日曜日はJ3の中位対決を見てきました。
■前半
何ヶ月か見ないうちに、相模原のスタメンの顔ぶれは随分と変わりましたね。J3チームだって、夏のウインドーで即戦力を補強できる世の中になったようです。相模原については赤井とか石川大徳とか(元)ビエリ近藤祐介が加入した模様。なかでも目玉となるのは、トロの復帰でしょうか。年代別のブラジル代表とかでしたっけ?いったん母国に戻っていたようですが、契約延長できずに舞い戻ってきた感じ。そして、あっという間にレギュラー奪回です。
そういった新戦力を加えるにあたって薩川監督は、チームをどのようにリビルディングしたのか。それは、けっこうドラスティックなものでした。例えばボランチとか中盤を主戦場にしていた岩渕真奈の兄でお馴染みの岩渕良太が右SBで起用されていたり、それまではトップ下とかセカンドトップとかに入ることの多かったテクニシャンの菊岡がボランチに置かれるなど、かなり攻撃的な人員配置となっています。強気で良いですね〜。
それにしても、この日のコンディションは厳しかった。7月最終日にデーゲームですから、そりゃあ暑い。相模原はJ3のライセンスしかないのですが、それはスタジアムに照明施設がないから。こればっかりは仕方がない。仕方がないから暑さそのものには覚悟があったのですが、それに加えて、この日はキックオフ直前にスコールがあった。かといって気温は下がらず。ただただ湿度だけが上がるという蒸し風呂状態。見ている側でさえ気が折れそう。
そんな中でイニシアチブを握ったのは福島でした。成績を見れば相模原の方が福島よりも上位なのですが、この日のピッチに現出していた構図は「攻める福島と、しのぐ能活」というもの。川口能活が、そのネームバリューに恥じないだけのファインセーブを繰り返して味方を鼓舞すると、それに呼応するように相模原は散発的に訪れるカウンターのチャンスで福島ゴールを脅かし、前半終了間際にはカウンターから深井が決定力を見せつける先制点を奪いました。
■後半
相模原リードで後半になったのですが、前半からポゼッションで優位に立っていたのは福島。それは後半になっても変わりません。4231のシステムでWボランチがボールさばき、FWが走り込み、SHがアクセントを付けていく。なかでも出色だったのは、パスコースを作るべく、全員の選手が何度も何度もスプリントを繰り返していたこと。福島にはボールを奪ったときのパスコースがたくさんあった。それもこれもスプリントを繰り返すというハードワークのおかげ。
こうやってみてくると、なんだか福島の栗原監督に対する好感度が上がっていきます。特段にスペシャルなことはやっていないんだと思いますよ。でも、やるべきことをきちんとやっている雰囲気が伝わってきます。こういう指揮官は安定感がありますし、引き出しもキャリアとともに増えていくことが期待できますので、近い将来、反町チルドレンらしく湘南やら新潟やら松本のベンチの上座(端っこ)にドカリと腰掛けているかもしれません。
もっとも、現状は教科書通りに基礎は出来ているけれども、それ以上の部分はないのかもしれません。失点シーンに象徴的なように、少し、守備のときに奥行きというか、重厚さといったものに欠けています。あっさり裏を取られすぎな場面が少なくない。それから、スプリントやらハードワークが根底にあるので、どうしても運動量の落ちる後半半ば以降はバタバタになってしまう。これだけ悪いコンディションだったのだから、それを踏まえ戦い方の工夫が求められるのですが、その引き出しは、まだ無いのかもしれません。
とはいえ、真夏の蒸し風呂デーゲームだったこの試合にかぎっては、後半に運動量が下がったことを非難するのはお門違いでしょう。基本的に省エネモードで試合を進めていた相模原だって、最後の15分はヘロヘロになっていましたから。ただ、その中、運動量は落ちてもプレーのクオリティが下がらなかった選手が相模原にいた。具体的には近藤祐介とトロですね。キャリアのある両選手がだけあって、ヘトヘトで走れなくなった後もオンザボールではしっかりプレーをしていました。二人の貫禄が相模原を逃げ切りに導いた試合でありました。
■日本代表への推薦状
□推薦者
・鴨志田誉
□推薦理由
この選手って栃木にいた選手ですよね。小野寺とかとWボランチを組んでいたんでしたっけ? 微妙に時代がずれてる?? 仄かに残っているイメージ的には黒子役も辞さないタイプ、地味ながらチーム支えるバランサーだったような。いずれにせよボランチの印象が強い。実際に現在の背番号も6番ですし。それがこの日は2トップの一角だか、トップ下だかで先発してました。いわゆる“キーパー以外全てのポジションが出来る”系なんでしょうか。
ともあれ、清水とかに所属していた樋口と前線でペアになっていましたが、なかなか組み合わせとしては良かったと思いますよ。まず樋口は純然たるFWですから、ストライカーとしての役割に専念する。で、鴨志田は、その一つ前のプレーを担う感じ。中でもカウンターの際に相手ディフェンスライン裏に抜け出す動きが秀逸でした。おそらく中盤本職の選手らしく、視野が360°あるってのと、加えてスペース察知能力にも秀でているのでしょう。この選手に対するイメージが変わりました。