■カメルーン 1 vs 4 ブラジル[WCグループA 06月24日]
序盤はカメルーンも悪くなかったんですけどねぇ。なぜか右SBのニョムがタッチラインを割ったボールを追いかけながら、ネイマールを小突いて危うくレッドカードになりそうになったりとかして、前戦からの悪い状態を自ら呼び戻してしまいました。そんなことをしているから、中盤左側でボールを奪ったグスタボが一気に攻め上がって入れたクロスに、ネイマールがクラッキそのものな落ち着いたワンタッチシュートを決めるってもんだ。いったい何故そうなるんだ、カメルーン・・・。
それでも、カメルーンが追いついてしまうんですねぇ。コーナーキックからマティプがドンピシャヘッド。それが思いっきりバーを叩きながらも、再度、コーナーキック。そこからの流れで、左サイドのタッチライン際での粘りから送られたクロスに合わせたのが、先にゴールを取り損なったマティプ。上手なシュートでしたねぇ。やれば出来るんだから、無駄なラフプレーとか、しなければ良いのに。それが一番難しいんでしょうけど。
ただし、この試合のネイマールはカメルーンの火事場パワーを軽く凌駕していた。ダビドシウバの縦ポンが跳ね返されたのをマルセロがダイレクトでネイマールに送る。で、ネイマールはそのボールを完璧にトラップして、ゲットゴール。役者が一枚違います。もっとも、これでカメルーンが気落ちしたり、ワンサイドゲームになったりってことはなく。というか、両チームがそういうコンディションだったということでしょうけど、前半のうちから「後半の20分か!」みたいな、オープンな展開で、しばき合いになってましたよね。あまり緊張感が感じられない前半でした。
後半になると、ブラジルはさらに追加点。ネイマールのドリブル突破で得たフリーキックからの流れでダビドルイスがクロス。チアゴシウバが相手守備陣を引き連れたことで、フリーになったフレッジが頭で押し込んだ得点。オフサイド疑惑はおいとくとして。で、2戦目のクロアチア戦と同様に、60分くらいの時間帯でカメルーンのプレー強度は急激に低下しはじめる。簡単にいうと前半から飛ばしすぎ。そこでゴールが奪えればよいのですけど、それができないからドツボにはまる。
こうなるとブラジルは余裕モード。ネイマールなんかは、うっかりヒールリフトとかしようとして失敗したりする。で、精神的に余裕のある状態でのブラジルは本当に強い。「これぞ、試合巧者!」というゲーム運びで相手をもてあそぶ。そして後半39分には、「ぐぅ」の音もでないようなダメ押しの4点目を叩き込む。決めたのはフェルナンジーニョ。相手のルーズなリスタートを奪って、フレッジとのワンツーから抜け出しました。ブラジルの圧勝。危なげなく一位通過を決めました。
ということで、「ブラジル、強し!」と言いたいところなのですが、カメルーンがグズグズだっただけで、お世辞にもブラジルがよいサッカーをしていたわけではない。後半になって相手のプレスが薄弱になってからはコンビプレーも見られましたが、試合に緊張感が維持されていた早い時間帯においては、ダビドルイスやチアゴシウバが出しどころを見つけられなくて、仕方なくスペースにロングフィードしてネイマールなりオスカルなりを走らせるって攻撃ばかり。
で、なぜそうなるかというと、攻守においてボランチの存在感が希薄だったから。中盤でボールを奪えればショートカウンターを仕掛けられて、ショートカウンターが発動すれば、それなりに小気味よいパスワークも出現するでしょうけど、どうにも中盤より前でのプレスが有効に作用しない。全体が連動してフォアチェックやらハードプレスやらするって雰囲気がない。今大会、最終的にブラジルは、かなり厳しいエピローグを迎えましたが、やはりチームの「ヘソ」が機能しないとなると、それも仕方ないのかな、というのが、この試合の感想です。