発動。決定的なレッドカードはVARの対象ということで、谷口へのカードは赤色に変わり川崎は1人少ない状態に。しかも、それだけにとどまらず、直後のフリーキックを福森に決められます。まさに悪魔の左足。これ以上ない“恩返し”で川崎を奈落の底に突き落とします。1人少なくて、さらにリードされる。さすがの川崎も絶体絶命に。

それでも、まだまだドラマチックは終わらない。いや、ロマンティックが止まらない。胸が胸が苦しっくなる〜♪(苦しくなる)。コーナーキックからの混戦、最後は再び小林悠。千両役者というか、なんというか。正直、中村憲剛小林悠が入ってから、リズムとしては少し微妙になったところもあったのですが、それでも決めるときは決める。

 

そんなわけで、試合はとうとうPK戦。いやぁ、一喜一憂ですね〜。正直、テレビや録画で見るときは、PK戦に突入したら、後は見ないのですね。「公式記録的には引き分けでしょ!」ってのもあるし、「サッカーの醍醐味はそこじゃない気がするし」ってもあって。でも、生でPK戦を見ると、やっぱり、そこに勝ち負けのドラマがあるし、サッカーの醍醐味ではないかもしれないけれども、勝敗の醍醐味はあるんだなぁと強く感じた次第です。

で、そのPK戦でヒーローになったのが新井。いつの間にやらチョン・ソンリョンからレギュラーを奪ったいぶし銀。スタンドのフロンターレサポーターのなかには、「新井〜」ではなく「新井さん」って叫ぶ面々も少なからず。メインスタンドにいて、音響が微妙でジョン川平のインタビューが聞きづらかったのですが、なんとも愛らしい表情が素晴らしかったです。ちなみにメインスタンドにいるとセレブレーションもよく見えないってことに、今更ながら気づきました。

 

あと少し〜千葉vs徳島(9/22)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

千葉も徳島もスペイン語やらポルトガル語やらを母国語とする指揮官に、同じような時期から率いられるようになって、ともに「理念や哲学には一目置くべきものがある」との定評を得つつも、「でも、言うほど結果が伴っているわけではないよね」ってところが共通していたりします。

そのうち、先に大ナタがふるわれたのが千葉。まあ、白米ってのは、古代の出挙米の論理に端的なように、「神の恵み」そのものですからね、いくら科学的裏付けがあるといっても、日本人に「白米禁止!」って言うのはヨーロッパ人に「ミサに行ってもサッカーは上手くならない。時間のムダで、非科学的だから、ミサ参加禁止!」って一方的に押し付けるようなもの。そりゃ、結果も出ないし、求心力も維持できないってものです。

千葉の悲劇は、早めに劇薬投下したにもかかわらず、その後も低空飛行が続いてるところ。神戸の吉田前監督もそうですが、第一次政権が悪くなかったにもかかわらず、座を追われ、そして再招聘された元レジェンドな監督って、二次政権で評価を落としてしまう傾向にあるような。

 

 

この日の午前中は千葉駅界隈を散策してました。厳密には「京成千葉駅」ですかね。いろいろ地図を見ていると、京成線はかなり近い距離感で「千葉中央駅」「京成千葉駅」「新千葉駅」が軒を連ねている。この3つの駅を徒歩で移動してみれば、千葉駅界隈の秩序がなんとなく理解できるのではなかろうかと、散策してみた。もちろん、ランチも食べるわけで、チョイスしたのは千葉中央駅近くの「宗庵」という豚骨ラーメン屋さん。背脂が特徴的ですが、大局的には王道の豚骨ラーメン。おいしかったですよ。

ちなみに千葉駅近辺に密集してドミナント展開しているのは京成の駅だけではなく、QBハウスも同様。自慢じゃないですが、ワタクシ、QBハウスが今ほど市民権を得ていない頃から、おそらく少なくとも15年近くはQBハウスのヘビーユーザーです。というかQBハウス以外のどこで髪を切れば良いかがもはやわからない。この日も千葉駅界隈にいくつもある選択肢のなかからペリエ駅ナカ店でサッパリしてもらいました。

 

ってなことでキックオフ。千葉の先発ラインナップを眺めていると、ベテラン選手とか、ボランチもこなせる選手が多いですね。こういうパターンって、あまり良い印象がない。というのも、ベンチが確固たる羅針盤を持たないまま、「あとはピッチで解決してくれ」と丸投げした場合に発生しがちだから。攻守に気が利いてバランス感覚であったり戦術眼に優れている選手って、ベテランかボランチだったりすることが多い。なので、そういう選手が多く起用されているときは、少し怪しいのです。

対する徳島は3421で両WBに杉本と岸本が起用されていました。どちらも元々はストライカータイプですよね。日本代表に例えるなら宮市(あるいは原口)と伊東純也が両WBで起用されているようなイメージなので、相当に攻撃的です。そんなわけなんで、攻撃時に5トップになって、自動的に5レーンも作れてしまう。ただ、5レーンが作れることと、「適切な距離感で三角形ができる」ことは、必ずしもイコールではないらしい。

 

ともあれ、攻撃的な両WBですから、千葉としても突きどころは明確。特に岸本の裏なスペースを何度も為田が攻略していました。突破してからの工夫に物足りなさはありましたけど、総じて千葉がイニシアチブを握る。徳島のカウンターも含めて前半からゴール前での迫力溢れる展開が繰り広げられ、その中で徳島がPKを献上。クレーベがしっかり決めて、千葉リードでハーフタイムを迎えました。

