■徳島 0 vs 0 G大阪[J1最終節 12月07日]
徳島サポを除き、この試合をテレビ観戦した大多数の視聴者は、ガンバに注目していたものと推測しますが、ワタクシ的に目を奪われたのはヴォルティスのソリッドなカウンター。中盤を厚くして手数をかけずにシュートまで持ち込むという常套的なスタイルですが、よく整理されていたと思います。対するガンバは、徳島の術中にだけは嵌まるまいと無理をせず、セーフティーな位置でしっかりボールを繋ぎながら隙を伺うという感じ。いかにも今年のガンバ。
ただ、ガンバはいつものガンバでも宇佐美はいつもの宇佐美でなかったかも。オンザボールではいつもの素晴らしい宇佐美でしたが、ボールを絡む絶対数が少なかったような。もっともこれも結果論的な感想で、普段から前半はあのくらいのボールタッチ数かもしれないですけど。ともあれ、宇佐美が決定機を演出できなかったことで、解説の早野さんは退屈したらしい。「徳島で得しました」みたいなことを呟き出す。これぞ早野クオリティ。決して嫌いでないです。
まぁ、後半になると、その時点でガンバは、攻めなければならなかったので、前掛かりになります。遠藤が高い位置を取り、宇佐美が真ん中に入りっぱなしだったので、宇佐美・遠藤のWトップ下みたいになって、宇佐美もシュートチャンスを迎えるようになりました。ただ、徳島の守備が堅かった。逆にここまでの対戦相手はどうやって徳島から得点を奪ってきたんだ?ってくらい。特にGKの長谷川なんかはJ1クラブに引き抜かれてもおかしくないくらいの活躍ぶりでしたね。
そんなわけで、ガンバが今シーズンを象徴するような「我慢強さ」で栄冠をたぐり寄せた一戦だったわけですが、多分、そこまで出来の良い試合ではなかったと思います。にもかかわらず最低限の勝ち点を獲得した要因を探っていくと、まず両チームに絶対値としての実力差があったことがあげられます。具体的には、徳島の攻撃力とガンバの守備力に大きな差があった。それから、ハーフタイム明けの長谷川監督が口にした、「慌てずに」というマネジメントが奏功した部分もあるでしょう。
なんだかんだで勝ち点を獲得した、そこの部分で終盤の浦和と非常に対照的だったわけですが、今シーズン後半のガンバを牽引したのは、成熟した守備組織、遠藤・今野の両ベテラン、そして阿部・大森の運動量だと思われます。宇佐美とパトリックは、その上でのスパイス。で、こういう「守備組織」「ベテランの落ち着き」「運動量」というのは比較的好不調の波が小さい要素ですよね。好不調の影響をモロに受ける華麗なパスワークを前面に押し出す浦和との差は、こういうところにあったのかな、と思われます。