采配の明暗浦和vsセレッソ(5月17日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦☆

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久しぶりに5万人を超えるスタジアムでJリーグを見ました。

■前半

序盤から浦和が一方的ともいえる攻勢を見せましたね。ホポビッチといえば攻撃的なパスサッカーというイメージが強くて、もっと“撃ち合い”になるのかなぁとか思って見ていたのですが、いささか拍子抜けな展開。

両チームとも前半ですからシンプルにリスクをかけすぎないで攻めるわけですが、浦和については、この試合、1トップに入った興梠の裏抜けが効いていたと思います。何度となく、セレッソ守備陣は後ろ向きに走らされていました。それから、サイドの攻防。サイドの攻防で浦和がセレッソを圧倒していたと思います。実際に梅崎と宇賀神が、ゴールライン近くの深い位置でフリーに近い状態になっているシーンが多くみられましたし、何よりも槙野がよく攻撃参加できていた。やはりサイドアタックに3人目選手が加わってくると、相手としても、なかなか対応が難しい。こういう、攻撃にアクセントを加える専門職としてなら、槙野は、やっぱり超一流です。

逆にセレッソは攻撃に厚みがなかった。例に漏れず1トップに入ったフォルランに注目してたのですが、ずっと孤立していましたね。そして、それは周囲とのコンビネーションとか、そういう問題ではなくって、構造的にそうならざるをえない。というのも、セレッソは守備のときには2シャドーがSHの位置まで開いてゾーンを作るのですね。サンフレッチェ式。で、そういうシステムだと、押し込まれた状況において、どうしても1トップが孤立してしまう。

そもそも、そういう戦術であるならば柿谷や南野をシャドーに入れるのは如何なものか。ずっとSHとしてサイドの守備に忙殺されていましたので、ゴールに近いポジショニングはほとんど取れず、柿谷なり南野なりの繊細なテクニックが生かされる機会はまるでなかった。2人のテクニックの無駄遣いとしか言いようがない。守備時においても比較的セントラルな位置取りを許されていた浦和の柏木・原口とは対照的で、原口と柿谷とではカウンターの時におけるゴールまでの距離に大きな相違がありました。

■後半

後半になっても、なかなかセレッソは局面を打開できない。セレッソ封殺の立役者は那須だったでしょうか。3バックの真ん中の位置でフォルランをしっかり抑えていましたよね。競り合いなどは、ほとんど完勝だった印象があります。しかも、那須は地味に結構な回数に渡り攻撃にも参加していて、それがまた機能していたのですよ。山下・藤本・カチャルの3バックがほとんどオーバーラップしなかったセレッソ3バックとは、この部分においても対照的でした。

とはいえ、後半も15分くらいを過ぎると、浦和の攻守に渡る強度も落ちてきて、少しずつセレッソも押し返し始める。反撃の狼煙を上げていたのは南野。長い距離を走りつつカウンターの起点となってましたね。そして、南野がそれなりに存在感を示し始めたことで、柿谷やフォルランへのマークも緩くなりますから、両エースがゴール前でプレーに絡む回数も増えていきます。セレッソ的には悪くない流れ。ただ、この南野、味方に出すパスがいわゆる“鬼パス”なのですよ。というかセレッソ全体が“鬼パス”ばっかり出すのですよ。そうなると、なかなか攻撃は繋がりません。トラップしきれず奪われてしまうって感じでなかなか決定機にまでは結びつかない。

一方の浦和は、状況の変化を前にペトロビッチ監督が強気の采配を採ります。南野が躍動した背景には梅崎の運動量低下があると思われましたので、そこを入れ替えます。注目すべきは、そこで守備の計算ができる平川ではなく、若手の関根とスイッチしたこと。そして、その関根が決勝ゴールを決めてしまったこと。まさに「攻撃は最大の防御」。若手の起用には慎重なイメージのあるペトロビッチ監督ですが、関根については抜擢に近い使い方をしてきた。その関根が、ここで結果を残した。監督としても、サポーターとしても、これぞ“お約束の結末”だったと御推察申し上げます。

逆にポポビッチ采配は、少なくとも見ている側からすれば、消化不良。柿谷の決定力を生かすための措置を取ったりすることもなく、ポジションごとに選手をそのまま入れ替えるだけの対処療法に終始しました。それを否定するつもりはありませんが、結果が出ていませんので、サポーターのフラストレーションは溜まりつつあるかもしれません。

■日本代表への推薦状

□推薦者

原口元気

□推薦理由

ブラジルワールドカップのメンバーからは惜しくも落選しましたね。おそらく原口が入りうるとしたら、ジョーカー枠だったと思われますが、そこの役割として選ばれたのは斎藤学でした。では、斎藤学と原口の明暗を分けたものは何か? 今シーズンに限れば斎藤学はそこまで特別なプレーを連発させているわけではない。そもそも所属チームが輝いていない。ただ、その中でもドリブルのスペシャリストとしての片鱗は覗かせています。

一方で原口はチームの調子も良いし、自身のコンディションも良さそう。そして単なるドリブラーからオールラウンドなアタッカーへと変貌を遂げつつある。ただ、私見では、そのジェネラリスト化が皮肉にも彼を代表から遠ざけたのかもしれません。切り札として使われる選手に求められるのはジェネラリスト的要素ではなく、スペシャリスト的要素ですからね。今の原口が輝くのは先発としての使われ方でしょう。だとしたら、新チームには発足から選出されて中心選手になってもらいたいところです。