采配に踊り、踊らされ〜FC東京vs神戸(8月13日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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失礼ながら、なんだか補強費と順位のコスパが悪いチーム同士の対決、いわば“結局中位ダービー”です。

■前半

篠田さん、中断期間を境にそれまで4231だったシステムをいじり、中盤がアンカーとインサイドハーフからなる352に変更してきましたね。どうなんですか、調子? 巷間聞くところの評価だと、少しずつ機能しつつあるとか、ないとか。まあ、勝ち点を1つでも多く獲得することを至上命題としているので、そこをどうのこうの言っても仕方ないのですが、ただでさえ攻撃のタレントがタブついているのに、さらにアタッカー枠が減少してしまっている印象。

 

 

対する神戸も、この日は3バックでした。攻撃陣は渡邉千真を頂点とする3枚かと思いきや、真ん中の渡邉千真はゼロトップ的に下がり目。「なんだか斬新だなぁ」と思わず感じてしまいましたが、冷静に考えれば、単にトップ下を置いた3412。トルシエが3バックを日本に導入した頃には、この形がスタンダードだったはずなんですけど、3421が隆盛を誇っている御時世、一周回って“逆に新しい”状態。ファッションと一緒ですな。

 

 

そんな、クラシカルとも言える神戸の3バックにおけるキーマンは、今シーズン、相対するFC東京から移籍してきた高橋秀人。いや、トルシエの頃の3バックって、真ん中が“リベロ”と呼称されていて、ディフェンダーの攻撃参加と言えばリベロの役割でした。なので、リベロはそのまま中盤でプレーできる選手、すなわちボランチもこなせるタイプが重用されました。阿部勇樹とか戸田とか。この日の高橋秀人は、まんま、そういう感じ。

 

 

最初にメンバー表やらピッチに散らばった感じを一見した感じだと、高橋秀人がアンカーで藤田と田中がインサイドハーフの4123かな、とも思えたのですが、完全に3バックでしたね。トルシエ時代スタイルのリベロに必要なのはランイコントロールカバーリングですので、まさに適材適所。ネルシーニョも如才ない。ちなみに、高橋秀人に対してはFC東京サポーターも選手紹介の際に万雷の拍手。人格者ですからね、当然、そういう評価なのでしょう。

 

 

 

■後半

ともあれ、前半は神戸が圧倒していました。ほぼワンサイドゲームと言って良いくらいに。その辺は策士ネルシーニョですからね。良くも悪くもデコボコがはっきりしている東京の352を蟻地獄のようにはめ込んでいたということでしょう。得点がなかったこと以外は、ほぼパーフェクトだったと思われたのですが、ネルシーニョ的には、それでもまだ満足しなかったのでしょう、後半の開始から小川に替えてハーフナー・マイクをピッチに送り込みます。

 

 

それに対して全般的やられっぱなしだったFC東京の篠田監督も修正を施す。アンカー高萩の脇を定石通りに蹂躙されていたので、あるいはボランチを3枚並べる感じにするのかなとも予想したのですが、実際は、その真逆。中盤をより鋭角な逆三角形にしてきました。要するにインサイドハーフに高い位置を取らせた。そして、神戸のWボランチ(藤田・田中)をガツガツに潰すというやり方にした。マーカーの責任を明確にしたということです。

 

 

そして、その修正は功を奏します。特に東を下げて米本を投入してからは、一気にペースを手繰り寄せます。それにしても、米本のハイインテンシティには、毎度毎度、脱帽するばかりです。高い位置で相手を潰してマイボールにする大作戦が、ものの見事に機能し、ピッチの中では前半とは真逆の光景が繰り広げられる。前半は神戸ボランチの藤田が自由を謳歌して、好き放題にゲームメイクしていたのに対し、後半はFC東京アンカーの高萩が我が世の春を謳歌した。

 

 

さらに、サイドの光景も前半と後半とで真逆。前半は神戸右SBの藤谷が溌剌とした若さを見せつけていたのに対し、後半はFC東京右WBの室屋が眩い輝きを放った。ついでに、そのおかげでフリーになることの多かった徳永も、往年の“謎の突進力”を何度も起動させていました。で、真夏の消耗戦にケリをつけたのも、FC東京右サイド。終了間際の厳しい時間帯でも、尽きない運動量で室屋がサイドを攻略すると、絶好のクロスに反応したウタカが押し込みました。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

渡邉千真

□推薦理由

もう何年前になるんですかね、マリノスでプロデビューして、たくさんゴールを奪って。当初は生粋のストライカーキャラという扱いもありましたけど、実はFWの割にはシュートをあまりたくさん撃つタイプではない。じゃあ、何が出来るんだ?ってなったとき、サイズの大きさという天賦の才があるので、ポストプレーヤーとしての役割を担わされることもしばしばありましたが、正直、ポストプレーヤーとしては今一つでしたよね。

 

 

そうなんですよ、雰囲気的に、昔の言葉で言うところの“ファーストトップ”っぽいのですが、実際はそうじゃなくって、どうやらパスやらなんやら、いわゆる“足下”が巧いみたいです。そういう意味では平山に通じるところがある。ネルシーニョのもとでプレーするようになってからは、ずっと寵愛を受けてます。フィジカルの強いテクニシャンで、インテンシティも高い。ネルシーニョハリルホジッチって、どことなく好みの選手が共通しているような気もしますし、いっちょ、どーすかっ!?