老獪な甲府、一歩及ばず甲府vs浦和(7月6日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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序盤は浦和が空回りしていましたかね。もはや常識と化しつつありますが、浦和やら広島やらは攻撃の時に「415」となります。ミシャさん自ら吐露しているように、これは4バックを攻略するために築き上げられたシステムなわけですので、5トップvs4バックという数的有利を、相手最終ラインで作り出せます。

しかも、この試合では、平川・梅崎がそのように心がけたからか、甲府との噛み合わせの結果か、ともあれ、かなり早いタイミングで両WBが最前線に陣取り5トップ状態を作れていた。だったら、その数的ギャップを上手く利用すれば良いようにも思えるのですが、レッズのビルドアップ、具体的にはほとんど阿部が担っていたかと思われますけど、いわゆる‘一列飛ばす’ってヤツに対し、非常に禁欲的。几帳面にも2列目(柏木と原口)を経由してからスピードアップしようとする。

なので、甲府は、この2人を潰しのポイントとして、次々とボールを奪取していきます。それでも、総体としての地力で一枚上をいく浦和がなんだかんだで押し込みます。ただ、そこからの甲府が老獪。伊東やら山本やら土屋が固めるセンターの守備に綻びができないので、浦和としては押し込んでいる割にはシュートが少ないという展開が続きました。

それにしても甲府は老練なサッカーを展開していました。平年より大幅に早くシーズンインした梅雨さんは、数日を除いてまとまった雨を降らせることなく、平年に比べて異常に早足に駆け抜けていった。てなわけで、まぁ、この日は暑かった。

そして、なんだかんだで、どう考えてもまともに正面衝突したら分が悪いということもあって、甲府は前半の00の時間帯からキーパー河田を中心に露骨な時間稼ぎモード。相手の若さをいなしてやり過ごそうというアダルティな知恵が見え隠れします。いうならば、大人の映像作品をレンタルするとき、上と下にノーマルなジャンルを置き、真ん中にディープな嗜好性のヤツを挟み込むくらい、大人の知恵ってものに溢れている。

だから、守備のラインは深く深く構える。そして、危険じゃないところで散々パスを回させる。しかし、バイタル真ん中だけは固めるので、決定的には崩されないですし、上手く相手のパスミスを引っかけたときには、シュートまで持ち込み、‘やりきる’という部分に妥協がない。前半は甲府の思惑通りに進んだといって良いでしょう。

しかし、後半になると、体力的にも、集中力的にも、やはり甲府は厳しくなる。ハーフタイムが空けてからも暫くは堪え忍んでいた甲府ですが、55分くらいから俄に試合は動き出します。ワタクシの実感では、それくらいの時間帯に槙野が左サイドを突破し、えぐった場面があったのですが、そのプレーを契機に潮目が変わったような印象があります。

これ以降、オープンで攻守の切り替えが早い展開になり、両チームの選手とも、おもむろにヒートアップしはじめめます。特にエキサイトが顕著だったのが平本。「あわや乱闘」みたいなシーンがありましたね。この試合、原口を眺めながら、「この選手も年齢を重ねれば、平本みたいにカドが取れていくのかなぁ?」とか考えていたのですが、どっこい平本、カドが取れていなかった(笑)

ともあれ試合は肉弾戦の様相を呈するようになり、同時に消耗戦にもなっていったわけですが、そういうなかで勝負を決定づけたのは〈梅崎那須〉のホットライン。前半の浦和に足りていなかった‘一列飛ばす’パス、すなわちアーリークロスを梅崎が、やや適当気味に放り込むと、それがピタリと那須の頭に届いてしまった。そして、那須が、さすがの決定力を見せつけてしまった。

どうにかこうにか守ってきた甲府にとって、この失点は痛かった。残り10分程度という段階では、さしもの経験豊富な甲府にも、そうそう攻め返す余力など残っていない。しかも、甲府は、これより少し前の時間に1トップを平本からウーゴにスイッチしてしまっていた。

「外国籍選手をめぐって迷走している」と揶揄されているヴァンフォーレですが、それも確かに致し方ない。というのもウーゴ、得点は決めているようですが、日本に来るブラジル人FWにありがちなパターンで、‘ボールを収める’という部分に決定的な難がある。平本からウーゴへの交代は、結果論として失敗だったと思います。むしろ、マルシオやら原口やらが「1対1を外してくれてありがとう!」という流れのまま、タイムアップを迎えました。

□日本代表への推薦状

・推薦者

両チームのWボランチ

・推薦理由

いやぁ、見応えありましたね。両チームWボランチの攻防。皆、キャリアを適切に積み重ねてきたベテラン選手だけあって、それぞれに‘一芸’がある。阿部ならビルドアップ、鈴木啓太ならカバーリング山本英臣ならツボを押さえた上下動、伊東輝なら瞬間的にベストな選択をチョイスする判断力(と、それを実行する技術力)。彼らが現在どこまで世界を相手に戦えるかという部分はさておいてでも、彼らの存在が現況のザックジャパン戦士にどのような刺激を与えるのかって部分に、かなり興味があります。