後半も概ね千葉が試合をコントロール。そのままリードを維持しつつカウンターの質を上げるべくゲリアを投入し米倉を1列上げる。徳島は徳島で藤田征也を右WBとして投入し、岸本をトップにスライドさせます。それでもスコアは動かずバイスを前線に上げてパワープレーモード。その一気呵成が実って藤田が殊勲の同点ゴールを決めて、ドロー決着に持ち込みました。

 

それにしても徳島の攻撃サッカーは面白いですね。特に実質5トップに加えて6人目の男として内田が突撃してくると、がぜんセクシーさが増します。そのような総攻撃サッカーを支えているのがボランチ陣のバランス感覚。いつもいつも思うのですが、岩尾って本当に良い選手ですよね。突き抜けたパンチに欠けるとはいえ、パスの正確性、視野の広さ、プレー選択の適切さ、それからポジショニングのバランス感覚。いつ見ても惚れ惚れします。

徳島の攻撃サッカーで惜しむらくは、抽象的になりますが、擬音にして“ポンポン感”が不足しているんですよね。ほぼ必ず「ボランチ→WB→折り返し」という手続きを踏むので、カウンターなんかで、「最小タッチ数でシュートまで」という動きが整備されていない。なんか、“一辺倒”感を否めないというかメリハリが不足しているというか。藤田の同点ゴールは、サイドアタックではありましたが、縦抜けのところで勝負を付けていて、そういう縦へのチェンジオブペースが加わると、昇格も見えてくるのではないでしょうか。

 

興奮のルツボ〜鳥栖vs仙台(8/31)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

いや、ホントはね。7月だったかに川崎vs鳥栖を観戦するつもりだったんですよ。でもね、その試合、一般販売開始日には指定席がソールドアウトになっていましてね、で、ちょうど夏休み旅行で九州に行く予定があったので、急遽、スケジュールに組み入れたのが、この試合。じゃあさ、おらへんやん、トーレス。謙虚に日本のサッカーのみならず日本文化へも順応してくれたとの評判高いトーレスですけど、だったら、いやあ、日本の夏休み文化というものも尊重して欲しかったなぁ。この日は8月31日、(少なくとも我々アラフォー世代の時代には)ある意味、子どもにとって最も印象に残る一日、つまり夏休み最後の日。やっぱねー、日本文化を尊重するなら、この日までは現役を続けてくれても良いじゃない〜!

 

というのは、完全に自分が8月31日に試合を見るからという個人的理由を一般化して逆ギレしているだけなのですが、逆ギレついでに続けると、前回来たときも思ったのですが、駅スタのスタグル広場的なところって、なんか、今ひとつ魅惑的でない。あくまでワタクシ個人の感想であり、効果効能を保障するものではないですけど。その最大の理由は、「どこで食べればよいかわからない」ってことだと思うのですよね。広場の向こう側のホール的なところの階段には座れそうなんですけど、平塚や甲府に比べて、「まあ、どっかに座れるでしょ!」って安心感がない。FC東京が青赤横丁の改善策を考えるべくアンケートをとった結果、要望の圧倒的多数は「座れる場所を増やしてくれ」だったというのは、エルゴラッソだったかオンライン媒体だったかのインタビューで責任者さんが述べている。ってなかで、むしろ鳥栖では数年前より椅子の数が減っているような感さえする。ワタクシが読んだ記事をチェックする程度のことは、当然、フロントさんはやってなくちゃいけなくて、にもかかわらず敢えて椅子数を増やさないとすれば、どういうつもりなのか知りたいですし、担当者が青赤横丁の記事をチェックしてないとすれば、「そもそも(裏方としての)プロフェッショナルとは?」ってところに疑問を禁じえなかったりするって話です。

 

まあ、そんなことは気にしない。サッカーを見るのです。鳥栖と仙台ですからね。それはそれはミラーゲームになるわけです。今回に限ればシステムも同じ442で、ベースはリアクションサッカーというか、どちらかといえば“弱者の戦術”。案の定、息の詰まるカウンター合戦だったわけですが、ただ、本来的に目指している志向性についてはいささかの温度差があって、たぶん、仙台の方がポゼッション志向が強くて、鳥栖はよりピュアな堅守速攻志向だったように思われます。

そんななかで異彩を放っていてのが、両チームの助っ人外国籍選手。鳥栖のイサッククエンカについては、もはや攻撃に関するありとあらゆるプレーが異次元。対する仙台の外国籍選手も、クロスの跳ね返し加減がえげつなかった。キムタク(あるいはホリ)でなくとも、「ちょ、待てお!」と愚痴ったに違いない。

 

ともあれ、そんなわけでカウンターの応酬だったわけですが、そのなかで先制したのは仙台。速攻からのワンチャンを道渕が決めました。仙台は2〜3列目から斜めのグランダーで鳥栖最終ラインの裏を攻略してましたね。これで鳥栖が攻めに出る。そうすると、ポゼッションへの指向性の度合も含めて、全くのミラーゲーム状態が発生して、鳥栖オフサイドでゴールが取り消されたり、仙台はジャーメインが超決定機でミスったりしながら、ハーフタイムを迎えました。

 

