■なでしこ 2 vs 4 北朝鮮[東アジアカップ 08月01日]
この一戦、なでしこも北朝鮮も、ともに縦に速い攻撃を繰り返していました。ただ、見た目に伝わってくるイメージは随分と違った。北朝鮮の攻撃を一言であらわすなら“ダイナミック”という印象だったのに対し、なでしこは“小気味よさ”。ただ、いかんせん、なでしこの“小気味よさ”の発動率が低かったですねぇ。なので、なんとなく北朝鮮がゲームを支配しているかのような雰囲気が漂っていました。
前半に京川がPKを与えたシーンなんかは、京川をはじめとするなでしこの面々は言うに及ばす、審判や会場も、そこはかとなく北朝鮮のダイナミックさにのみこまれていたような感じがしないでもない。このPKそのものは山根のグッジョブで事なきを得ましたけど、前半のうちに先制点を許したというのも、流れ的には理解できるところ。フリーキックから失点してしまいました。
ハーフタイムが明けても、今ひとつリズム感が出てこないなでしこジャパン。簡単にいうと、余裕を持ったボール回しができていなかったんですけど、チーム全体が落ち着かない中で、比較的、“いつもの感じ”でプレーできていたのが増矢。この選手にボールが入ると、必ず、何かしら意図のあるワンプレーが発動していた。そして、同点ゴールを決めたのも増矢。上尾野辺のキックに菅澤が潰れると、こぼれ球を拾った増矢がクイックモーションでシュートを突き刺しました。
キック&ラッシュなサッカーを続ける北朝鮮は後半の15分を過ぎたあたりで、早くも選手が足を攣って交代したりする。寒い地域で生まれ育った選手たちだけに武漢の酷暑にカラダがフィットし切れていないのか、あるいはお国柄的に栄養状態が微妙なのか、ともあれ、相手の足が止まってきたので、パスワークを得意とするなでしこ的にはチャンスが増えるのかな、なんて楽観的に見ていたら、北朝鮮が発動した抜群のクオリティを伴ったカウンターに屈し、勝ち越されてしまいます。
それでも、なでしこ的には少しずつリズムが良くなっていたんですよねぇ。前半から、ルックアップという作業が絶望的にできていなかったんですけど、後半に入ると川村あたりが“ボールを収めて、ルックアップしてから大きな展開で左右に揺さぶる”ってことができるようになりつつあった。杉田のスーパーミドルが決まったのも、そういう流れの良さの後押しがあってのこと。
ま、結局、最後は北朝鮮のエースであるラ・ウンシムの圧倒的な個人技の前に2失点を喫し、24というスコアでの完敗となってしまいましたけど、バッシングを受けるほど酷い内容ではなかったんじゃないでしょうか。守備組織の成熟にかなりの課題はありましたけど、そんなもん、今大会の位置づけ的に甘受せねば仕方ないでしょう。