「ジュビロ包囲網ダービー」「YBダービー」「夢見る若者ダービー」2014シーズンを振り返る・日本各地のダービー

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ジュビロ包囲網ダービー[相模原vs藤枝(4月20日)]

え、藤枝といえば、静岡県ですね。アビスパ福岡の前身が藤枝ブルックスなわけですが、「いったい、サッカーのチームがあるんだよ!」ってくらいのサッカーどころの静岡県は、東西にとっても長い。一般的に静岡県の地域性は3分割とか4分割して把握される傾向にあるようですが、ここは大胆に、静岡市より東か西かで2分割してみましょう。その場合、藤枝市は西寄りの地域ってことになって、藤枝は磐田の近所ということになる。

 

 

そんな藤枝は「MYFC」を名乗るようになった黎明期以来、斉藤俊秀をクラブの支柱として運営してきました。斉藤俊秀といえば清水のバンディエラ風の存在ですから、清水によって磐田包囲網の一角として藤枝まで先遣隊チックに派遣されたと考えられなくない。一方の相模原に目を移すと、藤枝における斉藤俊秀的な存在を相模原に求めたとき、それは望月重良ということになる。望月重良といえば、監督の任こそ請け負っていないですが、「クラブの顔役としてフロントを担う元日本代表」ですからね。

 

 

その望月、現役時代は神戸・千葉・仙台など、けっこうなクラブ数を渡り歩いた選手でしたけど、キャリアのスタートは名古屋でした。お気づきでしょうか、名古屋って、まぁまぁ磐田に近いですよね。名古屋と静岡(清水)を足して2で割ったら、だいたい磐田とか浜松とかになりますよね。ゆえに、この一戦は「ジュビロ包囲網ダービー」と言えるでしょう。

 

 

 

■YBダービー[ベレーザvs岡山湯郷Belle(4月26日)]

え、この試合の2週間ほど前に、ヴェルディvsファジアーノを見ていたのですね。勿論そのときにもダービーシリーズを書いておりますので、さすがに、ネタ切れなわけですよ。東京都と岡山県という括りで考えるのは。仕方ないので、湯郷ベルの“湯郷”に注目するしかない。湯郷といえば、岡山県の中でも岡山市などの備前だか、備中だか、備後ではなく、“美作”ですからね。少し毛色が違うと想像されるわけですね。

 

 

要するに、山間部なわけで、平野部に比べて“田舎”と言いましょうか、人口密度が低いと言いましょうか、長閑なんだろうと。で、そういう意味ではベレーザも負けていません。この試合は世田谷区駒沢という高級住宅街で行われましたが、本来の拠点は、よみうりランド、東京都稲城市ですからね。武蔵野台地とか、多摩丘陵とか、そういう広域地名で把握される地域。岡山における湯郷のポジションと、東京都における稲城のそれは、かなり近いように思われます。

 

 

ただ、そんな難しいことを考えなくとも、両チームには一目瞭然な共通点がありますよね。なんせ、“ベレーザ”と“ベル”ですからね。両チームとも、チーム名の最初の文字がカタカナの“ベ”。これ以上、わかりやすい共通点があるでしょうか。しかも、ベレーザは一時期、“読売ベレーザ”でしたので、イニシャルにすると“YB”。湯郷ベルも“YB”ですから、この一戦は“YBダービー”と位置づけられるでしょう。

 

 

 

■夢見る若者ダービー[SC相模原vsU22選抜(4月29日)]

改めて確認しておくとU22選抜という制度は22歳以下の若手選手に実戦の機会を与えようという制度ですね。ゆえに、22歳以下の若者たちが青雲の志を胸に抱えて参加している(はず)。22歳、あるいは23歳というのは、世間では大学生に相当する年代です。ゴリゴリの“若者”です。“成績優秀”であるとか“スポーツに顕著な功績を収める”ことが評価される高校までの世界ではなく、いわゆる“リア充”であるかどうかが、その人の価値を決めるような世界。それが大学。

 

 

簡単に言うと、「世間との付き合い方」を身につけつつ、自らの生き方を定めていく、そういう世代。「夢や好きでは飯が食えない。飯が食えなきゃ、誰も評価してくれない」って現実の中で、それでも夢を追うのかどうかの決断を迫られる。この試合が行われたのはギオンスタジアムですが、ここの最寄りバス停は“女子美術大”。美大生とスポーツ推薦で進学した大学生って、まさに境遇が同じですよね。「夢や好きでは飯が食えない」と日々戦っている若者たち。

 

 

ゆえに「夢見る若者ダービー」と名付けたいところですが、どっこい、U22の選手たちは、月給を貰っている社会人です。彼らは、同年代の「○○の卵」とは、そもそもの立場が違う。もちろん、プライベートでは、そういう、大学などで夢を追う卵たちと親しくしているんだとは思いますが、やはり、彼らはプロ。周囲には不遜と感じられるかもしれませんが、「そこんところは、一緒にするな!」くらいのプロ意識、矜持を持っていて欲しいものです。