後半の開始とともに鳥栖は松岡に替えて小野裕二を投入します。あまりワタクシの交代予想って当たらないのですが、珍しくこの交代は予想通り。期待の若武者松岡も、少しこの日は精彩を欠いていましたね。なんか、もっと若者らしく怖いもの知らず感全開でやって欲しいというか、「何も迷わず、オレはこのプレーをするんだ〜! うおおおおお〜〜」って雰囲気が足りませんでした。それから鳥栖は後半開始からクエンカと金森の位置を入れ替えました。たぶん、後半が本来のカタチ。金森がトップで、クエンカが左サイドに。一般的に視野の広さとかパス能力を生かすのであればセントラルの方が好適ってことが多いのですが、この選手はそうではない。なんせ、左サイドから右サイドまで一瞬で視野に入れて、一発のキックで逆サイドにボールを届けてしまう。クエンカの能力を最大限に生かすのは真ん中ではなくサイドの模様。

 

展開は、鳥栖が圧倒的に攻めたてます。攻めたてて攻めたてて、それでも仙台は跳ね返す。仙台というか「島尾、待てっ!」が跳ね返す。それでも、そんな島尾との肉弾戦から逃げることなくカラダを張り続けた金崎にご褒美が用意されていました。相手DFとの駆け引きを制してPKを獲得すると自ら決める。そして、それでより勢いづいたチームのテンションそのままに、流れの中から金崎が2点目をねじ込み、鳥栖が大逆転しました。激アツでしたね〜、エモかったですね〜。興奮のルツボとなった駅スタを去って、ワタクシはホテルに戻ったとさ。

 

選択肢のあるカウンター!〜横浜FCvs鹿児島(8/24)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

横浜FC、今シーズン後半最大のトピックは、「ホームタウンの誇りのお弁当が、某政治家の不買宣言により、かえって爆売れ!」ではなく、横浜が生んだ天才がユニフォームの色を薄くして港町の丘の上に帰ってきたことですね。彼はずっと三ツ沢愛を公言していて、もとの所属チームは、あまり三ツ沢の丘の上でゲームを開催しなくなっている現状、帰るべきところに帰ってきたような感がなきにしもあらず。彼がトリコロール少年だった頃とは違い、マンションからスタジアムを覗き見する風景は失われましたが。

徳永悠平が長崎に帰ったり、古い事例では元グランパスの福田が愛媛に加入したり、キャリアの晩年に故郷のクラブに里帰り入団するというのは、ときどきある話。鹿児島でいうと遠藤保仁ですよね。このままガンバで綺麗な幕引きを図るのか、それとも下位カテゴリーで故郷に錦を飾るのか。もっとサプライズがあるとすれば大迫! ただ勇也の方は、まだしばらくJ2には来ないでしょうから、あるとすれば希の方ですかね。カテゴリー的には昇格ってことになりますけどね。

 

この日は日中、箱根なんぞへ出掛けておりました。祖父が(当時としては)一世一代の大旅行として両親を連れて行ったと、生前に語っていたのが箱根。18歳からずっと東京に住んでいるのに、箱根を訪れたことは、たぶん、2回かな。もっと箱根のことを知りたくて。どれくらいもっと知りたいかというと、薬師丸ひろ子が1985年7月3日に発売したシングルくらい知りたかった。世代的には小学6年生のときに薬師丸ひろ子の「時代」を聞いて、後に“J-POP”と称されるようになる音楽に思春期の想いをもっていかれた世代だったりします。それが本来は中島みゆきという人の名曲だということはなんとなく当時から耳に入っていましたが、中島みゆきという人の偉大さを思い知るのは、それから数年後の話。「戦わないヤツらが笑うだろ〜」。ともあれ、箱根に行って、両極端を経験してみた。午前は箱根彫刻の森美術館で呆然と歩き疲れてみて、午後は、箱根の旧街道、石畳のところの甘酒茶屋という超々老舗で甘酒を堪能したんだとさ。

 

15時半頃に箱根を出発して、三ツ沢へ。そこで繰り広げられていた両チームのありようは、「横浜FCの好調は、フロックにあらず!」というもの。なんかね、基本、カウンター戦術なんですけど、そのカウンターでの選択肢がなんとも豊富なんですよね。たぶん、常に複数の選択肢を持つよう下平監督が指導しているんだと思われます。言い換えれば、下平さんは視野重視。と、考えるとボランチとして松井が重用されている理由も理解できるわけです。

対する鹿児島は、噂通りのパスサッカー。わかりやすいのは左SB砂森の役割。いわゆる“アラバロール”というほど極端ではないものの、パスの出し手としてボランチのような役割を担う。それから、そういうスタイルとの相性が良いのでしょう、牛ノ濱が躍動してましたね〜。特に最初の15分は。

 

ただ、鹿児島が猛攻を仕掛けた最初の15分を凌ぐと、横浜FCのカウンターが牙を剥きます。ほぼほぼ鹿児島のミスがらみではあったんですけど、鹿児島GKのパスミスから中山の落ち着き払った“ゴールへのパス”で横浜FCが先制すると、追加点も横浜FC。高速カウンターの流れで右サイドクロスからクロスが入ると、真ん中のイバを通り越して、フリーの松尾がジャストミートで合わせて決めきりました。流れるような速攻で3人目の動きが絡んで、やすやすと決めてしまうなんて、どこの強豪なんだ⁈と。

2点リードしたくらいで気を緩める横浜FCではありません。前半のうちに、さらにもう1点。今度はエースのイバです。スローインから自ら作り出したビッグチャンスに、視野広い〜ズの一員たる松尾がリボンを添えたリターンパスをお膳立て。イバは決めるだけ。ほぼワンサイドゲーム。ってところで、前半のうちから鹿児島は動きます。八反田に替えてFC東京の次世代を担う予定の平川を投入し、どうにか形成を整えにかかります。というか、八反田、パスは上手いんだけどなぁ。

