選手交代関連がいろいろ興味深かったです千葉vs水戸(8月4日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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この試合、内容だけを見れば、どちらが順位的に上位で、どちらが最終的に勝利を収めたのか分からないような展開でした。要するに全体として、敗者であり順位的に弱者であるはずの水戸が、ほぼ一方的にジェフを攻め立てていたのですね。

水戸が圧倒しえた要因は3つくらい考えられます。1つには、キックオフののっけから鋭い出足と、「後先考えていないじゃないかな?」ってくらいの運動量で中盤を制圧した点。柱谷さんが率いているだけあって、いかにもヨミウリらしいというか、球際で負けない感じが素晴らしかった。

2つ目にはセットプレーの迫力ですね。キムヨンギというサイズの大きなターゲットがいて、そして、そこに正確な球を届けられる橋本というキッカーがいる。そりゃ迫力も出るってもんです。で、3つ目が、「シュートで終わる!」という意識の徹底。最後の精度こそ欠きましたが、とにかく、この日の水戸は良かった。

しかし、ご存知の通り、サッカーというスポーツは、往々にして、押し込まれている側に得点が転がり込む。ジェフはジェフでテクニックがありますから、散発的ながら、綺麗な崩しで攻撃を仕掛けます。ただ、繋げる分、手数過多になって、局面を膠着させてしまうことも、しばしば。

先制点を奪ったのも、そういう展開。水戸の守備陣がしっこりリトリートした状況から。いやですね、谷澤が超絶ドリブルで、対面するキムヨンギを完璧に置き去りにして、悠々とPA内からクロスを送り込んでしまうわけですよ。ホント、何なんですかね、谷澤の変態的個人技って。

で、谷澤のクロスには米倉が飛び込む。オーバーラップを使ってもらえず、膠着の中、なんとなくPA界隈をフラフラしていたSBの米倉ですけど、元アタッカーの嗅覚を存分に発揮しましたね。一般的にSBはスピードに乗った状態で使って貰えないと、手持ち無沙汰になるんですけど、米倉はその辺りが違う。

さて、後半に入って試合の明暗を分けたのは選手交代でした。まずジェフは後半開始から先制点を挙げた米倉に代えて大岩を投入します。米倉は前半の最後の方に、ピッチを出て何やら治療していたので、その影響でしょう。ちなみに、治療の前に米倉がピッチ内でうずくまったとき、それを察したGK岡本がパントキックするのですが、そのボールがラインを割らずに、普通に水戸へのプレゼントパスになってしまうというシーンがありました。J2屈指のGKとしては少し頂けないプレーでした。

ともあれ、ここでカードを1枚消費したジェフの鈴木監督は、後半15分に2枚目のカードを切ります。右SHの兵働選手に代えて、田中佑昌を投入。ただ、これを契機に水戸の左WBの輪湖が一層の躍動感を示すようになったので、この選手交代は、余り効果的でなかったかもしれません。

そんなこんなしているうちに、前半の米倉(右SB)に続いて、今度は左SBの高橋選手が、足を攣ったか、どこかをぶつけるなりしたかして、うずくまる。高橋はプレーを続行しましたが、明らかに運動量や、キレが激減した。本来なら、ここもスパッと代えるべきところ。

ただ、この日はベンチに山口慶が入っていなかった。つまり、大岩を右のスペアとして使ってしまった以上、もはやSBのスペアが居なくなってしまったのですね。この時点で鈴木監督が考えるべき修正ポイントは、輪湖の対応と、高橋のケアという、2つになってしまった。残るカードは1枚。そこで出された結論は、田中佑昌を真ん中にずらして、佐藤勇人を輪湖当番として投入するという選択。

これが当たりました。佐藤勇人の投入によって輪湖は見るからにトーンダウンしましたし、その上、佐藤勇人田中佑昌の2人で追加点まで取ってしまった。逆に猛攻を仕掛けていた水戸は、途中、2枚代えによって結果としてリズムを失ったように見えましたし、選手交代が両チームの明暗を分けたと言って良いでしょう。

□日本代表への推薦状

・推薦者

鈴木隆行

・推薦理由

いやあ、相変わらず力強いポストワークで深さを作る働きは素晴らしい。競り合いも強いですし。前田や豊田と同じような働きのできる選手です。尤も、「日本代表への推薦状」とか言いながら推薦はできない。やっぱり、ならば前田や豊田で良いのですから。

ただ、ここで強調したいのは、推薦できない理由は鈴木隆行が年齢的に衰えたからではないということ。おそらく彼は殆ど衰えていない。もともと、あれくらいの感じだった。つまり、トルシエジャパンでバリバリの代表だった鈴木隆行をしても、多分、現在の前田や豊田に見劣る。そこに、Jリーグの、日本サッカー界の進歩を感じたいのです。

中田英寿本田圭佑〉といったトップオブトップを比較してとき、ひょっとしたら、それほどの差はないかもしれない。ただ、〈鈴木隆行豊田陽平〉みたいな2番手グループ(本人たちには失礼な表現ですが)を比較したとき、確実に日本サッカー界の底上げは進んでいるんじゃないかなんて希望的観測ができて、なんだか嬉しかったです。