FC東京のバイタル攻略に感心しつつ、ラーメンマンに思いを馳せる【FC東京vs名古屋】&【なでしこvs中国女子代表】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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FC東京 3 vs 1 名古屋[J1第7節 4月20日]

高すぎでしょ。ケネディダニルソンが真ん中やや左から左足で入れたクロスに、ケネディが問答無用のヘディング。さすがオーストラリアのハイタワー、田中てるキングを再びベンチに追いやるだけのことはあります。一芸以外の部分に不満はあれども、それを補って余りあるくらいの突き抜けた一芸があれば、それでオッケーってことですね。ともあれ、名古屋が先制。

ホームのFC東京は、距離感の良いパス回しで名古屋守備陣の攻略にかかります。バイタルでボールを持つと、PA内のスペース(グランパス最終ラインの裏)に向かって、狙い澄ましたライナー性のボールを送り続け、1対1、あるいはそれに近いシーンを作ります。

同点ゴールなどは、まさに、その形から。持ち上がった徳永がルーカスに預けて、パス&ゴー。ルーカスは、しなやかな身のこなしから前を向き、スペースに走った徳永へとフワッとしたライナー性のパス。完全に抜け出した徳永をグランパス左SBの本多が倒してPK。それをルーカスがキッチリ決めて同点とします。

この日の主審・井上さんは、なかなかジャッジが不安定で、闘莉王による故意としか思えない一発退場級のハンドを思いっきりスルーするなど、当初はFC東京に厳しい判定が多かったのですが、名古屋は、「今日のレフリーは我々贔屓に違いない!」と調子に乗りすぎたのか、PK献上地獄に巻き込まれていきます。

というわけで、FC東京の勝ち越しゴールもPK。流れの中でオーバーラップしていた森重がPA内でドリブル。たまらず滑り込んでしまった田中隼磨の足が森重にかかって、再びPKを獲得。そして、やはり再びルーカスがしっかりとゴールを揺らせました。楢崎相手に2回続けてPKを決めるのは、かなり難しいと思いますが、‘年の功より亀の甲’とはよく言ったものです。

この試合、名古屋の守備陣は、特に前半、異様に高いライン設定をしていて、なかでも田中隼磨のサイドが狙い目になっていたのですが、サイドを突かれた上で隼磨が対処するというシーンが繰り返され、実は右サイドに誘導する追い込み漁を名古屋は仕掛けていたのかとも思われましたが、どうやら考え過ぎだったらしい。

さて、前半から隼磨サイドを中心に、狙い澄ましたライナー性のパスでチャンスを量産していたFC東京ですが、途中までは、ことごとく千真っちがブレーキとなっていました。「いくらなんでも外しすぎだろ!」くらいに。ただ、それで終わらないのが渡邊さんちの次男坊。欲しくて欲しくて仕方なかった追加点を、‘らしい’弾丸ミドルでもたらしました。

ということで、連敗中で悪い流れにあったFC東京は待望の勝ち点3を獲得。中盤戦以降の反攻に期待が抱けそうです。

■なでしこ 1 vs 0 中国女子代表[アルガルベカップ順位決定戦 03月13日]

我々が子どもの頃の中国って、まだバリバリの‘東側陣営’の国で、情報がほとんど国外に出ていなかったのと、反資本主義的な‘ヒール’の役割をソビエト連邦が一身に請け負っていたこともあって、ミステリアスというか、同時代的なイメージを具体的に思い浮かべることのない国でした。

毛沢東的な方法論がそれなり機能していたこともあって、そこまで極端に仮想敵イメージを教育によって政治的に浸透させる必要もなかったのか、仮にあったとしても、そういうのが日本の子どもにまで漏れ伝わることは無かったので、今と違って牧歌的なイメージを抱いておりました。冷戦構造が、日本と中国の関係を逆にほのぼのとしていたのかもしれないと思うと、なんだか皮肉ですけど。

ともあれ、そんな団塊ジュニア世代が‘中国’と聞いて、まず思い浮かべたのが、ずばり、カンフーとか少林寺。「聖闘士星矢」の老師とか、要するに「アチョ」ってなイメージ。そんな我々世代の中国像に決定的な影響を与えたのが、そう『キン肉マン』のラーメンマンですね。あのイメージが強すぎて、いまだに「中国人」と聞くと、弁髪とか纏足とかしてんじゃないかと考えてしまうのはワタクシだけでないはず。

で、なんか、中国女子代表の選手達って、プレーがラフとか、そういった要素を捨象して、ルックスだけを観察すると、我々世代にこびりついた清朝的中国観のベタなイメージを喚起させるような雰囲気でしたね。なんだか、『初恋のきた道』に出てきそうな。そんな、カンフー女子たちがハイプレスでガンガンときた前半は、非常に苦労しました、我らがなでしこ。ただ、そんななでしこも、アクシデンタルな田中明日菜の投入も含めて、選手交代のたびにリズムを良くしていくと、なんだかんだで先制点を奪って、そのまま逃げ切ることに成功します。

決勝点を叩き込んだのはエースな彼女。フリーキックの準備をしているとき、なんか、ひそひそ相談していましたよね、大儀見と中島。で、その中島のキックが転んだ先に大儀見が飛び込んだんですから、計算通りだったのかもしれません。貫禄十分、センスに加えて人間力も加わってきた感じが少し柿谷っぽいのかな、優季さん。

先制点を奪われた後の中国はグダグダになりましたので、逃げ切ったことに大きな価値はありません。また、リズムを取り戻したといっても、わりと他律的な要素もありましたし。‘カンフーサッカー’と揶揄されることもある中国サッカーですから、あたりは強い。というか、ラフ。そんな中国代表のプレーに対し、大会の性質上、当初は緩めのレフェリングをしていた主審さんも、前半の中頃に日本側のPA内で19番の選手が熊谷にレイトタックルを仕掛けて以降は、ジャッジが露骨に厳しくなりました。日本を応援しているワタクシから見ても、「少し厳しすぎるかな」ってくらい、日本に有利な笛となっていたので、そういうアシストもあっての10だという点を肝に銘じておかなければなりません。