 

ともあれ、鹿児島は前半のうちになんとか一矢報いました。ルカオのゴール。ルカオ、なんか良いですね。運河とかある北海道の港町のチーズケーキ屋さんみたいな名前だし、なにより、カラダが大きい。そして、いちいち動きが大げさ。鹿児島にはボランチに入っているニウドという選手も同じく“いちいち大げさ系”なんですけど、このタイプが2人いると、もはやそれだけでエンターテイメント。なんなら栃木にいるヘニキも取ってしまえ!と。

なんて冗談を考えているうちに後半となり、横浜は4点目。松井がクルクルとボールをキープしてから正確な展開。そこから中山が狙い澄ましたスナイパーショットを突き刺します。横浜FCの猛攻は、これでも打ち止めにならず、さらにレアンドロからイバへのホットラインが開通して5点目。その後はニウドが退場になったたりとか、俊輔が投入されたりとか、イバがハットトリックのチャンスを潰し続けたりとかありましたけど、まあ、横浜FCの完勝となりました。

 

リヒトの運命〜東京ヴェルディvs山形(8/18)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

ヴェルディについては今シーズン初観戦。ホワイト時代をまるまるスキップして、知らないうちに監督が永井秀樹に。そうか、永井が監督か。この人、ベテラン扱いされるようになったのが早かったので、「ずっといる感」が異様に強い。そんな永井秀樹には永井篤志という実兄がいて、こちらもJリーグで息の長い活躍をしたことは有名な話で、その永井篤志が最も耀いていたチームこそモンテディオ山形だったりする。そういう意味では永井兄弟ダービーと言えなくもない一戦。

ちなみに永井秀樹氏、ユース監督としては評価が高いようで、ユースから天才肌の10番が次々と昇格していく読売の遺伝子を途絶えさせることなくバトンを繋いできました。で、そんな読売の遺伝子を継承している選手が山形にもいて、それが南秀仁。もっとも永井さんがユースの指揮をとるようになる以前の選手で、同じ選手として現役晩年の永井さんとプレーしていたのではあるまいか。いろいろトラブルの全くない選手ではなかったので、どちらかというと小林祐希とか、この試合でも先発した河野広貴にイメージが近い。

 

ともあれ、そんか因縁も見え隠れする一戦だったわけですが、ピッチに目を移すと、いやあ、ヴェルディというか永井監督は強気ですね〜。内田達哉がCBで、佐藤優平がアンカーですってよ。シミッチとかボランチの選手を隙あらばCB起用したがる風間八宏じゃないんだから。。。というのを差し引いても佐藤優平のアンカーっぷりは素晴らしかった。もはや天職ですね。サイドチェンジのパスの質は言うまでもなく、視野の広さ、それからフリーになる技術、この人はアンカーになるため生まれてきてのではあるまいか。「海賊王にオラはなる!」みたいな太々しさもアンカー向き。

対するモンテディオで目立っていたのはジェフェルソンバイアーノのカウンター。いろいろツッコミどころ満載ではあるのですが、迫力はメッチャ凄いのですよ。メッチャ凄いのは迫力だけで他はツッコミどころしかなかったとしても、迫力は素晴らしかった。

 

試合展開としては、キックオフ直後の10分、山形が魂のフォアプレスでかまします。「このクソ暑いのに!」って思わせるようなフォアプレスを繰り出しヴェルディに陣地を回復させず、イニシアチブを握ってしまおう作戦。とはいえ、しばらくは面食らったヴェルディも少しずつ慣れていくうちにハーフタイムに。後半のヴェルディですが、少なくとも守備時は442になりましたかね。レアンドロと河野の2トップに見える時間帯がチラホラあった。

受ける山形はCFをバイアーノから高木彰人にスイッチします。これをプロ野球のオールドファンに説明するなら、4番バッターを元広島のランスから、元ロッテのサブローにチェンジしたようなイメージ。とはいえ、特に状況に変化はなし。そのままスコアレスドローとなったのですが、老練であり技巧派が揃った山形守備陣(加賀・栗山・熊本・中村・本拓)の円熟味が強く印象付けられる一戦でございました。

 

この試合で目を奪われた選手にヴェルディ20番の山本理仁がいます。「“りひと”って、Z型ファイルとかで有名な文房具メーカーかっ⁈」と思わずツッコまずにはいられない部分もあるのですが、ともあれ、この選手、左利きの右SB起用なのですよ、しかも4バックの。ここ10年、ウイングが逆足であっても驚かなくなった。近年はWBが逆足であることも稀にある。でも4バックのSBが逆足って、ケガ人続出のスクランブルならいざしらず、もうね、永井監督、ティキタカやる気満々ですやん!

