デンマークvsポルトガルとイタリアvsクロアチアの周辺をウロウロと…【ユーロ観戦記】

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EUROもいよいよ佳境を迎えつつある今日この頃、皆様におきましては如何お過ごしでしょうか?

ワタクシは別館4thDayMarketCentreをアップしております。

梶山が負傷交代すると試合が動くという皮肉、とかなんとか言っちゃって、FC東京vsC大阪(06月23日)その4

ポポスタイルも守備が安定していてこそ、とかなんとか言っちゃって、FC東京vsC大阪(06月23日)その5

谷澤の前世はカニなのかもしれない、とかなんとか言っちゃって、FC東京vsC大阪(06月23日)その6

デンマーク 2 vs 3 ポルトガル[06月10日 EURO2012]

デンマークが序盤から猛攻を仕掛け、それを凌いだポルトガルがジリジリとペースを引き戻し、24分にコーナーキックをぺぺが頭で合わせて先制します。さらにポルトガルは前半のうちに追加点。ポウルセンのクリアを拾ってナニがクロス。ポスチガが綺麗に裏に抜け出し、押し込んだもの。

しかし、デンマークがそのまま引き下がるわけもなく、前半のうちに1点返します。ベントナーのサイドチェンジをヤコブセンが受け、フォローしたヤコブが素晴らしいパスをデリに供給。デリが頭で折り返し、最後はご存じベントナーが飛び込みました。

後半に入ると、クリロナが決定的な1対1を二度も外すなどしているうちにデンマークがペースを握り、オーバーラップした右SBヤコブセンのクロスにベントナーが高くて対空時間の長い跳躍からヘディングシュートを突き刺し、デンマークが同点に追いつきます。とはいえ、ポルトガルも意地を見せ、コエントランのクロスにクリロナが空振りという名のスルーを流し、アクシデンタルにやってきたボールに対し超人的な反応を見せたバレラが勝ち越しゴールを奪い、ヨレヨレになりながらもポルトガルが勝利を収めました。

やはり、ポルトガルの鍵を握るのは左サイドだな、と。

中継では、「クリロナにはドンドン仕掛けてほしいですね。ドリブルといえば、ともすれば自己中心的なプレーのように思われがちですが、全然そんなことはなく、彼がドリブルを仕掛けることによって周囲も輝くので、むしろそれはフォアザチームですよね」みたいなことをいっていましたが、やはり彼が守備をしないことが、いろいろなスパイラルを生み出します。

この日はボールに触りたかったのか、チームとして、そのような方針があったのか、クリロナは余り左に張っておらず、むしろシャドーというか、トップ下のような位置に陣取ることが多かった。実際に、それによって、ドイツ戦に比べてボールに絡む回数が格段に増え、一対一のチャンスを2回も迎えた。

結果として決められなかったのは残念ですが、そういうシーンに顔を出すってところに意味がある。特に彼の場合は、そこにいるだけで相手へのプレッシャーになりますし。

ただ、当然のことながら、左サイドは攻守に渡ってガラガラになります。そこのバランスを整えるべく、ミゲウあたりが左に流れてスペースを埋めてはいましたが、そうなると、今度はバイタルエリアのど真ん中がお留守になる。おそらく、そういうこともあってかコエントランは内に絞ること機会が増え、ますます左サイドが疎かになるとともに、コエントランの存在感が血液型別自販機で売っているアレくらい薄薄になるという悪循環が発生してました。

で、そうやっているうちに、予想通り、左サイドを攻略され、デンマーク右SBヤコブセンからのクロスから同点ゴールを奪われるわけです。そうなると、ポルトガルとしても攻めに出ざるを得ず、それまではバランス維持に四苦八苦していて、しかもオーバーラップしてもクリロナの眼中に入らないということもあり、攻撃を自重していたコエントランが、割り切ってアタッキングに参加するようになると、彼を起点に決勝点は生まれた。

・・・うむ、やっぱりクリロナというのは諸刃の剣ですね。

■イタリア 1 vs 1 クロアチア[06月15日 EURO2012]

凄い。ピルロフリーキック。GKが何をどうやっても止められない完璧な弾道とスピードで相手ゴールに叩き込みます。これで、イタリアが先制。

先制したイタリアは気持ち守備的にスタンスを移し、きっちりバランスを取りながら試合を進めていたのですが、後半20分を過ぎたあたりから全体を押し上げられなくなると、クロアチアが攻勢。サイドに揺さぶりをかけまくって、イタリアのゴールをこじあけます。左サイドからのクロスに何故かフリーになっていたマンジュキッチがトラップからシュートを蹴り込みました。

その後は見応え十分な一進一退が展開され、緊張感が最後まで途切れることなく、タイムアップを迎え、ドローで終わりました。

クロアチアは、特に前半の右サイドに顕著だったのですが、とにかくサイドに密集を作る。一般的には「トライアングル」と称されるように、狭いスペースでは多くても3人くらいがコンビネーションを形成し、攻撃の形を作っていくんだと思いますが、クロアチアの場合は、4人目、5人目が絡んでいく。

具体的には、ボランチ(というかモドリッチ)と、各サイドのハーフ(ペシリッチorラキティッチ)、更には同サイドのSB(ストゥニッチorスルナ)が絡んでいき、さらに逆サイドのSHがフォローに入り、それでもダメならアンカー的なブコエビッチまで助太刀に入る。

特に、後半それまで右サイドに張がちだったペシリッチに代わりプラニッチが投入されると、そのような流動性に拍車がかかります。

で、ここまでならJリーグでいうところの京都に近いのですが、京都の場合、「密集を作ってオープンサイドに大きく展開する」までを理想としてるのに対し、クロアチアの場合、密集を作ったままクロスを放り込むところまで持って行く。だから2トップは、サイドでの密集には決して参加しないわけです。

対するイタリアは、そのようなクロアチアの攻撃に対し、サイドを押し込み高い位置をキープすることで、相手のサイドアタックの機会を減らしていました。

ただ、後半の途中にモッタが交代すると、途端に、そこのバランスが崩れる。前のスペイン戦でもそうだったのですが、モッタは運動量豊富な上下動で、終始イタリアのポジションバランスを担保していた。守備にあたっては、誰よりも先に自陣に戻り防波堤となり、攻撃に移るや、あっという間に前線にまで駆け上がり、アタッキングにおける数的優位を作り上げていました。

そのモッタがいなくなったことで、縦への推進力を失ったイタリアは守備になると、自陣に釘付け状態となり、決して鮮やかとはいえないクロアチアのサイドチェンジを簡単に許してしまっていました。象徴的なシーンが同点ゴールの場面で、左サイドが手詰まりとなり、仕方なく右に展開し、それでもダメだから再び左に戻って、そこからのクロスがアシストになったわけですが、あるいはモッタがいればフォアプレスで、相手のサイドチェンジを防いでいたのかな、と。