柏木の遠藤化計画浦和vs札幌(10月06日)の周辺をウロウロと…

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3位に付けているクラブと、史上最速で降格が決まってしまったクラブですからね。正直、実力差がありました。だから、浦和はのっけから槙野なんかが上がりっぱし。ボールを支配できるという自信があったのでしょう、坪井なんかも積極的にオーバーラップします。

そしてオーバーラップしては、挙動不審になります。なにせ坪井ですからね、そこは。でも、そんな坪井が上がらずにはいられないくらいの実力差を、すぐに感じたのでしょう。

それに対し札幌は3バックという名の5バックで応戦します。とにもかくにもゲームを作らなければならないと言うことで、なりふり構わず守ります。それでも止められないから、前半の序盤はファール連発でした。そうやって、必死に対抗しようとしても、それでも、けっこう簡単に浦和の3枚のアタッカー陣を前向きにさせてしまいます。最初の10分くらいは、かなり札幌にとって厳しかったと思います。

序盤から、札幌を圧倒して先制するのも時間の問題かと思われた浦和でしたが、どうもこうも相手ゴールをこじ開けられない。何故か?

まず、浦和の攻撃の良かった部分を述べると、阿部とか、永田とか、ときどき鈴木啓太とか、そういったところか起点となるパスが前線に送られます。その縦パスをしっかりと収めた上で前を向いてシュートモーションにまでもっていくという部分は、非常によく出来ていたともいます。原口・マルシオ・柏木が入れ替わり立ち替わり札幌PA内にドリブルで襲いかかりましたし。

ただ、浦和の攻撃は、そこで終わってしまうんですね。一次攻撃が不発に終わったときに、もう一度、攻めの形を作り直して二次攻撃に移行すると言うことがなかなかできない。「速攻がダメなら、じっくり相手をゆさぶろう」ってモードに転換できないので、どうしても波状攻撃って感じにはなりません。

対する札幌ですが、試合の序盤こそ、浦和のアタッキングに面食らったようですが、少しずつ落ち着きを取り戻すと、防戦一方から、隠した牙を、おもむろに突き刺し始めます。札幌の攻撃は、基本的にロングカウンター。浦和と同様に3トップ(34+3アタッカー)でしたが、特に古田が前半から良かった。素早くボールを前線にまで運び、なんだかんだで、「もうちょっとでシュートを打てるのに!」ってところまで持って行っていました。

また、前半も早い時間帯から、ゴールキックをはじめとして、リスタートにかなり時間をかけていました。「ロングカウンター+前半からの遅延っぽい行為」、そうですね、完全に弱者の戦術です。もちろん札幌はJ1においては弱者ですから、当然のことです。そして、降格が決まってふっきれたのか、その弱者の戦術に対する迷いのなさが見事でした。居酒屋に入ったときの「とりあえす生中」くらい、迷いがない。

後半に入ると、札幌が保有する隠した牙の鋭さに、さらに磨きがかかります。先に古田を誉めましたが、古田だけでなく、岡本や内村のカウンターも同じクオリティにあったと思います。この3人に共通するのはダイアゴナルの徹底ですね。

ゴールに向かって平行や垂直に仕掛けるのではなく、常に、斜めにドリったり、フリーランしたりしていました。さすが背番号が「13」「15」「17」という連続した奇数で、足して3で割って平均を出せば「15」になるだけのことはあります。

そのような札幌のカウンターに対し、浦和の守備、特に中盤でのフィルタリングは、余りにも無力だったと思います。ほぼ中盤を素通りされ、相手のカウンターをディレイすることができていませんでした。カウンターから古田選手が突き刺した乾坤一擲の先制点は、そういう意味で、必然的に結果だったと言えるのでしょう。

先制された浦和は、追いつかねばならんと言うことで、宇賀神とポポが投入され、鈴木・平川というバランサー系のベテランをアウトさせるいう二枚替えを敢行します。メッセージは明確、「何が何でも同点に追いつけ」。選手達も、それを踏まえてお尻に火が付いたように攻め立てます。

ただ、それが逆に浦和の攻め急ぎを招いたようにも見えました。なんでもかんでも早ければ良いというものではありません。うっかり漏れてしまうと、どっちらけですかね。

そういう攻め急ぎ傾向を、ボランチに下がった柏木あたりは適切に感じ取っていたようで、おそらく意図的にプレーのペースを落としたり、バックパスを戻したりしていました。しかし、それでも人海戦術で必死に守る札幌ゴールの鍵を開けることはできません。

いきおい、チーム全体が前掛かりになる。札幌の追加点は先制点と同様に古田選手でしたが、形として必然だったという意味でも、先制点と共通したと思います。世紀の大番狂わせに見えるような結果でしたが、内容としては、かなりロジカルな帰結だったのかな、という印象が残りました。

【日本代表への推薦状】のコーナー

この試合から、マッチレポのアップをスポナビ本館に戻すことにしました。(というわけで、別館4thDayMarketCentreは閉店休業になるかと思われます)。もともとは、このブログも「真面目にサッカーの試合をみるための自分用担保装置」(レポを自らの義務化すれば、集中して観戦できるはず)として立ち上げたものですから、あるべき姿に戻したわけです。

ただ、去年あたり、スポナビプラスさん全体(というか事務局さんの方針)に、少し居心地の悪さを感じていて、そこを迂回しようと別館を作ったのですね。この本館別館体制は、それはそれで、それなりに自分的に良いリズム感でやってきたのですが、最近、「そんなことしなくとも‘居心地の悪さ’を回避できんじゃね?」ってことに気付きました。

というわけで、今後、マッチレポの締めは、このコーナーでいきます。そう、それが、【日本代表への推薦状】のコーナー。その試合を見て、現日本代表(年代別を含む)で見てみたいなという選手、将来の代表入りを期待したいな、という選手を、取って付けたように推薦していこう、というコーナーですね。基本、‘ネタ’率がかなり高くなると思いますが、今回は‘ガチ’で。

記念すべき一回目の推薦状にエントリーされたのは「柏木陽介」。

本文中で述べたとおりです。現在の代表では遠藤しかできない仕事、それが「時間(ペース)のコントロール」ですよね。

この試合を見ていて、ボランチに下がって以降の柏木には、そこに対する意識の萌芽が垣間見られたかな、と。

もちろんその部分の精度とか完成度とか、クオリティの絶対値は、まだまだ遠藤の足下にも及ばないでしょうけど、案外に急成長する可能性もあるかもしれないので、期待込みで。