ニッパツ競技場には、いろんなトラップが仕掛けられています。
18歳で上京して、いまやオッサン。都会の空気にも慣れてきているはずなんですが、そこは生来の田舎者。人口密度には滅法弱い。
三ツ沢公園の最寄り駅は三ツ沢上町。ただ、多くの人は横浜駅からバスですよね。
その横浜駅は、首都圏でも有数の巨大ターミナルです。当然、駅前は「小さくまとまっている」とは、真逆の状態。そうすると、かえってコンビニとかで、ささっと買い物を済ますみたいなことが難しかったりします。改札のすぐ近くに、多分あるんであろうニューデイズで済ますのが正解なのかもしれませんが、そこは生来の田舎者、あの人ごみですから、一刻も早く広いところに出たくなります。
そして、バス乗り場へと続く地下街に入った頃には、コンビニを探すには、もう手遅れって感じになっている。けれども、その代わりに、地下街に入って、すぐ右奥にスーパーがありますよね。比較的そこを利用したりします。
悲しきオッサンの1人暮らし。スーパーのレジに並ぶことくらいチャメシなのです。なんならレジの女の子が可愛かったりすると、1日のハッピーが1つ増えた気分になります。このあたりは18歳のときから不変ですね。
さて、この日はナイトマッチでしたが、いろいろあって(細かくは覚えてないですが、多分いろいろあったはずです)、時間的にスタジアムで食事をとる感じになりました。
ただ、三ツ沢のスタグルは、全くイメージが湧かない。ならば、いつものスーパーで惣菜を買っていこうと、290円とかそこらの、かき揚げ丼とかそれ系を買っていきました。麗しき庶民生活。
しかし、スタジアムに着いてビックリ。いままで注目していなかったので気づかなかっただけで、「サンマー麺」なる屋台が出ているんですね。
そしてスタンド下の売店には、「厚木ホルモン」の幟が。
厚木の白ホルモンがあるのか。
ワタクシ、ご当地ものが大好きです。B級グルメも大好きです。ビールも好きですが試合中はトイレに行きたくなるので、汗をかく気候のときしか飲みません。ともあれ、「厚木ホルモン」の幟を見て、
「しまった、白メシだけ買ってくるべきだった」
と地団太を踏んでもアフターなフェスティバル。完全にニッパツの罠に嵌ってしまいました。まさに痛恨の極み。「知らない」ということは幸福であり、同時に不幸でもあるようです。
そんなテンションうなぎ下がりの気分を、前向きに変えてくれたのが、大分サポの皆様です。
ニッパツはスタジアムの構造上、アウェイのゴール裏席が、非常に狭い。なんでそうなっているのか、よくわからないのですが、ゴール裏の半分は、そもそもスタンドにはなっていないんですね。
それでもJ2ですし、特に西日本のクラブとの試合の場合、そのキャパでも不足しません。なかんずく九州のJ2クラブだと、その傾向は顕著で、北九州についてはニッパツでの試合を見たことがないので分かりませんが、アウェイに駆けつけたアビスパやサガンのサポーターが、ニッパツのゴール裏に入りきらないということは、殆どありえません(福岡がJ1にいた頃は除く)。
しかし、この日の大分サポは違いました。
アウェイゴール裏席は、立錐の余地が、えぇっと、多少はあったかと思いますが、そんなに沢山はありませんでした。
キャパ的に、アウェイゴール裏はホームゴール裏の半分くらいしかないというニッパツの罠があってのことですが、人口密度という観点から言えば、大分サポが横浜FCサポを圧倒していました。
というか、こんなところで、図らずも「人口密度」なんて単語が出てきましたね。まるで、前半のヨタ話が、ここへの布石みたいに機能したことになりました。
「偶然の一致」というのは不幸であり、同時に幸福でもあるようです。
さて、話を大分サポに戻します。
ご存知の通り、トリニータは現在、クラブの歴史で最大に、しんどい状態にありますね。借金云々以前にJ2に落ちましたし、観客動員も減っているようです。
甲府や千葉や柏は、降格しても余り観客動員数が減少していません。したがって、「本当の意味での地域密着」という部分で、大分のフロントには、もう一度、見直すべき点もあるかと思います。
しかし、苦しい状況になっても、それでも他の九州J2クラブよりも多くのサポが駆けつけるというのは、なかなか心強いですよね。
もちろん、喜びを共有することは素晴らしいことです。ナビスコの決勝に駆けつけた一見さんを含んだであろうサポもトリニータの財産でしょう。
その一方で、最もヘヴィな状況をも共有しようとするサポが、少なからずいる。そんな事実を、あの日のワタクシは、これでもかと見せつけられたわけです。
クラブには、こういうサポを特に大切にしていってもらいたいものです。