■コロンビア 3 vs 0 ギリシャ[WCグループC 06月15日]
様子見をしている暇もなくコロンビアが先制。グアドラードのクロスをハメスロドリゲスがスルー。別にロドリゲスが蹴っても決まっていそうでしたけど、ともかくフリーとなったアルメロがギリシャ守備陣にシュートをぶつけながらも決めきりました。「相手が守備に特徴があるのなら、守備のリズムが出来る前に攻略してしまえ!」ということだったのでしょう。さすがは百戦錬磨のペケルマン。短期決戦の機微をわきまえているようです。
そこからの時間帯は解説の高木琢也とゲスト解説の楢崎正剛が何度か交わしたやりとりに象徴的なように、「コロンビアが早い時間帯で先制してくれたおかげで、ギリシャも攻めに出て、面白くなりましたね」という展開。すなわち、ギリシャが人数をある程度かけて攻め込み、コロンビアは広大に発生しているスペースを利用して、前線のタレントにボールを託す、といった応戦の繰り返し。ギリシャが攻めているようで、かといって決定機を迎えるわけではない、そういう前半戦でした。
後半になっても、あまり構図は変わりません。ギリシャがボールを保持しながら、セットプレーを獲得して、高さを生かしたい、そういう流れの中で試合は進む。しかし、皮肉というか、残酷というか、セットプレーから得点したのは、高さに分のないコロンビア。低いコーナーをニアでグティエレスが合わせました。イメージ的には、岡田カズチカが逆にレインメーカーをくらわされたってところですが、WCにおけるランク的には、小島聡がコジコジカッターでやられてしまったといったイメージでしょうか。
ここからギリシャとしては、マニアティスとトロシディスのポジションを入れ替えたり、カラグニスの投入により4231っぽくバランスを整えたりして状況の打開を図りますが、一方のペケルマンも、要所要所にフレッシュな選手をピッチに送り込み、また、イボルボとハメスロドリゲスのポジションを交換するなどして応戦。最後は後半のロスタイムに流れるような速攻からハメス君がダメ押しのシュートを流し込み、ジ・エンド。コロンビアの完勝となりました。
それにしても前半5分に先制点を奪ってからのコロンビアの試合運びは素晴らしかった。ロスタイムを含めて90分前後を完璧にコントロールしていましたね。要点は、まず、ある程度ギリシャにボールを持たせる。そして、サイドに追い込む。しかも、クロスを上げられることはなく、かつ、ギリシャに攻めているような錯覚を持たせるような位置で。そうやってギリシャが人数をかけたところでボールを奪い、カウンターに移行する。そこのチャンスの窺い方も、いかにも試合巧者。
しかもカウンターのチャンスで人数を「かけるorかけない」の状況判断が非常に優れている。人数をかけるべきタイミングにおける、人数のかけっぷり、その意志統一は、まさに「DNAに擦り込まれている」とか「皮膚感覚に染みついている」としか表現のしようがない。日本人にとって「ノーアウト1塁ならば、送りバント」くらいの感覚。残念ながら野球ほどサッカーはイロハが日本人には染みついていませんから、日本代表がコロンビアのサッカーを目指すのは得策ではないでしょう。