コパアメリカにおける日本サッカー協会小倉会長の周辺をウロウロと…ホセと純二のラプソディー

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というか、なぜ「南米」(=基本的に北米、中米を除く)の大陸大会を、コパ「アメリカ」って言うんでしょうね?Wikipediaを調べれば一発で解りそうですけど・・・

そんなわけで、いよいよ参加辞退が現実味を帯びてきたコパアメリカ。この問題をややこしくしたのが、辞退再考要請を「社に持ち帰って検討します」とした小倉さんの判断ですね。今回はこの辺りのことを。

まず、なぜ現在の協会トップが小倉さんなのか?って部分から考えなければならないと思うわけです。なので小倉さん擁立の過程を振り返ると、犬飼さん(前任者)おろしという動きがあって、それに伴う緊急避難的措置として、小倉さんが担がれたわけですね。

で、なぜ犬飼さんがダメで小倉さんなら良かったかと言えば、「トップダウン」型が先鋭的すぎて「和をもって尊しとなす」日本人には馴染まず、その反動として「対話」型の小倉さんにオハチが回ってきた。

つまり、擁立過程から考えれば、小倉さんに与えられた役割は、「ガンガンいこうぜ」ではなく、「軋轢が起きないように日本人的に」ということになります。

で、小倉さんは日本人らしく「先方様に御迷惑にならないように」ってことで、参加辞退のお詫びをするべく現地に赴いたわけですが、そうしたら、アルゼンチンのホセ・なんちゃらさんから予想外のお返事を頂いてしまったわけですね。

すなわち「ヘイ、ブラザー。ハポネはアルヘンティイナのフレンドね。もう少し考えてみるアルヨ。ミーも協力するハムニダ。友達ならアタリマエ!」みたいなことを言われてしまった。

この時点で小倉さん的には通すべき仁義は通したことになるわけですね。結論を先延ばしにすれば先方に迷惑をかけることになると思いきや、もっと先延ばしにして良いとの免罪符を頂戴したわけですから。その意味では、小倉さん(日本の協会)の、やるべき仕事は、この時点で完了したわけです。この後、結局、日本が不参加になったとしても、協会が南米なりインターナショナルな世界なりからお叱りを受ける筋合いはなくなったわけですね。

じゃ、なにゆえホセは、そんなに日本を招待したがるんでしょう?

よく言われているように、いわゆる1つの放映権絡みのマネー的なアレコレみたいなこともあるかもしれませんが、ホセ的には、「今大会を復興支援大会として世界にアピールしよう!」なんて思惑があるんじゃないでしょうか。

ホセとしては、日本に参加してもらった方が母国の予選通過が楽チンになるし、さらにその上、あたかも「東洋の友人に手を差し伸べる英雄」みたく自分を演出できる。願ったり叶ったりですよね。

別に、「だからホセは腹黒い」なんて日本人限定でしか通用しない道徳観念を振りかざすつもりはありませんよ。仮に、日本の参加が可能になっていたとしたら、まさに「WINWIN」関係であって、資本主義社会における最も理想的な幸福がもたらされることになったわけですからね。

話が逸れました。小倉さんに戻しましょう。ホセに「You,再考しちゃいなよ」と言われた時点で、小倉さんに課せられたミッションは、主に以下の2つに絞られたと想像されます。

ホセを筆頭とする南米サッカー界の皆様との良好な関係を維持する。

南米選手権への参加を求める日本代表ファンの不満を解消する。

については、「せっかく招待してやったのに何だよ…」とか、「さらにその上、期限を伸ばして再考を促したのに、ヒトの好意を無にしやがって(怒)」とかみたいな印象を南米サッカー界の皆様に与えてしまうと、後々やっかいですから避けねばなりません。

については、これまでの日本サッカー界の発展パターン的に、「Jリーグを犠牲にしてでも、代表戦を!」っていう世論が少なからず盛り上がることなんて、小倉さんには十分に予想できていたでしょうし、実際としても、そういう感じになりましたよね。

で、その2つのミッションをクリアすべく小倉さんが繰り出した必殺技が、「社に持ち帰って検討します」大作戦。この戦法、一見、往年の名作トレンディードラマか何かで、緒形直人さんあたりが言われていた、「優しいのと、優柔不断とは違うのよ!」みたいに感じますが、よくよく考えれば、これほど合理的なものはない。

まず、改めて与えられた期限まで結論を先延ばしにすることにより、ただ、それだけで両方の問題が片付くのです。予め「ムリです!」って言ってしまうと、南米サッカー界のお偉方からは、「我々の好意を無にするつもりかね!」って叱られるかもしれませんし、日本代表ファンからは、「貴重な強化機会をみすみす自ら捨てるなんて、てやんでい!」なんて非難されかねません。

しかし、期限ギリギリまで回答を先延ばしにするだけで、双方から「我々の想いを受け止めて、最後の最後まで苦労して下さっているんだ(はぁと)」みたいに好感度が大幅アップするわけです。

しかも、ホセは「南米全体で最大限にバックアップするよ。僕らもFIFAに掛け合ってみるよ!」とかリップサービスしてくれていたりして、つまり、協会としては、「何もやらなくてもよい」状況が向こうから勝手にやってきてくれていた。

だから、小倉さん率いる協会は驚くべきスピードで、ホセのリップサービスを真に受けたことにして、「全ては南米の皆様のご厚意にお任せします。我々は南米の皆様が最後の頼みの綱なので、その最後の頼みの綱が切れたときがアウトです」って態度を表明した。これは、緒形直人には決して持ち合わせていなかった決断の速さです。日本人にはあるまじき毅然とした判断力と評価せざるをえないでしょう。

つまりですね、ホセの甘言を頂戴してから、「期限まで頑張ったテイで、やっぱりダメでした」ってのは、筋書き通りの既定路線だったんじゃないかとワタクシは思うってことです。そして実際に、物事は協会の筋書き通りに進んだ。しかも誰とも大喧嘩することなく、かつ、協会は一切カロリーを消費することなく。組織のリーダーとしては、ほぼ完璧なリスクマネージメントだったのではないでしょうか。

そんなわけで、小倉さんが、「日本人的な気配り」を期待されて担がれたトップである以上、今回の南米選手権参加問題に関する小倉さんの立ち居振る舞いは、パーフェクトなものとして最大限に評価すべきだとワタクシは考えます。