■未来の東京ヴェルディへの展望[東京Vvs鳥取(07月15日)]
ワタクシ、2012シーズンは、ヴェルディ戦を主にアウェイVシートの最もホーム寄りで見ることが多ございました。緩衝帯があることにはありますが、それほどボリューミーじゃないので、ホームVシートの様子はよく観察できます。
この日も、そんな感じで眺めていたのですが、ヴェルディのホームVシートには名物お兄さんがいらっしゃいますよね。ゴール裏のサポーターグループから派遣されているのか、個人の判断として行っているのかは存じ上げませんが、選手入場のときなどに、「皆さんも固まって立って、タオルを掲げましょう!」みたいな煽りをする、あのお兄さんです。
このお方、なんとなくナヨナヨしている。声も細いし、毅然ともしていない。圧倒的な存在感で視線を釘付けにしたり、皆を引き込む巧みな話術を繰り出すわけでもない。どちらかといえば人前に出たり、集団を率いたりするのは苦手そうなタイプ。
なのですが、何回か見ていると、だんだんクセになっていきますよね。なんというか、「はじめてのおつかい」みたいな雰囲気があって、協力したり応援したりせざるをえない感じ。というよりも、もはやそれを狙って意識的にナヨナヨ感を演出しているんじゃないかって疑いさえ禁じ得ない。
彼を、微笑ましく見守る母性愛に溢れたギャラリーの様子も含めて、なんかね、非常にアットホームなんですよ。発足当時はアットホームから最も遠いところにいたクラブが、観客動員を減らし、親会社を失うなかでスモールクラブ化した結果、こういうアットホーム感に満ち溢れたクラブになったのかと思うと感慨に耐えませんし、それはそれで怪我の功名的な側面もあるのかな、とクラブの今後の展開に目が離せなくなりました。かつての「V川崎」とは真逆のクラブが、ひょっとしたら将来的に現出するのかも、みたいな。
■松本サポの若さ[湘南vs松本(07月01日)]
この日、平塚競技場に向かおうと、平塚駅からシャトルバスに乗り込みました。そうしたところ、ま、当然のことなのですが、松本サポーターが乗っているわけです。それで思ったのですが、松本のサポって、若い人もかなり多いですよね。
今から510年前くらいに、頻りに「Jリーグサポーターの高齢化」が取り沙汰されました。最近はそこまで頻繁には耳にしませんので、それなりに世代交代も進んでいるのかもしれませんが、とはいえ、やはり今なおJリーグのゴール裏を支えているのは、「1993年にJリーグが開幕したときには物心が付いていた」って層かと思われます。「夏の日の1993」を口ずさめる筈です。
そう考えると山雅というのは、後発クラブがゆえに、サポーターの年齢層も、それなりに若いのかもしれません。それを実感したのが、試合前のコール。この日はJリーグの公式ナンチャラこと足立梨花ちゃん、通称「あだっちぃ」が来場していて、選手入場の前に土砂降りの雨の中、チラッと姿を表しました。
それに対しベルマーレサポは基本的に無反応。一方、山雅サポは「あだっちぃ」コールを送ります。こういう部分の柔軟性というか、「ノリ」というか、遊び心は、感性が若い証拠ですよね。人間、年をとると、どうしても、「臨機応変にその場を楽しむ」ことより、「パターン化した作法に則り、粛々といつも通りの行動を繰り返す」ことに力点を置いてしまいます。
そのような「大いなるパターン化」「ただただ作法通りに進める応援スタイル」というのは、近年のJリーグで殊に顕著だと思うのですよ。そういう意味では、発足して20年が経ったJリーグ各チームのゴール裏も、そろそろ感性的な老化が始まっているのかもしれません。
■浦和サポーターのブーイングと拍手[浦和vs鳥栖(07月07日)]
ワタクシは、基本的に、試合の流れを無視した軍隊的な応援スタイルがあまり好きではありません。なんだか、マスゲームを見ているような気分になるんですね。逆に試合の流れに沿った喜怒哀楽が表現されるような応援を見ると、嬉しい気分になったりします。
さて、この試合、戦力的に格下に位置付けられるアウェイの鳥栖は、前半のスコアレスって段階から、しっかり時間を使っていくという選択を取りました。特にゴールキックの時などは、ここぞとばかりに時間を浪費していたのですが、そういうシーンでは、すかさず浦和ゴール裏からブーイングが飛びます。
これだけなら、よくある情景なのですが、浦和サポの小憎いところは、時間潰しの度合いによってブーイングの音量に相違があること。試合の終盤、鳥栖が押せ押せになり、浦和守備陣がバタバタしてしまっているときなどにも、一際デッカいボリュームのブーイングが鳥栖GKにぶつけられました。
ちゃんと、サッカーを見ているわけですよ、浦和サポは。勿論それは相手へのブーイングだけでなく、自チームに対する拍手においても同じ。
浦和サポは、割と「拍手したがり」なのですが、特に顕著なのは、サイドチェンジなど、「局面を変えるプレー」に対し、積極的に拍手を送る傾向が強いこと。ということは、「局面が変わったこと」をしっかり認識した上で、それが拍手に値するプレーだと判断し、拍手をするという選択を下しているわけです。
ときどき相手も味方も関係なく、それが無駄で消極的なプレーなのか、全体の展開からすれば合理的なチョイスなのかなど全くお構いなしに、キーパーへのバックパスが発生すると、一斉にブーイングを飛ばしたがるサポーターさんがいらっしゃって、どうも、そういう儀礼化したブーイングが好きになれないのですが、この日の浦和サポはそのへん好印象でした。