いまのうちに原さんを擁護してみる監督選びの周辺をウロウロと…

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日付も変わって、いよいよ本日、アルゼンチン戦を迎えますね。きっと、この一戦だけを見て、早くも「ザックはあーだ」とか「ケローニはこーだ」とか「俺は一喜するぜ!」とか「自分、一憂っす!」みたいな論評が少なからず飛び交うことでしょう。なので、その前に、「ザッケローニさんが日本に来た」という事実だけに焦点を絞って、少しコバナシを。

この夏は暑かったですね。この殺人的な暑さはナントカならんのか、と幾度となく愚痴りはしましたが、ナントモならんものは、ドウニモならないわけですね。

でも、なかには、当人の立場になればナントモならんことが明らかなことに対して、その立場にないことを良いことに、「ナントモならんことを、どうにかできないヤツらは無能」なんて公言して憚らない人たちもいるわけでして。

中高生の人なら、「偏差値70を越えるくらい簡単だろう、人の3倍勉強すればいいだけなんだし」って言われたら、それを理不尽と感じますよね。

大学生の皆さんならば、「無遅刻なんて人間として常識でしょ」とか言われたら、「そうは言っても、大学なんてユルユルな環境に身を置けば、理性や意志の力なんて、ちっぽけだよ」って話しになりますね。

或いは社会人の皆さまの場合、「有給休暇は法律上認められた正当な権利なんだから、行使しない側に問題がある」なんて言われれば、「ムチャを言うんじゃない」と思われるに違いありませんね。

要するに、「理屈の上ではその通りだけど、実際、自分がその立場になっても、同じことを言えますか?」ってことが世の中には山ほどあるわけです。

何の話?ってことですよね。

あのですね、とりあえず今の時点で原さんのことを誉めてあげておいても宜しいんじゃない?とか思うのですよ。

ザッケローニが成功するか失敗するかは分かりませんが、仮に大失敗したとしても、原さんには「頑張ったで賞」を贈呈すべきじゃないか、なんて思うのです。

もう既に多くの論者が説得的に述べられてきたように、これまでの日本代表の監督選びって、あんまり普通じゃなかったですよね。少なくとも加茂さん以降は。

というかオフトのときは、どうやって決めたんですかね?ワタクシ、寡聞にして、Jリーグ発足以前のことは、全く知識を持ち合わせておりませんので、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてほしの(きもい)。

話が逸れました。えっと、少なくとも加茂さん以降は、Jリーグの監督(的存在)経験者から、適当な人物を一本釣りしてきました。

先ほど、あんまり普通じゃないと申しましたが、他の国も似たり寄ったりかもしれませんね。他の国の監督の選び方についても、全く存じ上げませんので、教えてほしの(きもい×2)。

ともあれ、「自国リーグとの縁に頼らず、世界を見渡して、必要と思われる人物をピックアップする」なんてやり方は、少なくとも、ここ20年近く、やってこなかったわけです。

これまでも、そういうやり方でやってきて、方法論も、エージェント等との具体的コネクションも確立しているにもかかわらず、原さんが失態をやらかしたとすれば、それは批判されても仕方ないでしょう。

しかし、原さんは、レールがあるのに乗っかかり損なったのではなく、そもそも何もない原野、あるいは、かつてはそこにレールがあったかもしれないが、とうの昔に廃線になってしまった荒野を、ロクに教科書も与えられず、手探りで暗中模索していたわけですよ、たぶん。

なんか原さんを批判するのって、坂本龍馬に「海援隊なんて誰でも作れるさ、だって当時の海外には既に同じような組織があったんだもん。つか海援隊って結局、なくなっちゃったよね。もう少しマシな組織作れなかったの?」って言ってるのと、同じようなことだと思えてしまうんですね。

原さんは「それまで、日本になかったことをやった人」なわけなんで、まずは、そこに敬意を表しましょうよ、と。

少し話題は変わりますが、難航真っ只中のとき、オリベイラを推す声が上がりましたよね。個人的には、オリベイラJapanにならなくて、本当に良かったなと思います。

もちろんオリベイラの手腕にケチをつけるつもりは一切ありませんよ。それとは全く別に、主に2つの理由から、ザッケローニで良かったと思うんです。

一つは、もし結局、原さんが挫折して、「じゃあオリベイラで」と言ってしまったら、次の監督選びのときも、「自国リーグとの縁に頼らず、世界を見渡して、必要と思われる人物をピックアップする」というノウハウのないまま臨まなければならなくなる。日本サッカー協会には「Jリーグの監督(的存在)経験者から、適当な人物を一本釣りする」しか方法論がないってのは、あまり好ましい状況ではないでしょう。

もう一つ、これはオシムのときも批判されたことだと思いますが、「Jリーグのクラブは代表に望まれれば監督を差し出して当然」みたいな風潮が、不健康に思えてならないんですよね。

昔はそれで良かったのかもしれません。また、プロ化していない他の競技なんかでは、「クラブの監督→代表監督」は衆目一致する栄転なのかもしれません。

しかし、プロ化して20年になろうかとしているわけですよ、サッカーは。「代表よりクラブ」っていうサポも相当に多い。少なくとも、一年間で、代表戦が動員する人数の総計と、J全37クラブが動員する人数の総計では、どう考えても圧倒的に後者が多いわけです。

「代表が主、クラブが従」を当然の前提として許される時代では、最早なくなっただろうと思います。そして、「代表が主、クラブが従」という価値観は今後ますます崩れていくと予想してます。

つまり、今はまだ「Jリーグの監督(的存在)経験者から、適当な人物を一本釣りする」というやり方に、「現役監督」を含められるとしても、早晩、「現役監督」は候補から外さざるをえなくなる時代が来るだろう。だったら、もう、そんなやり方はやめちゃいなよ、と思うわけです。

というようなことで、敢えてアルゼンチン戦の前に、曲がりなりにもザッケローニを連れてきた原さんを、「頑張ったで賞」に認定するところであります。