■ガンバ大阪 2 vs 2 FC東京[J1第1節 03月07日]
前田は20番だったのか。てっきり新天地のFC東京でも18番を背負っているものとばかり思い込んでおりました。前田が20番か。なんだか新鮮ですね。冷静に考えれば石川直宏から「青赤の18番」を横取りするわけにはいきませんもんね。ともあれ、そんな新鮮な光景とは裏腹に、序盤の攻防は「これぞ、Jリーグ!」というもの。とにかくひたすら中盤でガチャガチャしまくる感じ。互いが互いのビルドアップを潰し合うのがJリーグデフォルト。
なのでスコアに動きがないまま前半は過ぎていくのかなぁと思っていたのですが、そこは2014シーズンに3冠を制した現役完全王者。「ココっ!」ってところで、外連味なくゴールを奪っていく。遠藤のクロスにパトリックがヘディングで合わせました。まぁ、外連味はなかったとはいえ、後味は悪かった先制ゴールでしたけどね。誤審でございます。その前にボールがラインを割っていて、そのカットはNHK技術さん陣により、完全に押さえられておりました。
ハーフタイム明けには、いくつか特筆すべき出来事が。ひとつはコンディションが今ひとつだった太田に代わって丸山が投入されたこと。もう一つはNHK名物「ハーフタイム前後の生インタビュー」で長谷川監督が河野のことを「こうの」と呼び間違えたことですね。まぁ、間違えるよね。でも、それくらいの出来事でリズムを崩すようでは3冠制覇なんてできません。宇佐美がワンツーからPKを奪取し自ら蹴り込んで、ガンバはリードを2点に広げます。
その後も流れはガンバ。特に宇佐美が躍動し出す。なんどもシュートを打っていましたね。決まりはしませんでしたけど、相手の運動量が落ちたり前掛かりになったときに存在感を示すのもFWの大切な仕事。悪くはなかったです。一方、対するFC東京も手をこまねいているわけではありません。東のクロスに前田が落として、最後は武藤が振り向きざまのシュートを流し込み1点差に追い上げます。武藤の巧みな足下が注目されましたが、前田の落としもなかなかのものでした。
ここからガンバは、エース宇佐美を下げて仕上げのリンスを投入するなど、逃走劇を本格化。しっかりとブロックを維持してFC東京の猛攻を受けて立ちます。FC東京の視点に立つと、攻めながらもシュートさえ打たせてもらえない時間帯が続いていたのですが、その膠着状態を陥落させたのも、やはり代表候補のプリンス武藤。「だったらブロックの外から撃ってしまえ!」といわんばかりのドライブシュートを突き刺しました。劇的な同点ゴールで、ドロー決着となりました。
それにしても、前半の早い時間帯はFC東京がポゼッションのイニシアティブを握りましたねぇ。あの、マッシモトーキョーが。マッシモトーキョーといえば、去年の夏に本領を発揮したように、カルチョの国の伝道師が根付かせた「堅守速攻」を持ち味とするチーム。相手にボールを持たせながらも、何もできない状況に追い込んで、そこからボールを奪い手数をかけずに攻め込むスタイルですね。しかし、それがこの試合では、むしろボールをポゼッションする側に回っていた。
この変化を、どう評価するか。おそらく穏当な解釈としては、ガンバの「肉を切らせて骨を断つ!」って戦術との相対関係によるものと考えるべきなのでしょう。FC東京以上にガンバが「持たせる」モードだった、と。しかし、あえてポジティブに評価するならば、去年の堅守はそのままに、加えて攻撃力向上を図っていると捉えられるかもしれません。フィジカルの強いファンタジスタ梶山がアンカーに入っていることの、狙いの一端が垣間見えたんだと思いたいところです。