臨機応変さに欠く姿がザックジャパンを彷彿とさせた〜SC相模原vsグルージャ盛岡(8月10日)の周辺をウロウと…☆現地観戦記☆

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豊田スタジアムからとんぼ返り。その足で自宅に戻らず台風接近の中、J3を見に行く、そんな自分が少し好きです。

 

■前半

 

それは、まあ、台風だったのですよ。とにかく風が強かった。となれば、前半、風上に立った盛岡が圧倒的に有利になる。遠目には相模原が自ら風下を選んだように見えたのですが、さすがにそんなことはないのかな。あるいは、「体力のある前半は気合いで凌いで、後半、畳み込もう!」という作戦だったと解釈できなくもないですけど。とにかく、前半は風上に立った盛岡が攻め込むハーフコートゲーム状態になっておりました。

 

 

ただ、そういう展開を盛岡は生かしきれませんでした。というのも、ロングスローを多用したり、長めのフリーキックをゴールに目掛けて蹴り込んだり、風上の恩恵を受けるべく、ありとあらゆる努力をした反面、その副作用として、「強風による相手の目測ミス」という偶発的要素に過度な期待をかけてしまっていたように見えたからです。もう少し丁寧に繋ぐ意識を強く持っておく必要があったかもしれません。普通のサッカーの合間に非常事態的サッカーを織り交ぜるべきでした。

 

 

一方、ほうほうの体になりながらも、どうにかこうにか前半を凌ぎきった相模原。その立役者はCBに入ったウェズレイでしょう。この人の前への強さ、そして圧倒的な高さによって、盛岡のロングキックはことごとく跳ね返されてしまいました。あとは、風の影響を受けづらい地上戦に持ちこめば、相模原守備陣にも休まる暇ができたはずです。ところが、どういうわけだか、相模原の選手はロングキックでクリアしようとし続けるのですよ。意味がわからない。

 

 

相模原の選手たちの心理を慮るに、風上の相手に攻められっぱなしでしたからね、とてもとても苦しかったのでしょう。その苦しさから手っ取り早く逃げたいから、まずはロングボールを蹴って、急場凌ぎに走ってしまった、と。ただ、風下からのロングボールじゃ、それがそのまま戻ってくる。却って無限地獄に陥ってしまいました。こういう、精神的にいっぱいいっぱいなときに余裕を完全に失ってしまうのは、日本人に共通する心性でしょう。そこに日本で守備の文化を構築する難しさがある。

 

 

 

■後半

 

ノロノロ台風は、そんなにサッサと通り過ぎてくれませんので、後半になると、相模原が風上に。「ここから一気呵成に攻めたてるぞ!」ってな話なんですが、ここで相模原、どういうことだか、謎のショートパスサッカー展開しだします。全くもって意味がわからない。少なくとも、せっかくの風上というアドバンテージを利用する意志が相模原に一つもないことだけは理解できましたけど。頑固なのか、不器用なのか、「自分たちのナンチャラ」に固執したいのか。

 

 

これまた、少し相模原陣営を慮ってみましょう。まず考えられるのは、「前半はシンプルに裏を狙い、後半になって相手の足が止まったらパスサッカーで!」という前半後半の黄金パターンを遵守しようとしたのかもしれません。あるいは、「ショートパスを気持ちよく蹴ってリズムを作りたい。だから、気持ちよく蹴れない逆風の中ではショートパスは避けて、あまり影響のない順風でこそ、ショートパスだ!」と考えたのでしょうか。いずれにしても、効率的な選択ではなかった。そりゃ、スコアレスドローにもなるってもんです。

 

 

最後に、一応、トロにも触れておきましょうか。“元セレソン”という輝かしい実績を引っさげて、鳴り物入りで入団した大物ですね。藤枝にケルロンという選手が同じような感じで加入したことがありますけど、往々にして、こういうタイプは大スランプに陥ってしまっていたり、致命的な故障を抱えてもはや別人になってしまっていたりするもの。果たせるかな、トロさん、ダメダメでしたよ。動き方にケガ的な影響は感じなかったので大スランプパターンですかね。

 

 

もうね、ろくすっぽボールが足にあたらないんですもん。この試合を通じて、そもそもあまりボールに触れなかったのですが、たまにボールを捌く機会があっても、極端な話、一度たりともパスが成功しなかったのではなかろうか。当然、その状態で「でも動き自体はキレッキレです!」なわけもなく。身のこなしが悪い。身がこなせない。ぶつかったら吹き飛ばされ、相手を交わそうとしたら、普通に対応されてしまい、J3がレベルの高いリーグに見えてしまいました。この試合を見る限り、片鱗の「へ」の字もなかったと思います。

 

 

■日本代表への推薦状

 

□推薦者

高原直泰

 

□推薦理由

 

なんか、相模原の試合では毎回、高原の名前を挙げてしまっているような気がします。繰り返しになりますが、この日は来日して間もないトロが唖然としたであろうくらいの強風がビュンビュンと吹き荒れていたのですが、本文中で述べたように、相模原は、その強風への対策をほとんどできていなかった。そのなかで、唯一、強風の影響をできるだけ受けないようなプレーの選択をし続けていたのが、この人、高原でした。

 

 

強風ゆえに、まともにゴールキックを蹴れないゴールキーパーを助けるような、優しく気の利いたポジショニングをとっていたのも高原。こういう臨機応変さって、日本代表に最も足りない部分ですよね。「自分たちの信じるパスサッカーをやる」となったら、相手との兼ね合いとかを気にせず、それだけをやろうとする。そしてグループリーグで敗れてしまった。高原本人とは言いませんが、こういう、ベテランらしく気を利かせられる選手って、不可欠ではないだろうか、と考えます。