■広島 4 vs 1 C大阪[J1リーグ第33節 11月24日]
森崎和幸のクサビを佐藤寿人が上手く捌き高萩へ。高萩のスルーパスは相手DFに阻まれましたが、その跳ね返りを再び高萩が拾ってミドルシュートを放つと、そのまま鮮やかに決まって広島が先制します。こういう‘美味しいとこ奪り’感が、いかにも天才肌の高萩らしい。
広島は、先制点の余韻も消えぬ前半20分、これまた素晴らしい形で追加点を奪います。左WB清水のクロスを右WBの石川が折り返し、ファースト(系)ボランチの青山が押し込むんですから、ホームの声援を背に、プレッシャーをものともせず、いかにイレブンがアグレッシブであったかが伝わってきます。
セレッソにとってはシビアな展開になったわけですが、これくらいは、まだまだ序の口でした。右SBの酒本が負傷退場すると、代わりに山口蛍がスライド。しかし、その山口がPKを献上した上、一発レッドで退場し、それを佐藤寿人に決められる。・・・相変わらず家本さんは、、、空気を読まない。。。ジャッジ自体は教科書的な正解ではあるのかもしれないですけど、2点先行されたセレッソには弱り目に祟り目としか表現しようのない状況となりました。
後半のセレッソは、山下を投入し、藤本を右に出しバランスを整え、どうにか一矢報いようとしますが、「そっちが一矢ならば、こっちは毛利元就的スリーアローズだよ」とばかり、石川選手がダメ押しの4点目を突き刺し、ミッションコンプリート。セレッソに1点こそ返されたものの、見事にチャンピオンの座を勝ち取りました。
というわけで、サンフレッチェ優勝の要因について、いくつか考えたことをツラツラと。まず、J2優勝の甲府と共通点がありますよね。それは、城福さんが言うところの「2段ロケット、3段ロケット」を備えていたところ。
甲府はシーズン序盤を442でスタートさせ、ある段階から433にトライ、フェルナンジーニョの加入とともに4231へと移行させました。システムの変更と新助っ人の加入によって二段ロケットを成立させたわけです。それに対して広島の2弾ロケットは、森崎浩司の復活ですね。
石原も頑張っていましたが、やはり森崎浩司が入ると、中盤でのパスワークが段違いに流麗になる。この試合でも気の利いたポジショニング、それを支える運動量、更には若い頃か絶賛されてきた巧みなパス能力を遺憾なく発揮していました。
広島優勝の要因として、敢えてもう一つだけ挙げるならば、清水・石川の成長があるでしょう。去年までは、「ミキッチが出れないときのWBがウィークポイントだよね」って雰囲気もなくはなかったのですが、今年は慢性的にミキッチ・山岸を欠きながらも、その不在を感じさせることはありませんでした。
前任者は、どちらかというと西野朗さんとかと同様に、「選手として完成するまでは使わない」という選手起用傾向にあったように思いますが、森保さんは、それに比べると、「使って、なんぼ」的な部分があるんでしょうか、特に序盤戦は、野津田など若手にもチャンスが与えられていましたよね。
そういう、ある種の‘イケイケ感’が、経験の浅い両WBの急成長に繋がったとも状況証拠的には考えられますし、「もし、森保さんが来シーズン以降、これまで以上に大胆な若手起用を見せてくれるなら、広島は、もっともっとエキサイティングなチームになっていくのかも」と期待を抱かずにはいられません。
■マンU 4 vs 0 ウィガン[プレミアリーグ 09月18日]
前半は少し緩い感じのマンUでしたが、後半始まると、ナニがサイドを崩して、そこにスコールズが飛び込み先制します。放送で紹介されていましたが、この試合はスコールズにとって700試合目の出場らしい。そして、こういう節目にスコールズはめっぽう強いらしい。お見事、あっぱれですね。
マンUは、その10分後くらいに追加点を挙げます。先制点はナニが右を崩しましが、今度は左サイドをギグスが崩してからの展開。なんやかんやあって、ビュットネルのシュート性のクロスというか、クロスでありシュートでもあるみたいなのを蹴って、「了解しました」とばかりにエルナンデスがちょんと触ってコースを変えてってゴールでした。
で、ここで止まらないのが世界の強豪。2点目に引き続き、3点目も左サイド。ただし、今度はコンビネーションとかではなく、SBのビュットネルが単独突破でPA内にまで侵入、さらに、そのままシュートを突き刺すっていう、‘個’の輝く得点。ダメ押しのダメ押しとなったパウエルの4点目は、もう、いいでしょう。省略いたします。
ウィガンのダブルボランチは、マッカッシーとマッカーサー。一文字違いの2人でコンビを組むもんだから、紛らわしいったらありゃしない。とはいえ、一文字違いであるとか、ほぼ同じ名前っていうのは、他にも幾つか事例はあります。
ワタクシのように欧州サッカーに疎い者でも、一昔前にインテルだったかアルゼンチン代表だったか、他のチームだったかもしれませんが、ともかく、当時のフジテレビが深夜にやっていたダイジェスト番組で、やたらと青嶋さんが「サネッティ、そしてザネッティ」と、必要以上に耳に付くような口ぶりでアナウンスしていたのを覚えています。
でも、そういうことではないのですよ。マッカッシーとマッカーサーなわけです。マッカーサーというのは日本人にとって、特別な響きがある名字。ペリーとか、フビライとか、「はくすきのえ」とか、それくらいパンチのある名前ですよね。
しかも、この試合が行われたのは9月の半ば。ちょうど、東アジア社会の秩序に動揺が走り、なにやら物騒になりつつあった時期です。で、アメリカの外務官が、世界で最も人口の多い国に行く途中、日本にも立ち寄っていって、安保以来の同盟関係のようなものを確認する、なんて出来事がありました。
いやぁ、アメリカってのは、人類史上最大の・・・というと言い過ぎかもしれませんが、少なくとも近代以降最大のガキ大将国家で、特に共和党の大統領が就任している期間なんて、「君らのカタルシスのためだけに、世界の平和を乱してくれるな」って気分にさせられるような国ですよね。
日本に関しても、沖縄界隈を中心にして、なにかとメチャクチャを繰り返しながらも、あたかも「当たり前のことですが何か?というか、のび太のクセに生意気だぞ」ってスタンスを丸出しにして、非常に感じの悪いことが少なくないんですけど、やっぱり彼らが、一応、「安保の同盟国は悪くはしませんよ」と表明してくれると、それなりに心強い。なんてことを感じていた時節柄でしたので、「マッカッシーとマッカーサー」という一文字違いに妙に敏感になってしまいました。