「ヤンチャなCFこそ選手権の楽しみ。」ってな試合【流経柏vs前育】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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流通経済大学付属柏 1(4) vs 1(5) 前橋育英[高校選手権準決勝 01月10日]

前半の戦いは、一見すると前橋育英がイニシアティブを掌握しているような雰囲気だったんですけど、必ずしも流経柏がやられていたわけではなかったですかね。前橋育英は、ザックJAPANが志向したようなパスサッカーだったのに対し、流経柏は兄貴分の流経大が今年度大学日本一を勝ち取ったサッカーに似ていて、リアクションスタイル。パス成功数とかエレガントさでは前育に優位性があるんですけど、どちらが相手ゴールに圧力をかけられているかというと、なかなか微妙なところ。サッカーの法則に照らし合わせれば、「前育が攻めまくりながらも、一瞬の隙を突かれて、カウンターorセットプレーからの一撃でやられてしまいました」になる臭いがプンプンしていました。

 

 

後半に入ると、目まぐるしく選手交代が繰り返され、配置があれこれ入れ替えられたり、フォーメーションが変わったり、見ている側にとってはわけがわからないクルクルミラクル状態に。そんななかでアナさんもわけがわからなくなったのか、前育の6番渡辺が投入されたときに「この選手は大会前に捻挫をしました。大怪我を負いましたが復活してきました!」みたいなことを言い出す。・・・いやいやいや、と。「いつから捻挫が大怪我になったんだ?」と。

 

 

そんな名将の化かし合いの機先を制したのは流経柏の本田監督。いかにも流経らしい正確なロビング系のパスを10番(途中出場)の相澤が前に送ると、途中からポジションを一列下げていた小川諒也が巧みな身のこなしでカラダを入れ替え、シュートを突き刺しました。こうなると前育的には蟻地獄。ただでさえ体力知力の疲弊により、持ち前のパスワークが雑になっているのに、リードを許したものだから、ドンドンと流経柏得意の中盤省略合戦になっていってしまった。

 

 

そして、「上州のテクニシャン軍団はいつものパターンで姿を消すのか?」という敗色濃厚ムードが漂いだした後半45分。そこで起死回生が起こるんだから、サッカーはドラマです。先制ゴールがプロ内定の小川なら、同点ゴールは年代別代表で伝統の14番を背負う鈴木。「よく決めたねぇ」というミドルが突き刺さりました。試合は劇的にPK戦に。PK戦の結果はくじ引きみたいなものですけど、サッカーの女神に気に入られたからこその同点弾。PK戦も前育が女神様を味方につけました。

 

 

 

個人のタレントという意味では前橋育英の方が上回っていましたかね。なんといっても2人の年代別代表選手を擁していますし。ショートパスをワンタッチで繋いで流れ込んでいったり、ヒールを織り交ぜたりと、高体連でありながらJユースクラブのようなエリートサッカーを展開します。一方の流経柏は、ブラジルWCのコスタリカを想起させるような非エリートサッカー。バレーボールみたいなロビングで前へ前へとボールを運んでいくサッカーでした。

 

 

ただ、スタイル的には対照的な両チームでしたけど、「翼くん」が左SHにいるところは共通していました。流経柏はFC東京入団が決まっている小川諒也で、前橋育英は年代別にも選ばれている渡邊凌磨。前育にはもう1人、鈴木徳真もいますが、まぁ小川と渡邊が「翼くん」。でも、最近の選手権で注目されるのは、「日向くん」なんですよね。リアル日向くんはユースに行くんですけど、高体連には「ガキ大将で小学校時代はヤンチャな王様でしたぜ、ぅおるぁっ!」って9番がいたりする。この両チームの青柳と高沢は、まさにそういうタイプで、こういう実力的には23番手だけど、オーラは大将って選手を見るのも選手権の楽しみの1つだったりします。