■バルセロナ 3 vs 0 バイエルン[CL準決勝1st 05月08日]
序盤のバイエルンは3バックをスターティングポジションにした戦略が裏目に出ましたね。あっという間にバルセロナにペースを握られてしまい、防戦一方。たまらずグアルディオラも4バックへとフォーメーションをチェンジしました。というか、バルセロナはバルセロナで、バイエルンが3バックで来るととを読んでいましたかね。
3バックだと、どうしてもサイドにスペースができてしまうんですが、バルサはラキティッチをラインぎりぎりまで開かせて、そこのスペースで基点を作った上で、大きな展開からのダイナミックな攻撃でバイエルンゴールを強襲し続けました。3バック攻略の定石っちゃ定石なんで、選手個々のサッカー脳で対応したのかもしれませんが、最低限、「バイエルンが3バックできたら、こうしよう」程度の申し合わせがバルサにはあったのではなかろうか。
後半に入るとバイエルンがファイティングポーズを取り直します。ポゼッション率やら、パス成功数やらが前半に比べて格段に向上しました。したのですが、これはなかなか紙一重な部分もあって、攻撃的に前のめりの体勢を作れるようになったのは良いものの、その反面、作れるようになったからこそ、重心の低い位置に危険を抱えることになる。
もちろん、その危険要素とはメッシなわけです。それにしてもメッシって凄いですね。何が凄いって、ずっとダラダラ徒歩じゃないですか。しかも、おそらく波平とか友蔵の方が、まだ速く歩くんじゃないかってスピードの徒歩。なのに、結果的に常に相手から見て危険な場所にポジショニングできている。
「今、自分はどこでサボれば良いのか?」ってことを見抜く能力が尋常じゃない。きっと学生時代には、校舎の屋上とかに自分だけの秘密の隠れ場を確保していて、そこから誰と誰が付き合ってるのかとか全てを観察していたに違いない。
ともあれ、そんなメッシが硬軟両様のスーパーシュートで、ノイアーからあっという間に2得点をあげてしまった。こうなると、さすがのバイエルンにも手詰まり感なんてものが漂い出す。手詰まり感なんてバイエルンには無縁な言葉かと思っていたのですが、相手がバルセロナだと、そうもいかないらしい。結局ロスタイムにはネイマールのダメ押しゴールも許し、注目の1stレグは30という完璧なスコアでバルセロナがバイエルンを降しました。
それにしても、去年、今年とバイエルンはCLが佳境に入ると突如としてヘナヘナになりますね。思うに、これはブンデスリーガで独走してしまうのが良くないのではないだろうか。日本代表も、ドイツ大会・ブラジル大会と予選を通過できなかったときには「コンディションのピーキングに問題があった」なんて言われていますし。
一般に思われている以上に、心身のコンディションがピークにあるかどうかって大きなファクターだと思うんですね。例えば、ACL。例によって今シーズンも決勝トーナメントに進出できたのが柏とガンバだけになってしまいましたが、その要因は、上手くいった両チームを含め、序盤に躓いた結果によるもの。Jリーグの開幕が3月上旬で、ACLの開幕は2月半ば。そうなると3月半ばまでの期間はJクラブにとっては厳しい。
同じように、バイエルンも国内で強すぎて、さっさと優勝が決まってしまう結果、どうしても緊張感が無意識的に弛緩し、絶好調期間の維持が困難になっているのではなかろうか。とするならば、2ndレグも難しいことになるぞっと。