マエストロ白井!〜柏レイソルvsいわてグルージャ盛岡(6/12)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□あまり自治体がスタジアムにお金を出さないダービー

法治主義国家における原則として「既得権利権益の保護」というものがありますね。すでに獲得した権利については、その後の法改正などによって剥奪されることはないってヤツですし、あるいは、トランプの大貧民のように勝ったものが更に有利な状況を得るってのが、欧米文化の基本的な考え方。近代社会ってのは本質的に既得権益者優位なシステムで、その露骨な発露が核不拡散条約だったりします。 判官びいきな日本人にはいまだに少し馴染みにくいところ。

……という理由で、その後のスタジアム規定厳格化にもかかわらず、日立台をホームスタジアムとするレイソルには今なおJ1ライセンスを認められているところですが、ここでのミソは、日立柏サッカー場は、レイソル、というか日立が自前で建設して保有しているスタジアムということ。つまりそこに限れば行政からの支援を受けていない(固定資産税とか、そっち方面の話は知らんけど)。って話を聞くとグルージャ的には羨ましいんでしょうね。先日グルージャは「新スタ作るなら、総建築費40億、国の補助金は10億、残りの30億は民間で出せ!」って言われてましたよね。県と市はビタ一文出さないってことなのかしら?

 

□どちらの調子も悪い

さて、秋田から仙台まで新幹線移動の上、そこから特急ひたちで柏に乗り込んできた?グルージャは、ここ5試合で0勝0分5敗です。つまり全敗。順位は20位。つまり最下位。大ピンチです。そこで監督の中三川さんをコーチに、GMだった神野さんを新監督に配置転換するという謎人事を敢行しました。要するに予算の都合上ってヤツですね。最近は本腰を入れて経営参画を図ってくれる大企業が続いていましたが、ここだけは貧乏くじを引かされました。

迎え撃つレイソルは、リーグ戦に限ると、ここ5試合で2勝1分2敗。最後の2試合を連敗していて、順位を12位にまで下げている。直近はリーグ戦が中断でルヴァンカッププレーオフのホーム&アウェイを戦いましたが、敗退が決まってしまいました。つまり、あまり調子は良くない。天皇杯をきっかけにしたいところでしょう。

 

□カテゴリー違いのカップ戦あるある

というわけでピッチに目を移します。まずはグルージャ。1.5軍っぽかったですけど、最終ラインはなかなかネームヴァリュー高め。左からJ1各クラブで活躍してきた高橋峻希ヴェルディの星こと佐古真礼、3年前は町田の中心選手だった深津、若い頃からJ1で出番を得ていた小暮。経験豊富な面々だから、相手がレイソルだからってビビらない、佐古は怪しいけど。攻撃ではアジリティ系のアタッカーを揃えていましたが、奪ってからが遅め。奪ってすぐさまペナ角へ走り込むって感じは少なかったかも。

一方のレイソルは熊坂と熊澤のWボランチコンビ。「熊」って漢字を使う選手が1チームに2人いる時点で珍しいのに、同じボランチで、ともに今シーズンが大卒ルーキー。なんなら「くまざ」まで同じですからねえ、、、と思ったら「くまざか」でなく「くまさか」か。いや、「くまざわ」ではなく「くまさか」だ。なので「くまさ」まで同じ。…ってことは置いといて、サブ組レイソルの攻撃は「奪ったら直進、あとは一対一で勝て!」っていう、あまり計画性のないスタイル。格下相手のカップ戦で陥りがちなパターンに前半から片足を突っ込んでおりました。

ともあれ前半の攻防。あまりにも当然の構図ですが、レイソルが攻めます。とはいえ、守るとなればグルージャの守備陣はそれなりに対応できるので、なかなか急所を突けません。なんなら前半で最もボールがゴールネットに近づいたのは、レイソルが危うくオウンゴールしそうになったシーンだったかも。カテゴリー違いのカップ戦にいかにもありがちな前半戦でございました。

 

□即興から再現性へ

前半から「なんとなく出しやすいところにパスを出しとけ、繋がるし」みたいな感じで攻めていたレイソルですが、総じてラストパス1個前のプレーが雑。なかなか攻撃が形になりません。さすがに井原監督の我慢も限界ということだったのか、攻撃のオーソライズ、ゲームメークのできるマエストロ白井を投入します。ついでに問答無用のハイタワー木下、高精度クロッサーの川口を入れて、アウトインアウトの常套的な崩しを目指すことになります。

そして問答無用ハイタワー木下の問答無用なポストワークからの崩しを、最後は山本桜大がドッカンミドルを突き刺して、ようやく均衡を破りました。それにしても白井の投入で、一気にプロのサッカーになった。パスワークが戦略的になったというか、ラストパスから丁寧に逆算された、再現性のある攻撃をレイソルは繰り返すようになりました。まじマエストロ。〝第2の岩尾憲〟の称号を身に纏う日も近いのではなかろうか。

追いかけなければならなくなつたグルージャは、直前に投入していたオタボーに加えて、魂の3枚替えで打開を図ります。水野晃樹とか出てきた。とはいえ、それで試合の趨勢が変わるかというと、そんな簡単なこっちゃない。むしろ、縦ふわりパスへの裏抜けからのクロスに飛び込んだ山本桜大がこの日2点目のゴールを突き刺して、レイソルがリードを広げる。その後は、めんどくさいのでグルージャにボールを持たせたりしながら、しっかりとレイソルが試合をクローズさせましたとさ。