天皇杯、鹿島vs名古屋(12月25日)の周辺を名古屋目線でウロウロと…

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前回は鹿島目線でレポートしたので、今回は名古屋目線にて。

ご存知の通り、この日の名古屋は、選手には失礼ですが、実質上、二軍と揶揄されても致し方ないメンバー構成でした。

ケネディ、玉田、闘莉王ダニルソンマギヌン

今年の名古屋は、内容の悪い試合でも上記の選手たちの力業で勝ち点を積み上げてきました。

飛車角落ちで戦わなければならなかったわけで、「去年までの王者vs今年の王者」という構図にならないことは自明なわけです。ただ、飛車角が落ちていると言っても、金や銀に相当する選手たちは、しっかりと顔を揃えていました。すなわち、中村直志、小川、吉村、阿部、田中隼磨、増川といった面々です。

思えば、ピクシーの初年度は、だいたい上のような選手を主力に魅惑のバスサッカーを展開していました。そう考えれば、案外、このラインナップでも連動性のあるサッカーで、それなりに戦えるような気がしなくもない。

ただピクシーの初年度にはヨンセンがいました。対して、この試合では、ヨンセンのようなターゲットマンがいませんでした。

2トップは杉本と金崎。杉本はスピードで勝負するタイプ。金崎は上背こそありますが、ハイボールに競り合う練習を常日頃から繰り返しているわけではないでしょう。

それは中盤の橋本選手も同様。この選手も身長が高いのですが、彼を目掛けたロングキックは余り多くなかったと思います。

また橋本選手は、地上戦でも今一つ流れに乗れず、後半開始とともに巻選手と交代しました。そして、後半は巻選手がターゲットマンとして機能していましたので、今回に限って言えば、ピクシー采配はハズレでしたね。

話が先走りました。元に戻しますと、前半はターゲットマンがいなかったっつう話です。

そうなると、必然的にグランパスはグラウンダーの縦パスが多くならざるをえません。しかし、そのグラウンダーのパスを悉く鹿島はパスカットしました。

中でも、序盤における宮崎選手、小笠原選手、中田選手の動きには見応えがありました。出足の早いこと、早いこと。

とはいえ、グランパスもやられっ放しでは済ませません。興梠選手に先制されてからは、徐々に流れを押し戻していきます。

具体的には、相手にパスカットされづらいところにパスを出すようになったわけですね。つまり、人に出すのではなく、スペースに出すようになった。

鹿島のゾーンが若干ルーズだったのか、そもそも、そういうプレーを名古屋が得意にしていたのかは分かりませんが、とにかく、スペースに出したパスは、ほぼ確実にグランパスの選手に通って、しかも前を向けた。

じりじりと名古屋にペースが移っていきます。その中心にいたのが、ミスターグランパス中村直志

ホント、この選手は存在感がありますね。とにかくボールがあるところには必ずいる感じ。もともと攻撃的な選手ですが、今のプレースタイルは守備ありき。と言っても別に守備的なわけではありません。

まず前向きに相手と対面してボールを奪う。そして効果的なショートパスを散らし、これがチーム全体に攻撃の合図を与える。そのままのながれで、少し高めにポジションを上げ、二次攻撃を後方支援する。気が付けばルーズボールは全て彼の足元にある、みたいな。こうやって文字にしてみれば、実は小笠原選手に似ているかもしれないですね。

で、この中村選手、周囲との、なかんずく小川選手と吉村選手とのコンビネーションが良い。

まず小川選手との関係性について。小川選手は中村選手のパスを受けるのが非常に上手い。中村選手が小川選手にパスを出すと、多少なりとも苦し紛れでも、どういうわけだか通ってしまう。

おそらく中村選手は小川選手がどういう位置のボール扱いに長けているかを熟知していて、小川選手も中村選手が出しやすく感じるパスコースをしっかりイメージできている、そういう関係ができているということでしょう。

今シーズン小川選手が不調だったのは、与えられたのが中村選手のパスを受けるという役割でなかったからかもしれません。

次に中村選手と吉村選手との関係性。これは鹿島における小笠原選手と中田選手の関係に非常に近い。簡単に言えば基本的に縦の関係にありました。

と言っても、常に攻撃的な中村選手が高い位置にいて、守備的な吉村選手が低い位置にいるわけではない。吉村選手が前、中村選手が後ろにいるという場面も、かなり多かった。

ただ、イニシアチブは中村選手にあるような印象。というよりも、ある程度、自分本位に動く中村選手を吉村選手がフォローしている感じ。「お前がそっち行くなら、俺はこっちにいるね」みたいな。

ちなみに、吉村選手、試合中盤にプロフェッショナルファールを繰り返さざるをえなくなり、退場の危機に晒されます。ピクシー的にも「これはヤバい」と感じたのか、花井選手と交代させ、小川選手をボランチに下げます。

そうすると、不思議なもので、同じダブルボランチと言っても、中村吉村と中村小川では、少し在り方が変わってくるんですね。中村選手と小川選手のダブルボランチは、多くの時間帯で横の関係にあったように見えました。で、この試合に限って見れば、中村選手は縦の関係の方が好きなのかな、なんて感じました。

何はともあれ、これでグランパスは激動のシーズンを終えました。お疲れサマンサ。