でも、同じヴェルディユースの元10番であっても、ひょっとしたら、この山本理仁よりもインサイドで出ていた森田の方が大成するかもしれません。だって、山本理仁は黒髪好青年系で、森田は仮にその辺の大学生ならただのチャラ男っぽい金髪。歴代ヴェルディユース出身者を振り返ると、チャラ男風のが活躍しがち。というよりも、管嶋とか中野雅臣とか、黒髪好青年系は、なかなかトップチームでチャンスを生かせなかった選手が多い。果たして山本理仁の運命はいかに⁇

 

帰りに晩酌。最近ハマっている「中華食堂 一番館」という激安中華屋さんに行こうとしたのです。先日、渋谷の店に行ったところ、とにかく安い。樽生発泡酒が200円で、ハイボールはなんと100円です。なので、今回は通勤定期で途中下車できる目黒店に行ってみた。行ってみたところ、ちょうど閉店時間を迎えたところだった。。。ガックシですよ。しかたないので類似の店を探す。まあ、王将か日高屋になるわけで。で、Googleマップ先生にご教示いただいたのは、御諸賢ご存知の日高屋さん。

もちろん樽生発泡酒はないのて、生中になって、生中の値段なら一番館と変わらない(290円)。でも、ハイボールの値段が違うのですよ。日高屋さんはハイボールも280円とかするのですよ。普通に考えりゃ安いはずなんですけど、「ハイボールって100円でしょ⁈」って頭になってるから、不当に暴利を貪られているような気分になる。そんな理不尽に負けてたまるか‼ 崎陽軒シウマイ弁当不買運動も辞さない覚悟でホッピーセットを頼んだとさ。

 

柏好文と3バック〜FC東京vs広島(8/17)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日は味スタ。東京と広島のマッチアップ、誰がなんといおうと城福浩ダービーですよ、そりゃもう。城福さんって、少し不思議なところがあって、なんとなく「FC東京の監督」って印象が強烈なんですけど、城福さん個人の因縁をさておけば、だからといってそれに付随した選手移動が多くあるわけではなく、監督の因縁がクラブ全体の因縁にならない。むしろ広島と因縁深いのはペトロビッチ繋がりでの浦和だったりする。

で、ペトロビッチ繋がりみたいな城福繋がりの相手は、FC東京ではなく甲府であって、FC東京にも広島にも、さほど「元広島」とか「元FC東京」って多くないですよね。高萩がいますけど、彼は韓国経由ですし、森重とか稲垣なんかは、育成年代をカウントすれば、関わりがないわけでもないんでしょうけど、ライトなもの。まぁ、城福浩個人に注目したいと思います。

 

なんてことを考えながら新宿駅京王線に乗り込む。なんだか、ここ数年で京王線の運行体系が随分と変わりましたね。ワタクシは1995年から2008年(だったと思う)まで京王線沿線に住んでいたのですが、1995年頃は京王本線相模原線に特急、京王本線に急行と快速があって、相模原線は特急と各停のイメージしかない(よく覚えてない)。で、やたらと急行が相模原線に目立つようになったり、それから、準特急ってのができたのですね。ワタクシ個人に関わる範囲でいうと、特急と準特急の違いは分倍河原に止まるか止まらないかの違いだけだったはず。

それが、いまの準特急って、笹塚やら千歳烏山にまで止まるんですね。そんなん、ほぼ急行やん。でも急行は急行で仙川とかに止まるようになった。じゃあ快速はというと、これは昔と変わらないのかな。京王線沿線に住んでた末期は三軒茶屋で仕事をしていて、自宅のあった聖蹟桜ヶ丘に帰る際に世田谷線を使っていたので、下高井戸に止まる快速をよく利用していた記憶があります。ともあれ、準特急と特急がここまで違うようになると、おいそれと「10分に1本は特急か準特急に来る」って把握の仕方だけでは済まなくなりますね(所要時間が4分ほど異なるらしい)。

 

とにもかくにも、試合開始。FC東京は、いつものケンタスタイル。とりあえず前線の個をゴリゴリに生かして、アタッカー(この場合ツートップの2人)だけでシュートを撃つまで持っていけ!そして中盤の選手は常に守備のツーブロックを意識しながら、ネガティブトランジションではガツンと削りにいけ! っていうサッカー。例えるなら、ブンデスリーガの中位によくあるスタイルですね。

対する広島はポゼッションスタイル。いつもこれくらいショートパスを繋いでいるのかどうかはわかりませんが、この灼熱地獄、しかも構えて守るFC東京が相手なんで、ボールが持てる。特に5枚いる中盤では枚数で優位に立てる分、ひとり遊びのできる両ワイドを巧みに絡ませてパスを回していましたね。それができる前提としてシャドーとボランチがボールを失わない、というのもあったかと思います。

 

展開は典型的なパターン。広島がボールを繋ぎ倒すのですが、カウンター主義のFC東京の方がエリア内に迫力を持って飛び込んでいく回数が多い、みたいな。FC東京はハーフラインより高い位置では奪いにいかないし、リトリートしたらバイタルで持たせるのもO.K.って雰囲気なんで、まあ、支配率なら広島が優位。前半でもう一つ特筆しておくなら、少し審判のジャッジがナーバスだったかもしれませんね。特にFC東京にフラストレーションが溜まる感じでありました。

後半に入ってもしばらくは同じ構図で進む。そして、真夏の消耗戦という雰囲気が、よりいっそう濃厚になる。そんななか、一人だけ真夏の消耗戦モードじゃない選手がいて、その選手が後半の主役になります。それが柏好文。必殺のカットインから決勝ゴールを決めただけでなく、試合最終盤になっても、カウンターのチャンスで単騎ドリブルを発動させて相手エリア内まで陣地回復するなど、驚異的な運動量でした。おみそれしました。広島が勝ちました。

 

さて、先にもふれたのですが、ケンタスタイルはどこかブンデス中位のチームのサッカーを彷彿とさせる。興味深いのがブンデスの場合、「ロングキックをベースに、少しでも少ない手数、少ない人数でシュートまで持っていくのが正義!」ってチームは3バックを採用することが多い。それに対して、Jリーグは真逆だったりしますよね。

