海外に出ることの意味の周辺をウロウロと南アフリカWCの日本代表を振り返る、その3

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この週末の前の週末には横浜FMvsガンバ大阪の試合を観戦しました。

例によってマッチレポは

4thDayMarketCentre

にアップしております。

横浜FMvsG大阪(09月18日)の周辺をマリノス目線でウロウロと…

横浜FMvsG大阪(09月18日)の周辺をガンバ目線でウロウロと…

宜しければ覗いて下さいな。

さて、本シリーズの前回エントリーで、若干、内田と森本に失礼な評価をしました。

「1人前じゃなくても仕方ないんだよ」

おそらく、言われた当人にとって、これほど屈辱的なことはないでしょう。誤解なきよう述べますと、ワタクシ、中学生の頃から部活をやっていました。そして県選抜とかに選ばれるヤツには、どうやってもかなわないという事実を、身にしみて知らしめられました。

その、どうやってもかなわない県選抜なヤツらのなかから何十人に1人の割合で全国レベルなヤツが出てきて、さらにそのなかの何十人に1人の割合でプロになれる。そして、そのなかの何百人に1人の割合で、海外に引き抜かれる。

もはや、森本選手はワタクシの想像力の範疇を超えた存在です。ワタクシには絶対かなわないだけの才能、何よりも努力をしているわけですから、もう、無条件にリスペクトしてますよ。これはマジで。

そんな、ヨーロッパでも十分に戦力として活躍している森本がベンチにいるって、なかなか凄いことですよね。

他にも、(元)ヨーロッパ組の選手がベンチに控えてましたね。申すまでもなく、俊輔であり、稲本です。そう考えると、日本代表も懐が深くなりました。

海外に挑戦することには、当然ながらメリットとデメリットがあります。失敗したときのリスクが大きいですからね。典型的なのは元ジェフは水野選手ですよね。彼の場合、正直、「海外挑戦に失敗すると、こうなっちゃいますよ」を身を以て体現してしまった。もちろん、挫折を経験したからこその急成長を期待してますが。

ただ、今大会の日本代表を見ていて、改めて海外挑戦の重要性を再確認できました。

この大会、レギュラーとして出場していたヨーロッパ組は松井、本田、長谷部といったところでしょうか。この3人を見ていて、共通して印象に残ったのが、いかにも

「いつも通りにやってます」

といった表情です。そりゃそうですよね。実際に彼らにとっては「いつも通り」のことをやっていただけですから。

わかりやすい例が松井選手ですね。彼はWCが開幕する以前から、「初戦のカメルーン戦については、実質、いつもフランスリーグでやっているのと同じ相手」というスタンスで一貫していましたよね。

だから、松井やら本田やらは、相手が外国人だからといって、特に気負うわけでもなく、必要以上にリスペクトし過ぎることもなく、かと言って、根拠もなく「オレたちならやれるはず」っていう破れかぶれの蛮勇に走ることもなかった。

とにかく自然体に、自分たちの持っている力を過不足なく発揮した。

歴史的に、とかく外国人に対して、思い込みによる畏怖心を抱く日本人。「異国」が怖くて怖くて仕方ないから、「鬼畜」とかなんとか言って蛮勇で突っ込んでいったり、その反動で隣国に対して、空想を根拠に差別視したり、英語で道を尋ねられると逃げ出したり、「外国人アレルギー」というか、外国人を前にすると、あれこれギコチなくなったりするもんです。

ところが、上述の各選手は、そんなこと完全に超克してしまっている。これは海外に身を投じ、常日頃から外国人選手に囲まれているからこそ可能になるんだと思います。

それは別に、海外で大活躍しなくても身に付くんだと思うんですね。象徴的なのが大久保選手。彼の場合、二度の海外挑戦は、お世辞にも成功したとは言えないと思うんですね。でも、海外で揉まれたという経験は、確実に活かされていた。外国人相手にも臆することなく、実に堂々と渡り合っていました。まさに経験のなせる業でしょう。

そして、彼ら、外国人相手でも何ら怯むことなく個人で勝負にいけるアタッカー陣に、遠藤、中澤、阿部といった、淡々と自分の役割をこなしていく、「日本人らしい日本人」が加わる。その役割分担が、非常に上手くいっていたのではないかと思います。

ヨーロッパ組だけだと、やはり少し不安を感じます。

以前に述べましたが、中田ヒデのように、「個人主義」の影響を強く受けすぎて、それを悪い意味で表現してしまう危険性があるかと思うんです。

何も個人主義が悪いってことではないんですよ。ヨーロッパの人々は幼少期から個人主義を叩き込まれていますから、良い部分も悪い部分もひっくるめて、個人主義を適切に消化しているものと思われます。

一方、日本人は、一般的にそういう教育は受けてませんからね。個人主義の長所だけに目を奪われて、短所をちゃんと踏まえることなく暴走してしまいかねないわけです。

だから、チームワークが賞賛されたように、ベースは日本人的な集団性で固めておき、そこに個人主義的な立ち居振る舞いも出来るヨーロッパ組を、主に攻撃で組み込んだというのは、たまたまそうなっただけのような気もしますが、岡ちゃんの卓見だったと考えてます。

個人主義と集団的メンタリティのバランス、そのバランスを担保した遠藤や中澤といったベテラン日本人選手。これらも南アフリカにおける躍進の1要素だったのではないでしょうか。