武藤嘉紀を誉めるしかない〜FC東京vs甲府(5月20日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

おかげさまで、平日のナイトマッチをキックオフから見られる立場なのです。世間はそれを窓際と呼ぶ!?

 

■前半

 

この試合、何にビックリしたかって、FC東京が、まるでバルサのようなサッカーをやっているではありませんか! FC東京といえば、イタリア人指揮官に率いられ、それを狙ってか、結果的にかはともあれ、頑なまでにウーノ・ゼロを貫いているチーム。ゼロの部分はともあれ、ウーノの部分は、ホント、ワザと取ろうとしていないとしか思えないレベルですよね。

 

 

そんなFC東京が、往年のティキタカを彷彿とさせるまでのパス回しを披露し、ポゼッション率で相手を圧倒しちゃったりなんとかしたりして。米本にいたっては、「シャビ・アロンソか、クロースか!」ってくらいに、ピッチ狭しと縦横にポジショニングしつつ、長短のパスでビルドアップらしきことをしていたのですよ!

 

 

・・・えぇ、えぇ、そうですよ、別にそれはFC東京が意図的に攻撃サッカーへと舵を切ったとか、そういうことではなくって、甲府が5バックでドン引きしてきたからそうなっちゃったってだけの話なんですけどね。

 

 

そもそも、今シーズンの甲府は最下位界隈をさまよいながら、この一週間ほど前に指揮官更迭という荒療治を施したばかりのチーム。しかも、この試合はナビスコカップときたものだから、二兎を追っている場合ではない佐久間監督としては、颯爽とターンオーバーを繰り出し、口の悪い人なら「二軍」と口走ってしまうようなメンバー構成で挑んできました。

 

 

そうなりゃ、放っておいても試合を支配して、東京の選手たちは、お約束のように、穴熊戦法を前に攻め倦ねるってもんです。そして、その様子にしびれを切らした東京サポーターは、これまたお約束のように「シュート撃て!」コールを叫びだすってもんです。唯一お約束でなかったのは、その「シュート撃て!」コールが徒労に終わらなかったこと。松田陸のクロスにエース武藤が走り込んで前半のうちに先制することに成功しました。

 

 

 

■後半

後半に入ると両チームともに動きがありました。まずFC東京ですが、おそらく後半の頭からシステムを442(中盤ボックス)へと変更してきました。これはどういう判断だったんですかね? 「この相手ならボランチは3枚も要らない」と考えたのか、「サイドにスペースがあるから、サイドを厚くしよう」ということなのか、あるいは、「相手は攻撃にシフトしてくるだろうから、中盤の守備を4枚で」というイメージだったのか。最大公約数的には、「持たされる展開なので、いつものカウンターサッカーは機能しないな」ということなのでしょう。

 

 

対するヴァンフォーレは後半15分にアドリアーノを投入。・・・噂に違わぬ機能しなさっぷり。全く起点になれない。なので、結局、東京がボールを持つ。甲府は引きこもる。もう、このまま後半の45分間は、東京が2列9人で形成した甲府のブロックの外延を右往左往しているうちに過ぎてしまうんじゃなかろうか、くらいの勢い。

 

 

まあ、そんなシンプルなことにはならなかったけれども。一定の実力差があり、かつ、相対的強者がリードすると、えてしてそういうことになるのですが、後半は、試合全体がどうにも締まらなかった。悠々と東京がボールを回しているようで、至る所にエアポケットがあった。必死で守っているはずの甲府にもエアポケットが多発してましたが、その何倍ものエアポケット多発地帯が東京陣内には存在していて、何度か決定的なシュートを撃たれる。そして、ついに後半40分になって甲府の松本に同点ゴールを献上してしまいました。

 

 

ロスタイムのリアルガチなラストプレーで武藤が勝負強さを発揮して、どうにかこうにか劇的な勝利を収めたとはいえ(オフサイド疑惑とのこと)、後半の「今ひとつ締まらない」感は、そういうところの厳しさを追求してきたはずのイタリア人指揮官にとっては、なかなか許せないところだったのではないでしょうか。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

武藤嘉紀

□推薦理由

いまさら推薦も何もないですけどね。プロ入り当初はサイドアタッカーのイメージが強かったですが、いまや堂々たるCF。得点も量産しております。それもそのはずで、この選手の一番の良さは、「ボールがどこに飛んできそうか」を予測したり、あるいは空中のハイボールの落下点を見極めたりっていうところの読みあるいは判断力にとても優れている。

 

 

キャラクター的に天性の嗅覚というより、努力と創意工夫によって身につけたものと想像しますけど、2トップを組んだ、あの前田遼一を押しのけておいしいとこどり的なポジションを常に確保しているんだから素晴らしい。

 

 

それを可能にしているのは、ボールが来なくても中盤に下がることなく、最前線真ん中で待ち続けることのできる忍耐力ではないでしょうか。守備もしますし、ハイボールに競り合うことも厭わないのですが、肝はそれらのプレーを全て最前線真ん中でやっているところだと思うんですね。我慢できずスペースに移動してしまわない忍耐力、それが武藤嘉紀というプレーヤーのベースとなっているように思います。