トルシエ時代の3バックから半周回って日本に定着したミシャ-森保流3バックのミソは2シャドーが守備ではサイドハーフになるところ(WBも割り切って5バック化する)。一方、攻撃ではバイタル中央でのパス崩しの主役になるわけですので、2シャドーに求められるのは技術・勤勉さ・走力(マラソン的能力)の3点となる。……ね、日本人の特性を最も生かせるスタイルでしょ。しかも、『キャプテン翼』の影響が今なお残っているのかどうか、日本サッカー界の育成年代では、やっぱり「スター=中盤のアタッカー」なわけで、2シャドーをミソとする3バックなるガラパゴス化は日本文化の必然だったと言えるのかもしれません。

 

ジャイアントキリングであって、ジャイアントキリングにあらず〜G大阪vs法政大学(8/14)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

いや、ですね、この試合のチケットを買おうと、一般発売日当日か、その数日後くらいにJリーグチケットを覗いてみたら、その時点で売り切れだったのですよ。慌てて、ローソンチケットとか、他の窓口を探ってみたところ、セブンチケットでは購入できた。「うん? 天皇杯は独占販売とまではいかないまでも、セブンチケットの割当が多いのか?」とか考えたのですが、最終的に「チケットは完売しました。当日券の販売はありません」とアナウンスされたので、チケットが大量に売れたっつう話。

「じゃあ、誰が買うんだ? 川崎が等々力でやっても一万人いくかいかないかだったぞ」ということになり、「はは〜ん、法政大学が同窓会やらOB会やらの鉄の結束で買い占めたのか?」と想像してもみた。いや、違った。シンプルにガンバサポが、我が心のマイホームスタジアムこと‘hills of west’をジャックしてしまったということでございました。

 

それにしても、なんであんなに大挙して訪れたんだ? 2回戦でカマタマーレ相手にホームで戦ったときの観客は3500人。パナスタで3500人。じゃあ、アウェイで、かつ、相手は大学生なんだから、法政サポ含めて、せいぜい2000人くらいのものではないのか? やっぱりお盆だから? ガチ平日でなく、夏休みの、しかもお盆だと、こういうことになるのか?

それとも、この1ヶ月のチーム状況の進捗を鑑みて、「天皇杯が最も現実的に狙えるタイトル」という意識が急速にサポーターの間で共有されるようになったっていうこと?確かにリーグで優勝したり、ACL圏内を狙うには、何らかの‘覚醒’が発生しないと厳しいかもしれない。でもルヴァンは残ってますよね。つてことは、「オレたちには天皇杯しかない!」という状況ではない。……結局、「お盆スゲぇ!」、ないし、「西が丘、公称に比べて実体的な収容力はメッチャ少ないぞ!(有名な話)」ということなのでしょう。

 

この試合の目玉はFW遠藤だったでしょうか。スタメン表を見たときは遠藤インサイドで鈴木が左、福田が前線かと予想したのですが、鈴木インサイド、福田左の遠藤前線でした。で、遠藤がFWなのだから、エセ9番なフリーマン的になるのかと思いきや、わりとポジション遵守傾向にありましたね。ときどき低い位置まで降りていきましたが、基本的に相手最終ラインとセントラルで駆け引きする当番。せっかくの遠藤、なんだかもったいないなあ、という印象を否めない。

対する法政大学は武骨なカウンターを繰り出しまくりです。天皇杯でカテゴリーの違うチームが対決したときの、格下の側がよくやる、いつものパターンのカウンターサッカー。少ない手数で迷うことなくシュートを打っていく、みたいな。それから、これも格下の側の常道なのですが、守備とかトランジションとかが、とにかくハイインテンシティ。法政の場合、運動量が凄いというより、強度やカラダを張るとか、そういうところでガンバの華麗なテクニックに対抗しておりました。

 

で、そんな愚直さが天に届いたのか、法政大学が先制してしまいます。ガンバのハーフコート状態だったのは間違いないのですが、法政の6番のミドルシュートが突き刺さってしまったのです。迷うことなくシンプルにやると、こういうご褒美がありがち。リードされたG大阪は、総攻撃状態を法政に浴びせかけなければならないのですが、どうにも歯車が噛み合わない。歯車が噛み合わないというよりも、そもそも論としてG大阪の攻撃力を法政の守備力を上回ったという印象の前半戦でございました。

後半に入ると、G大阪は遠藤をアンカーに配置転換して構成力を高めようとします。したんだと思います。けれども、全く効果なし。キムヨングォンのところでしかボールを持てず、手を替え品を替え、宇佐美やら倉田やらアデミウソンやらを投入しても、結局は、キムヨングォンがパスの出しどころを探しノッキングするを繰り返すだけ。法政に決定的な2点目を許すと、ほぼ何も抵抗できないまま、シンプルな「実力負け」を喫してしまいました。

 

そんなわけで法政大学がG大阪を下した1戦となりました。この試合はもはやそういう感じでもなかったですが、一般的にこういうのを“大番狂わせ”とか“大金星”とか“ジャイアントキリング”とか言いますよね。台風の目になりつつある法政大学を見ていたら、「ひょっとして大学って、ジャイアントキリング向き?」とか思ったりしました。というのも、大学の体育会って、要するに軍隊的なわけですよ。儒教社会の論理を極言にまで純粋化した年功序列社会。

