「なんのための斎藤学?」感アゲイン〜千葉vs山形(12月7日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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今年は味スタで開催されることになった、運命の一戦。この時期、15:30キックオフは少し寒いです。

 

■前半

 

決勝の組み合わせは山形と千葉という対決になりました。山形を率いるのは石崎ノブりん。千葉の指揮官は関塚さん。ヤフーニュースの雑誌記事かなんかでも見ましたが、2人ともフロンターレを率いて中村憲剛を指導した監督さんです。で、この2人、志向するサッカーも比較的よく似ている。簡単にいうと、ハードプレスからのショートカウンター。石崎さんはハードプレス、関塚さんはショートカウンターの部分のイメージが強いですけど。

 

 

で、ショートカウンターのサッカーというのは、バランスを崩すことを「よし」としないサッカーでもありますし、ましてや、トーナメント決勝という一発勝負の舞台、両チームとも慎重な立ち上がりを心がけます。まずは失点しないことに力点を置いたサッカー。もちろん、かといって退屈なわけでなく、むしろ息が詰まりそうというか、天国と地獄の分岐点ですし、まるで囲碁とか将棋を見ているような、ゾクゾクする緊張感に溢れていました。

 

 

そんな中で存在感を示したのは千葉の町田也真人。まず、前半で千葉が最もゴールに近づいたのが町田のヘディングシュートでした。小さなカラダを精いっぱい伸ばしたヘディングだったのですが、無情にもわずかにポストの外側へ。前半の町田は、とにかくアグレッシブに動き回っていました。勢いのあまりカードを貰ってしまったり、相手ディフェンダーと交錯して倒れ込んだりと大忙しでしたが、切り込み隊長として存分に奮闘していました。

 

 

その町田に引っ張られるように、全体として前半の戦いは千葉が優勢に進めていたと思います。セカンドボールの回収率とか、ゴール前でのシュートチャンスの数とか、スタンドから見ている限り、千葉がゲームを支配していた。しかし、ホント、「これぞ、サッカーの方程式」という感じなのですが、そういう展開になると、逆に押し込まれている方のチームがセットプレーで得点を決めるのです。コーナーキックからの流れで山崎のゴールが決まり、山形リードでハーフタイムを迎えます。

 

 

■後半

後半に入ると、むしろ山形がらしさを発揮するようになります。山形といえば、先にも述べたようにハードプレス。ハードプレスのハードには2つの意味があって、一つには「運動量豊富に走り回る」という意味で、もう一つには、「ファールやカードさえ怖れずに肉弾戦を挑む」という意味。そういう石崎流のディフェンスが千葉のアタッカー陣から少しずつパワーを奪っていき、気がつけば中盤でのセカンドボール奪取争いを悉く制するようになっていました。

 

 

逆に千葉にとっては手詰まり感が満載となった。関塚体制になってから余り試合を見ていないのですが、千葉のサッカーって、こういう感じなんでしょうか? すなわち「とりあえずターゲットの森本に向かってロングボールを放り込む」というサッカー。ただ、この試合に関していえば、森本は空中戦での競り合いに、ほぼ一つも勝ててなかったと思います。にもかかわらず、ひたすら森本にロビングして、結果、簡単にボールを相手に献上してしまう。特に後半は、ひたすら、その繰り返しでした。

 

 

そうやっているうちに時計の針は進み、徐々にジェフは追い込まれていきます。しかし、慎重居士の関塚さんは動きません。確かにレギュレーション的に引き分けだ良く「1点入れればJ1」という難しいシチュエーションだったのですが、「後はシュートが決まるのを待つだけ」という感じではなく、ビルドアップからしてままならないという展開。特に佐藤勇人や幸野あたりは、なかなか本来の持ち味を出せずにいた。ならば、田中佑昌をもっと早く入れるとか、兵働を投入するとかあったと思うんですよねぇ。

 

 

結局、最初のカードとしてケンペスを投入したのが、後半の30分過ぎ。山形の石崎監督が山崎に代えてロメロフランクを入れて逃げ切りモードに入ってから。で、2枚目の田中佑昌に与えられた時間は10分たらず、3枚目のカードに至っては、ついに使わずじまい。しかも、カードを切れば切るほど、森本への放り込み一辺倒になり、相手にボールをプレゼントし続けるようになっていった。それにしても、「1点(だけ)取らなければならない」というシチュエーションで使わないなら、なんのために兵働や阿道はベンチにいたのだろうか? ブラジルW杯のスイス戦直後と同じ消化不良感が残りました。

 

 

■日本代表への推薦状

 

□推薦者

山岸範宏山口智

 

□推薦理由

この日、ジェフのゴールマウスを守っていたのは、目下売り出し中の高木駿。目下売り出し中ということは、期待の若手というのと、ほぼ同義で、逆にいえば、経験が浅いという意味でもあります。そんな若手に決戦の場は荷が重かったのか、そもそもそういうクオリティなのかは知りませんが、序盤からファンブルしたり、危なっかしいパンチングやらキックやらを繰り返していました。スタンドからは浮き足立っているようにしか感じられなかった。

 

 

そういう時に逞しいのがベテラン選手たち。例えばジェフの山口智なんかは、這々の体でパンチングした直後に高木の近くへと寄り添い、さりげなく言葉を掛けたりする。ジェフが勝っていれば、MVPは山口智だったでしょう。しかし勝ったのは山形。浮き足立ってる感満載の高木とは対照的に、山形GKの山岸の安定感というか、貫禄はハンパなかった。「いつも通り」とは、このことを言う。準決勝でのサヨナラゴールも含めて、山岸のためのプレーオフだったといって過言でないでしょう。