体育会的部活体質とか、その辺のことテレビで見た3試合の周辺をウロウロと…

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日本U23vsクウェートU2

攻撃陣のタレントがデカ盛りな一方で、守備陣の層に若干の不安がある今回のオリンピック代表ですが、この試合、ワタクシ的には濱田選手に注目しておりました。

打点の高い綺麗なヘディングシュートを決めて試合の趨勢を決めるという、グッドルッキングな活躍をした濱田選手ですが、Jリーグ好きを自認する(あまり他認はされない)ワタクシ的には、昨シーズン終盤の「抜擢→やったった…」のイメージが強くて、先入観的にヒヤヒヤしながら見ていおりました。が、そんな外野の杞憂をヨソに、この試合に限っては、そんな心配も無用でした。なんせ、今どき珍しいくらいのハーフコートゲームでしたから。

ところが、そんなハーフコートゲームにも関わらず、レイソルの酒井選手のちょっとした不注意なプレーから失点を喫してしまいました。

そうした途端、アナウンサーさんは「命取りになりかねないアウェイゴール」と危機感を煽る実況を始めます。これはこれで事実っちゃ事実ですし、(特別にフリークではない)一般的視聴者の感情を揺すぶるのが民放アナウンサーの社会的役割なので特に感想はありません。

ワタクシが感銘を受けたのは、解説の金田さんが、ややキレ気味になったことです。大学で体育会に入っていた人は勿論のこと、中学校や高校やらで体育会系部活で汗を流した人なら共感していただけると思いますが、体育会人というのは、こういう、「ちょっとした気の緩み」「慎重さを欠く軽率なプレー」に対して、非常に厳しい。

そこは、「人間教育」の一環としてスポーツを捉えてきた日本的体育の特性ですね。「いつ、いかなるときも全力で相手に立ち向かい、油断や同情が相手に対して最も失礼だ」という武士道的(儒教的?)倫理観にもとづくモノの考え方が根底にある。

温厚でクレバー、いわゆる「脳みそまで筋肉」って感じではない金田さんも、やはり体育会人なんだなぁと妙に得心いたしました。

クウェートU23vs日本U2

「だから、言わんこっちゃない」って展開になりましたね。ホーム&アウェイのノックアウト方式では、90分ハーフ、180分で1試合と捉える、というのが鉄則ですが、そう考えると、2点リードで後半のクウェートラウンドに乗り込んだ、ということになります。

2点リードが最も難しいなんて言いますが、実際、酒井のゴールで3点リードになったことで、より一層、相手のお尻に火を点けてしまいました。

案の定、2点を返され、今度は、日本U23がタジタジになるハメに。

で、劣勢になるや、関塚さんは、選手交代で打開を図ります。特に指揮官の意図が明瞭だったのは大迫選手の投入ですね。

永井選手の1トップだとどうしても、スピードを生かして一発で仕留めようという思いが強くなり、展開の速い試合になってしまいがちですが、これは、勝ってる試合をクローズするにあたって、あまり賢明とは言えません。

一方、そういうシチュエーションでの大迫選手投入は、「高い位置でボールを落ち着かせろ」という指揮官のメッセージが伝わり、実際、それ以降は、パスを繋いだ崩しが増え、当然ながら、その分、クウェートの攻撃時間を削ぐことに成功しました。良い采配だったのではないでしょうか。

それにしても、相手アタッカー陣の突破力には苦労させられましたね。両CBが、どうにか対応しきりましたが、後半については山村選手を、アンカー的な位置に固定したり、場合によってはリベロ的なポジションに落として、3バックっぽく戦っても良かったのかなぁなんて印象を持ちました。

サントスvsペニャロール(コパリベルタドーレス決勝)

いやぁ、それにしてもネイマールの先制点、凄かったですね。振りの速さとパンチ力もさることながら、それを正確なコースに蹴り込むコントロールが尋常ではない。トータルすると「キレキレなシュート」ってなもんでしょうか。

ただ、それ以上に印象深かったのは、そこに、なんというか、「特別感」みたいなのが全く感じられなかった点です。上手く表現できませんが、普通感が満載でした。

Jリーグの試合を見てますと、シュートを撃つって特別な出来事なんですよね。パス回しで相手を崩すってところまでは「日常」なのに、いざシュートとなると途端に「非日常」って感じに雰囲気が急変する。見ている側からしても「シュート撃つぞ、シュート撃つぞ、ほら撃った!」みたいに、空気感の変化が伝わってくる。そんな妙な空気感に包まれるわけですから、日本人FWが必要以上にリキむのも致し方ないでしょう。

おそらく、その背景には、金田さんの解説に関して触れたように、日本のサッカー(スポーツ)育成が、人間形成の一環として発達してきたことの影響があるように思います。

ブラジル人の場合、「遊び」あるいは「職業訓練」としてサッカーの練習をするんだと想像されます。だから、彼らは「結果」以外に興味を示さないし、「結果」を求めるための行為であるシュートは、究極の「日常」だったりするんだと思います。

他方、日本人にとってサッカーは「人間形成」の一部ですから、FWは「みんなが襷をつないで作ったチャンス。お前に託したぞ。仲間の想いを無駄にするなよ!」っていう道徳観念なるものを背負ってシュートを撃たなければならない。そりゃリキみますよね。

かつてジーコが代表監督をしていたとき、決定力不足を解決するべく、代表のトレーニングで代表の選手にシュート練習ばかり狂ったようにやらせていましたが、ネイマールの普通感溢れるシュートを見ていると、日本人FWの決定力不足は、シュート技術とか、そういったものとは異なる次元に、その要因があるのではないか、なんて感じました。

もっとも、ブラジル人であっても、エドゥアルドみたく、「結果」を求め過ぎると、瞬間風速的に台風みたいな決定力不足能力を身に付けてしまうようですけど(笑)