で、軍隊的であるから、とりあえずフィジカルは鍛えられているのですよ。大学サッカー部の連中って、場合によっちゃプロよりゴツい。だからインテンシティで引けをとらないし、軍隊的であるから、「何も考えず、とにかく突っ込んでこい!」ってのを抵抗なく遂行できる。ジャイアントキリングを起こすのは、いわば鉄砲玉集団による“一兵卒サッカー”であることが多く、その“一兵卒サッカー”と大学の体育会って、とても相性が良いのかもしれない、なんてことを考えさせられた西が丘の熱帯夜でございました。

 

露呈!〜岐阜vs福岡(8/11)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

実家への帰省ついでに、この日は長良川。岐阜と福岡の試合ですが、この両チームといえば、ズバリ、キーパーがヨーロッパ人。福岡はスペイン人のセランテスで、岐阜はドイツ人のジーバース!……ではなくってですね、6ポイントマッチですよ、6ポイントマッチ。勝ち点20で最下位の岐阜と、勝ち点24で19位の福岡。しかも岐阜が1試合消化が少ない状況なんで、わかりやすい裏天王山状態です。

両チームとも低迷しまくりだったので、ともにシーズン途中に監督交代。岐阜は実績十分の北野が大木さんのバトンを受け取り、福岡はコーチから久藤さんが昇格。とはいえ北野さんと久藤さんには、あまり共通点を感じない。というより、久藤さんとカブるのは磐田の鈴木秀人新監督ですよね。どちらも全盛期ジュビロのOBで、シーズン途中にコーチから監督へと昇格、しかもそれがトップチームの監督としては初就任ときたものだ。ついでにいえば、なかなかチームをV字回復させられていないところまで共通している。北野さんは着実にチームを上向かせている印象があります。

 

なんかね、スタジアムから川を隔てた「ナガラガワフレーバー」ってところを覗いてみてんですよ。じゃあ、オシャレカフェとかオシャレスイーツとかの吹き溜まり。どうせ、みんなタピオカってるんでしょうね!みたいな。別にオシャレカフェでもビールがあれば入ったんですが、コーヒーとかしかなかったので、ビールの口になるだけなって飲めないまま、スタジアムへ徒歩移動。物乞いのようなテンションでスタグル屋台村へ転がり込み、珍しくハイネケン樽生の店があったんで、そこで生ビール購入。そしたらですよ、この試合のイベント的なことで、生ビール購入者には、ソーセージ工房のそれ用ソーセージが無料配布されるときたもんだ。当然、列ができてる。ワタクシも並びます。もちろん並んでいる間にビールは飲みきる。そのタイミングで焼きたてソーセージが配布される。そうするとビールが欲しくなるので、また生ビールを購入する。そうすると、再びソーセージ券がもらえる。だから行列に並ぶ。並んでいる間にビールは飲みきる……(以下略)。

 

無限ループのしがらみを断ち切ったところでキックオフ。岐阜のサッカーについて観察してみる。観察しようとしてみる。じっと視線を送ってみる。……サッパリわからん。だって、この試合はバックスタンドで観戦してみた結果、思いっきり逆光なんですもん。あんな直射日光のなか、どんなサッカーをやってるかなんて判断できるわけもなく。とりあえず、水を撒きすぎてパスが繋がらないというあるある的な自爆現象が発生していたことは理解できた。

対する福岡は、なんと言ってもダブルボランチ鈴木淳加藤大ですよ。福岡のバンディエラと新潟の元レジェンド候補。この2人が中盤を組めば そりゃ、J2だったら、監督の手腕とは無関係に中盤は機能するわけですが、2人とも、他サポは相応にリスペクトしているにもかかわらず、自サポ(ドメサカブログとかでエンブレムを表記させて「我こそはサポーターの総意にあらせられるぞよ」って発言をする人)からは文句を言われがち。そんなダブルボランチアビスパ福岡でございます。

 

展開は、まあ、五分五分でしたかね。アビスパサポーターが「おいさ〜」って連呼するほど圧倒していたわけではないです。ただ、アビスパサポーターが「おいさ〜」なシチュエーションを適切に見つけ出していた、それだけサッカーを見る目が肥えているというだけで。でも、結果、先制してのは福岡ですからね。ディフレクションも実力の内。負けられない福岡が先制しました。

後半に入ると、個人的な期待としては「前田遼一が出てきて岐阜が押せ押せになるのかな」とかワクワクしてみたのですが、北野さんはディフェンダーとかボランチを入れ替えて、なかなか前田を出さない。逆に久藤さんは‘おーまいじょーご’を投入し、そして、その‘おーまいじょーご’がダメ押しゴールを決めて勝負あり。岐阜としては‘生々しい相手’と、ガップリよつに組んだ結果、いろいろと課題が露呈することとなりました。

 

前半にも述べたように、この日は岐阜城とか、あのエリアから徒歩で橋を渡ってスタジアムに入りました。そうしたところ、ビジター入口に遭遇。そこから「バックスタンドの入口はどこかしら?」と探した結果、そもそもアウェイゴール裏入口以外には中央ゲートしか存在しないという事実が判明。一回スタジアムを半周してメインスタンドにある入口に着き、そこから、スタジアムをもう半周してバックスタンド席にたどり着く、みたいな。うっかりスタジアムを丸1周してしまったよ。

1周しながらピッチを眺めつつ思ったのですが、長良川競技場って、陸上トラック付きの割には見やすいですよね。それから、もし座席を増設しなければならないとなっても、簡単にできそう。だって、両ゴール裏とか、バックスタンドの一部とか、いまだに芝生席なんですもん。東海圏の太平洋ベルトですから、それなりに都会なはずなんですけど、平野部の余裕なのか、平地に見えて実は湿地で開拓困難地が多かったというか、これだけ立派な施設を山の中ではないところに、しかも無理矢理感なく擁している、トヨタおこぼれ地域、恐るべし!

