柏の無念に思いを馳せつつ、レアルの底力を再認識する【仙台vs柏】&【マンUvsレアル】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■仙台 2 vs 1 柏[J1第3節 3月16日]

序盤からレイソルがペースを握ります。もともとジョルジ・ワグネルが離脱していて、この試合ではキックオフ早々にクレオも負傷退場。代わりに田中順也と狩野が入っていたわけですが、レアンドロ以外の10人が日本人ということもあって、普段の‘虎視眈々’というより、日本人らしく実直な攻撃で仙台ゴールに迫ります。しかし、その中で得点を奪ったのはベガルタ

中盤でボールを持ったリャンがウィルソンにラストパス。そのシュートは菅野が跳ね返しますが、そこに松下が詰めて先制点を奪います。柏としてはクレオが痛んで、1人少ない時間帯での失点だけに、ちょいと悔いが残るところでしょう。

先制点の後は、〈攻める柏とカウンター狙いの仙台〉という構図がより顕著に。仙台は433を採用することで、〈ウィルソンに収めた地上戦〉〈赤嶺を目がけたロングボール〉〈スペースに太田を走らせるカウンター〉という三様の攻撃を使い分けることが可能になり、徐々にカウンターがはまり出し、時間の経過とともに小気味よく柏ゴールを脅かすようになります。しかし、しかし、再び押されている側がゴールを奪います。レイソルの同点ゴールが決まるのですね。が

山中のクロスに、レアンドロがジャンプしながらダイレクトで合わせたゴール。いわゆる一つのスーパーゴール。良く組織された粘り強い仙台の守備陣を崩すには、ロジカルに攻撃を組み立てるだけでは厳しく、ある意味、‘非日常的’なシチュエーションを突きつけることが、むしろ攻略の近道になるんだと思いますが、レアンドロのスーパーシュートは、まさに‘非日常的’そのものでした。なかなか‘いつもの練習’では対応できるようにはなりません。

後半になると、ほぼ一方的な柏ペース。前半の柏はレアンドロがサイドに張って、狩野が中に切れ込むってパターンが多かったのですが、後半は、その逆。狩野は左にポジションする時間が多く、レアンドロが中に入る。そして、それによって空いたスペースに藤田が何度も何度もオーバーラップしてチャンスを演出しました。ようやく藤田も、レアンドロから酒井宏樹と同じような扱いを受けられるようになってきたのかもしれません。んが、勝ち越したのは、防戦一方だった仙台。

リャンのスローインを受けた菅井が、華麗な身のこなしでマークする山中を振り切り、PA内でクロス。それがピタリとウィルソンの頭に届き、勝ち越しゴールをあげます。三たび押されている側のチームの方が得点を奪うという展開。柏としては典型的な「決めるべき時に決めておけば…」っていう結果になりましたし、本当に、この試合はサッカーの醍醐味が凝縮されていました。

マンチェスター・ユナイテッド 1 vs 2 レアル・マドリード[CL・2ndレグ 03月07日]

序盤は、支配率を高めながらもシュートまでは持ち込めないレアルに対し、マンUのサイドを広く使ったカウンターが牙を剥くという展開。マンUのサイドアタックを支えたのは右サイドのギグスとラファエルというコンビ。ラファエルのキレキレ感も、えげつなかったですけど、ギグスの存在感は、それ以上にいかつかったですね。攻撃でもプレーの選択が的確でしたし、守備ではクリロナとのバトルを悉く制していた。

前半は、そのままの構図で終了します。1stレグと同様に、実力者同士の、重厚でいて、それでいてハイテンションという、自分でも気づかないうちにゲップが出てしまうような45分でした。

試合が動いたのは後半。マンUが‘肉を切らせて骨を断つ’そのまんまの先制点を奪います。・・・それにしてもオウンゴールかぁ。ラファエルの突破から決定的な局面を迎えたウェルベックがシュートを撃ちきれないと判断し、ファンペルシーにラストパス。ファンペルシーのシュートは枠に飛ばなかったものの、ナニがどうにか繋げて折り返し。その折り返しの対処がスムーズにいかず、セルヒオラモスが自らの足で先制点を献上してしまいました。

ただ、皮肉なことに、この先制点がマンUを苦しめることとなります。リードしたことで守備的になったマンUは、右サイドの躍動感に翳りが見え始めます。そして、厳しい判定でナニが退場すると、モウリーニョは一気呵成にモドリッチを投入。それ以降は、試合終盤を除いて、完全なハーフコートゲームとなります。

で、勢いそのままにレアルは途中出場のモドリッチがぶちこんだミドルシュートで同点に追いつきます。前半は攻撃が単発が終わっていたレアルもモドリッチが2.25列目的な位置で攻撃をオーガナイズするようになってからリズムが良くなりましたね。そしてリズムが良くなると、こういうシュートも決まるものです。

さらにレアルはマンUに落ち着く暇を与えないうちに勝ち越します。エジルイグアインによるPA内でのオシャレなパス交換から、イグアインのシュートだかクロスだかが絶妙にデヘアとCBの間のスペースを横切り、そこにスライディングしたクリロナがキッチリと決めました。かつてのホームスタジアムでのゴールに、百戦錬磨の千両役者も、さすがに複雑な表情だったのが非常に印象的でした。

前半のレアルは、余り人数を掛けず、なかなかシュートまで持ち込めない慎重なアタッキングに終始していましたが、後半になると、マンUが中央に築いた分厚い壁を正面から破壊にかかります。ディマリアの負傷退場に伴うカカの投入が、まさにケガの功名。これ以降、イグアインが右に開いて、エジルとカカが代わる代わる中央を突破するシーンが増えて、モドリッチが、その中央突破に厚みを加えるというスタイルからマンUを圧倒することに成功します。前半のレアルが外角低めのスライダー中心とする安全性重視の配球だったとすると、後半は内角高めのストレートを決め球にするような力勝負の配球だったと言えるでしょう。レアルの底力が垣間見える一戦でした。