勝負のキーを握る選手たちの周辺をウロウロと…2013年シーズンのJリーグを振り返る・選手の群像

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■大宮の両サイド[大宮vs名古屋(7月10日)]

近年、大宮の左SBのファーストチョイスといえば、下平と思われますが、この試合では負傷の影響だったかにより、村上選手が先発していました。一方、大宮の右サイドといえば、渡部・渡邊コンビとかもありましたが、2013シーズンは今井選手がレギュラー的存在となりました。

そんな、村上と今井の両SBコンビですが、この2人には、ある共通点があります。それは、ニックネーム。村上の愛称が‘ジョージ’なのに対し、今井の愛称は‘メロ’。そう、両者ともに、同姓の著名人の下の名前がニックネームになっているわけです。

それにしても、村上ジョージと今井メロって・・・。念のため予め断っておきますが、ワタクシ、お笑い芸人という職種の人々に対して憧憬にも似た感情を抱いております。また、世間に名前を知ってもらえる程の立場にまで登りつめたアスリートに対しては、自分ごときには決して真似の出来ない努力を積み重ねてきた人物として、私生活云々などには一切左右されない、絶対的なリスペクトを抱いています。その上で、あくまで、‘愛のあるいじり’として述べるなら、村上ジョージと今井メロって・・・(笑)

数年前まで、しばしば『ガキのつかい』に持ち込んきた、あの世界観といい、おそらく育った御家庭の環境からの連鎖であろう、あの波瀾万丈さ加減といい、完全にクレイジーでアグレッシブです。ということは、そこにルーツを持つ(?)大宮の両SBコンビも、いい意味でクレイジーでアグレッシブな活躍を見せてくれるに違いないわけで、ドキドキが止まりませんでした。

■SBの重要性[横浜FCvs岐阜(10月23日)]

2013シーズンの横浜FCでは、本職じゃない選手がSBを任せられることが多かった。ほぼほぼ右SBのファーストチョイスとされていたのは中盤を主戦場としてきた武岡。パターンとしては千葉の米倉に近い。ただ、米倉ほどはSBとして覚醒しませんでしたよね。その理由はなんといっても縦への推進力の部分でしょう。米倉は香車の動きができましたが、武岡は金とか銀の動きのままSBをやっていた。時折、桂馬の動きにはなったかもしれませんが。

2013シーズンの横浜FCでは他のパターンとしてCBタイプの野上とか森本がSBを任されることがあった。これまた、彼らがSBとして機能したかと言えば微妙なところ。CBタイプの選手がSBを務めての成功例としては増嶋なんかが挙げられますかね。2013シーズンのACLでは柏がCBを四枚並べて躍進しました。

ただし、それはネルシーニョが、「アジアでの戦いではCBタイプをSBに置かないと勝てない」と判断して、そこから逆算して周到に準備したからこそ機能したわけです。つまりですね、横浜FCに限らず、JリーグではSBに本職じゃない選手を使うということがしばしばあるのですけど、実はSBほど、スペシャリストじゃなきゃ務まらないポジションはないんじゃないかと思うのですよ。

一言でいえば、「タイミングのよいオーバーラップ(縦へのランニング)」がないと、攻撃にスパイスが不足してしまう。そうなると、展開が小さく小さくなって、結局、自滅してしまう。そういうスパイラルにはまるんじゃないかと。2013シーズンの横浜FCが苦戦したのはSBらしいSBで戦力になったのが中島しかいなかったところに原因があるように思います。

鳥栖の偉大さ[湘南vs鳥栖(3月9日)]

鳥栖って、近年流行の高い位置で奪ってなだれ込むように攻めたりしませんよね。しっかりリトリートして、カウンターを仕掛けるというチームで、最終ラインでのらりくらりとパスを回す時間も長い。ただ、じゃあ、鳥栖の最終ラインに、それほど足元に優れた選手が揃っているかと言えば微妙なところ。にもかかわらず、最終ラインでのパス捌き回しが破綻しない理由は、ひとえに藤田選手のフォローアップにあるのではないかと思われるのですよ。彼が相手のマークを引きつけつつ、さらに、‘貰って預けて’を繰り返すことで、最終ラインは安心してボールを保持できる、と。

さて、そんな藤田選手の、もう一つの武器として、もはや名物化しつつあるロングスローがありますね。この試合でも、アタッキングサードでボールがタッチラインを割ったら、ほぼ藤田選手がロングスローを入れる。そして、そのほとんどが、ちゃんと味方の頭に当たっている。本当に凄い武器です。

しかし、本当に凄いのは、〈ロングスローを投げられるという藤田の特技〉ではなく、〈ロングスローを投げられるという藤田の特技を徹底して利用するところ〉にあるんだと思います。どうしても、人間というのは、相手に手の内を読まれることを嫌がりますから、「たまにはロングスロー以外も…」ってことになる。つまり、ブレる。しかし、鳥栖は、そこに全くブレがないのですよ。で、こういうブレの無さは、鳥栖に一貫している。それが顕著に出るのはカウンターの際。チャンスとなるや複数の選手が一糸乱れぬ連携で、適度な距離感を維持しつつ、一斉に走り出す。これは鳥栖の「ブレのなさ」の結晶ではないでしょうか。