田坂和昭と木山隆之の明暗を分けたもの大分vs千葉(11月23日 J1昇格PO)の周辺をウロウロと…

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いやぁ、見応えのある良い試合でしたね。前半から両チームとも積極的にプレスをかけ、中盤で激しくボールを奪い合う。そこを突破されてもCBが粘り強さと屈強さを発揮し、枠内にシュートを撃たせない。そして、攻守の切り替えが非常に速い。

〈‘引き締まった試合’とは、このことを言う〉みたいな決戦が金曜日に実現、まるでドリームズとカムがトゥルーしたようです。ただし、前半の20分過ぎくらいからは、徐々に千葉がペースを握ります。佐藤勇人の中盤でのボール奪取力が、えげつなかった。そして、それに気後れしたのか、大分は中盤での繋ぎのパスが全く通らなくなります。結果、千葉が圧倒的にボールを保持し、大分は防戦一方となりました。

前半は千葉に押され気味だった大分ですが、後半になると幾分持ち直します。前半みたくサンドバッグ状態になるってことが少なくなったのですね。大分は3バック1ボランチですから、どうしても相手の圧力を感じると5バックになってしまい、それがサンドバッグ状態を招来するという悪循環をもたらす。

なので、大分の改善策としては、〈ラインを下げない〉、これに尽きます。おそらく田坂さんも、そういう指示を出したのでしょう、ハーフタイムがあけてからは見違えるように、高い位置でのプレッシングを敢行するようになります。ここに秘策はありません。ピッチに送り出された1人1人がギアをアップさせた、その積み重ねの結晶でしょう。

この試合、大分は5枚のイエローカードを貰いました。千葉が0枚だったように、主審の西村さんがカードを連発するようなジャッジをしていたわけではなかった。にもかかわらず、これだけ警告を受けるということは、それだけアグレッシブに戦った証拠だと思います。

さらに大分の選手は、試合終盤、なんだかやたらと足がもつれていました。それだけ消耗していたということでしょう。この日のトリニータ戦士たちは、まるで、ベアークローを両手にはめ、いつもの2倍のジャンプをして、いつもの3倍も回転したウォーズマンのようだった。

そして、それは田坂監督のマネジメントの賜物かと思われます。この日の田坂さんは非常に印象的な選手起用を断行しました。例えば、かつて相手クラブに所属していた村井選手が先発に抜擢されたことに、それは垣間見えます。元ジェフの村井選手は、その起用に応え、古巣相手に中盤の至る所でボールに絡み続けました。

また、得点が必要な場面では、チームの象徴ともいえる高松選手を投入します。もちろん、それは〈彼の持つ勝負強さに託した〉という要素もありましょうが、それに加えてレジェンドが投入されたことによりもたらされる‘プラスα’への期待もあったでしょう。

村井選手の抜擢といい、高松選手の投入といい、この試合における田坂監督の用兵は、常に〈物語を感じさせる〉ものだったと思います。そして実際に試合を決めたのは、やはり‘元ジェフ選手’という物語を持つ林丈統でした。いわば‘マンガのような展開’を田坂さんが自らの手で主体的に作り出していたのです。

ここから見える田坂さんのマネジメント、それは、〈この試合を‘特別な決戦’として位置づけた〉ということかと思われます。100万パワーのウォーズマンではなく1200万パワーのウォーズマンとして一発勝負に挑んだんだと言えるでしょう。

対する千葉は、スターティングラインナップ、選手交代、落ち着いた試合運び、全てにおいて‘いつものサッカー’で戦った。‘火事場の○○力’と‘平常心’、一発勝負の場において、このどちらを重視すべきかは、永遠のパズルです。

しかし、この試合に限定するならば、〈田坂さんが選択した‘非日常的テンションで戦う’が、木山さんチョイスの‘日常的に積み重ねてきたものをぶつける’を凌駕した〉、ということになろうかと思います。‘日常’と‘非日常’のどちらに託すかは、まさに‘賭け’です。その‘賭け’に田坂さんは勝利し、木山さんは敗れた、そういう試合だったと思います。

■日本代表への推薦状

・推薦者

村井慎二

・理由

もともとはサイドアタッカーだった選手ですが、近年はセントラルの位置でプレーしていて、‘変幻自在で神出鬼没なポジショニング’という新たな武器を身につけた模様。ただし、この選手を推薦したい理由は、そこにあらず。この試合の前半、元チームメイトの千葉GK岡本にプレッシングを決行し、相手にいなされると、そのついでに「久しぶり!」とばかりにボディタッチをしていきました。・・・なんと癒し系なんでしょうか!

しかも、村井選手といえば、言動が癒し系なだけでなく、姿容が‘はんなり’していることは周知の事実。ザックJAPANには本田とか長友とか岡崎とか、ワイルド系は多いですし、内田篤人とか香川とか涼しげ系も少なくないですが、‘はんなり系’はいません。是非、村井選手を‘はんなり’要員として、どうでしょう!?