鈴木達也のポニーテールは振り向かない〜ガンバvs徳島(6月29日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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序盤は若干ながら徳島が試合を支配していたように見えました。というのも、徳島は数年前からJ1経験者をズラリと並べているわけですが、特に、今シーズン最近の中盤は濱田・青山・柴崎と技巧派が並んでいる。もともと慎重なゲームプランで挑む小林監督のチーム。そこに球足の長いパスを出せる選手が揃うのだから、必然的に縦一発に近い攻撃が多くなる。

良く言えば、〈球離れが早い〉ということになるのですが、要するに、ボールをあまり持ちたがらない。なので、一見、中盤での主導権争いに勝利しているように見えても、それほどガンバに脅威は与えられてなかったと思います。やはり、ある程度、シッカリとボールを収めるなり、高い位置でドリブルを仕掛けるなどしないと、リズムが出てこないというか、「自分達が攻めている」という実感が湧かないんじゃないかと思うのです。

対するガンバは、前半のうちにちゃっちゃと、2点を先行することに成功します。2ゴールともパウリーニョ絡みの綺麗な得点。特に1点目は凄かった。ペナより外でボールを貰うと振り向き様に、強烈なミドルを突き刺してしまいました。こういう‘ナチュラルなスーパープレー’ってブラジル人ならではというか、少なくとも日本人の皮膚感覚には身についていない種類の技術ですよね。日本人の場合、どうしても、狙いすました(=ワザとらしい)スーパープレーになりがち。

2点目は超遅攻から倉田が一瞬のズレを見逃さずスルーパス。そこに走り込んだのが、例によってパウリーニョ。その折り返しをフリーで待っていた平井がシメシメとばかりに決めました。このときのパウリーニョも凄かった。抜け出すときの少ない歩数でトップスピードに達する加速力といい、折り返すときのしなやかさといい、これまたアジア人の天賦では、なかなか厳しいプレーを悠々とやってのける。西野さんがブラジル人FWにこだわった理由が解るってもんです。

後半に入ると、徳島は一層の攻撃モード。藤原・アレックスの両SBがかなり高めの位置取りからクロスを連発するようになります。特にアレックスがサイドハーフのように張り出したことは、〈使われる選手が増えた〉〈左サイドを預けることができるようになった〉という2つの意味で左SHの柴崎に自由を与えました。さらに明確なターゲットマンとしてキムが投入されたことも相まり、後半になって、俄然、柴崎が躍動します。

ただ、青山に代えて鈴木達也を投入した采配は結果的に裏目に出たかもしれません。鈴木達也といえばFC東京時代より、〈オバチャンパーマで献身的に使われる〉グッドプレーヤーとして存在感を示してきましたが、徳島に西遷してからは、関西のオバチャンよろしくな金髪はそのままに、何を血迷ったか、直毛に戻した上で髪を伸ばし続けたらしく、〈金髪ポニーテールなオネエ系〉になっておりました。で、そんな、一時期のメクセスみたいな鈴木達也なんですが、この日はどうも周囲と噛み合わず、サッカーのピッチでしばしば見かける〈空回りしたハッスルプレー〉に終始してしまっていました。これで、徳島の攻勢に若干ながらブレーキがかかります。

ガンバとしては、受け身になりつつもシッカリと凌ぎきりました。ガンバポゼッションのキーマンである倉田が負傷退場してからは、本当に厳しかった。代わりに入った岡崎も頑張っていましたが、特殊な動きをする倉田と同じ働きを期待するのは酷ってものですし、さらに平井まで足をつって交代せざるをえなくなります。要するに怪我人やスタミナ切れした選手の対処だけで、交代枠を使い切り、徳島のスクランブルアタックを逆手にとるような用兵ができなかったのですね。それでも無失点のまま逃げ切ったのですから、その辺りは穏当なチーム作りをする長谷川健太効果が出ているのかもしれません。

なお、倉田が負傷交代した直後に岩下がカードを貰ってますが、これは報復行為というよりも(ひょっとしたら多少はそういう要素もあったのかもしれませんが)、もんどりうっている倉田に全く気づかない主審に、「早くプレーを止めろ!」という意志を伝えるためのラフプレーと思われ、なかなかカッコよかったです。

□日本代表への推薦状

・推薦者

倉田秋

・推薦理由

というわけで負傷交代が気にかかる倉田ですが、「今シーズンになって覚醒した」という噂は事実だった模様。この試合を見る限り、この選手のFWとしてのプレースタイルは、家長に近いですかね。ゆっくり組み立てるときは、2列目はおろか、ボランチより低い位置まで下りていてビルドアップに貢献する。

一方で、速攻の際にはスペースへのフリーランニングを厭わない。サイドには余り流れませんが、上下のプレー範囲が非常に広い。大げさな言い方をすれば、本田の役割と岡崎の役割の両方をこなすことができる。特殊なスタイルですので使い勝手という問題がありますが、なかなか面白い化学反応を起こすかもしれません。