 

良かったり、良くなかったり〜清水vs松本(8/10)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

清水と松本って、「なんかキャラがかぶるなぁ」と感じていたのですが、キャラかぶりの背景がわかりました。松本空港と富士山空港ですよ。どちらも、「確かに地元の人が飛行機に乗ろうとしたら、無いと不便なんだろうけど、どこまで需要があるんだ?」ってところが似ている。その微妙な感じというのは、東京と名古屋の中間点だからこそ発生する微妙さ。ドラマ「白線流し」の最終話で、群像のそれぞれが東京へ、名古屋へと旅立って行った、あのイメージですね。

東京に住んでいると、ついついJRの論理が身に付いてしまうので、信州は関東圏感が強くて、静岡は東海圏色が濃い。ただ、静岡といっても伊豆はもはや関東。だけど、ここに「武田信玄」という要素を1枚噛ませると、途端に完全同一キャラになって、戦国時代は山梨県の属国ですよね。これを言えば一発で世代がバレますが、ワタクシが生まれて初めてしっかりと通して見た大河ドラマ中井貴一の「武田信玄」でございました。今宵はここまでに致しとうござりまする。

 

せっかく清水を訪ねたのだからと、この日は三保の松原まで足を延ばしてみました。すったもんだあって、どうにかこうにか世界遺産にねじ込んだ三保の松原です。戦後の日本って外交下手というかロビー活動とかができない国だったんですけど、三保の松原世界遺産にねじ込んだあたりから、そのあたりは諸外国並みになりましたね。

ただ、この日はあいにく富士山が失踪中で行方不明でした。どこの警察署に捜索願いを出せば良いんですかね? というか、富士山のヤツ、あれだけでっかい図体をしているくせにシャイ過ぎません? 明るい時間に新幹線に乗ったとしても、見えたことより見えなかったことの方が多い気がする。もう少しサービス精神を持っても良いような。昔、王貞治は「自分は消化試合であったとしても、絶対に手抜きはしない。なぜならば、こっちにとっては消化試合でも、スタンドには、もしかしたら、この試合がその人にとって最初で最後のプロ野球観戦になるって観客がいるかもしれない。そう考えると手抜きなんてできるわけがない」と答えたそうな。富士山にも王さんの爪の垢を煎じて飲ませたいところです。

 

ともあれ試合です。清水は北川の抜けた穴をどうするか、が少し不安視されていたのですが、杞憂だった模様。しょんないのダンナこと河井がトップ下にスポッと収まってます。“トップ下”と聞くと礒貝(元ガンバ)や大野(元レイソル)みたいな王様ファンタジスタを思い浮かべるのですが、河井は違いますね。要するにリンクマン。プロ野球でたとえるなら、30年前の巨人での岡崎郁や、20年前のロッテでのサブローみたいな、繋ぎの4番がときどきあらわれますよね、河井もそんなイメージです。

アウェイの松本は順位のわりには、内容は相当に良いサッカーをしてます。堂々と正面から渡り合ってます。特に目をひいたのが前線での守備。いわゆる“ハイプレス”と違って、陣地回復したあとは相手にクリアさせずにコーナーキック蟻地獄に引き込むような、そういう守備が素晴らしかったです。ついでにセルジーニョの技術も素晴らしかったです。

 

ただ、素晴らしくないものもあって、それはGK守田のキャッチング。コーナーキックを思いっきりポロリしてドウグラスの先制ゴールを献上してしまいました。「お前は80年代に大磯ロングビーチでやっていた女だらけの水泳大会か‼」とツッコまずにはいられない。そんな前半の戦いでございました。ちなみに、先制ゴールの後も基本的にはイーブンの応酬だったかと思われます。

後半に入ると松本は宮阪を投入してポゼッションを高めます。が、かえってこれが清水の試合運びを容易にしたかもしれません。45分間(+7分)を通じて清水がゲームをコントロールできていたと思います。ある程度、松本にボールを持たせながら、ドウグラスを中心としたカウンターを繰り出しつつ、危なげなく試合をクロージングさせた清水の完勝となりました。

 

試合を通じて印象に残った選手は2人。どちらも清水ですが、1人はヘナト・アウグスト。この選手は良いですね〜。まず、フィジカルが安定している。それから読みが良い。とても良い。なので、あらゆるプレーが 淀みないのです。どこにでも顔を出しますし、1対1でやられるそとはない、というか、そもそも1対1になったときにはすでに有利な状況を作り出している、みたいな。いかにも鹿島が好きそうな“王国のボランチ”。清水的には流失を全力で予防しなければならないでしょう。

逆に「あれ⁈ もっと魅力的な選手じゃなかったっけ?」との印象を拭えなかったのが金子。なんというか、突貫不足なんですよ。この選手を初めて見たのは、栃木にレンタルされていたとき。そのときの印象が鮮烈で、ガムシャラというか、突貫小僧というか。きっと、「この選手は関口訓充みたいなキャリアを重ねていくのかな?」とか思っていたのですよ。それなりに円熟味を増して、プレーの幅が広がっても、本質の部分はギラギラ全開の突貫小僧、みたいな。金子には、もっともっと猪突猛進して欲しいなぁ。