「得点の匂い。」ってな試合【広島vsG大阪】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

サンフレッチェ広島 1 vs 1 ガンバ大阪[CS決勝2nd 12月05日]

チャンピオンシップ優勝を目指す両チームですけど、先発のラインナップを比較する限り、“得点の匂い”という意味では広島に分があるように感じました。エースの佐藤寿人やチーム得点王のドウグラスだけでなく、プレースキックも蹴るテクニシャン柴崎、ミドルシュートを定期的にぶち込む青山、さらに最近おとしめながらもその得点力はすでに知れ渡っている塩谷など、「この選手がシュートを決めているシーンはしばしば目にするなぁ」って選手が、これだけいる。

 

 

一方のガンバは、宇佐美とパトリックという2枚看板のうち、戦術的な理由、あるいは心身両面のコンディション的にパトリックを試合頭から使えない状況。他のアタッカー陣を見渡しても、ファンタジスタな倉田もコンディションが整いきらず先発落ち。阿部は年に12回ものすごいゴラッソを決めますが、そこまで「何度も試合を決めてきた!」って感じではない。それは大森についても同じで、ハードワークには頭が下がりますが、今シーズンに関しては、さほどゴールシーンがニュースでは流れていない。

 

 

となると、期待は宇佐美の両足にかかってくるのですが、ご存じの通り、ここのところ「シュートを決める」という意味では、とってもリズムが悪い。得点感覚に限るとスランプ気味。CSを通じて、最も“得点の匂い”を感じさせたガンバの選手は、ゴールを連発してきた今野だったのではないでしょうか。そして、この試合におけるガンバの先制点も今野絡み。今野は若いときから、大舞台、あるいは注目を集める試合で、たくさんゴールを決めてきましたよね、2005年最終節のセレッソ戦とか。

 

 

トータルスコアとアウェイゴールの関係で、ガンバはもう1点必要。ゆえに徐々に前掛かりになりつつあった後半15分、広島は勝利の方程式で浅野を投入。ガンバは倉田を入れて、そして20分少し前に満を持してパトリックをピッチに送り込みます。どちらも“得点の匂い”をプンプン漂わす選手。“得点の匂い”しかしないといっても過言でない。浅野が相手の腰を引かせたり、あるいはゴールを生み出せば広島の優勝、パトリックが本領を発揮すればガンバの下克上が完遂する、そんな展開となりました。

 

 

実は、そうなると、広島が圧倒的に有利なんですよね。自身がキャリア晩年は切り札(クローザー)的な役割を担っていた長谷川健太監督が最も身に染みているところだと思いますが、普段は先発で出ている選手が途中出場で活躍するって、とてもとても難しい。途中出場で試合の流れに入っていくってのは、いわば職人芸のような特殊技能が必要で、途中出場慣れしていないパトリックに、いきなり「ジョーカーとして頑張れ」といっても、なかなか厳しい。

 

 

逆に浅野は、ここ2シーズン、ジョーカーとして実績を積み、途中からピッチに入っていっても、すんなりと試合に参加できる。途中出場のパトリックから“得点の匂い”はしなくとも、途中出場の浅野からは“得点の匂い”がドリアンばりに漂ってくる。果たして、浅野のヘディングゴールでガンバを奈落の底に突き落とします。年間勝点1位としての貫禄を示した広島が、チャンピオンシップという、(興行的にはともかく)競技的には理不尽この上ないシステムに、一定の辻褄を付与してくれました。