「マリノスの完勝と湘南の日本人性。」ってな試合【横浜vs湘南】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■横浜FM 3 vs 0 湘南[J1第7節 04月25日]

前半の9分、見事なカタチでマリノスが先制ゴールをあげます。中盤から斎藤学がドリブルで状況を打開し、兵藤にパス。兵藤がヒールで落としたところにアデミウソンが走り込み、正確なキックで来日初ゴールを決めました。湘南にとって、この失点は痛かった。スタイル的に湘南としては、一気呵成に攻め込んで、勢いのまま相手を飲み込んでしまいたかったはず。そして、そういう時間を少しでも伸ばしたかったはず。それが10分で冷や水ですからね。

 

 

それにしても、やっぱり本物は違うと言うことでしょうか、すっかりマリノスアデミウソンのチームになりましたね。圧倒的なサッカー脳と基本技術でピッチに君臨している。ゴールを決めたときにはチームメイトがこぞって祝福に駆け寄っていった。周囲からいかに信頼されているのかが伝わってくる1シーンでした。おはや王様。そうなると、一つ、どうしても気になることが。この試合でアデミウソンと入れ替わった、マリノスもう1人の王様との関係性。果たして両雄は並び立つのだろうか。

 

 

ともあれ、リードを奪うとマリノスは強いのですよ。岡ちゃん政権時代から、あるいはそれの井原現役以前から、マリノスと言えば守備の文化ですからね、伝統芸ですよ、相手にボールを持たせながらダラダラと時間を殺していくのは。湘南も手を変え品を変え、一生懸命に攻めてましたし、マリノスが鋭いカウンターを繰り出すって感じでもなかったのですが、「じゃぁ、マリノスに決定的なピンチがあったか?」というと、余裕の試合運びでした。

 

 

しかも、今年のマリノスは違った。いや、厳密には「今年の!」っていうほどのことはないかもしれない。「この試合の」にしておきますけど、10のままクローズさせるだけでなく、ケガ明けのラフィーニャやら中村俊輔やらの試運転を行うは、特に狙い澄ましたり無理をしたりするわけでもないのに、なんとなく追加点を決めてしまうは(しかも2点も)、すっかり試合巧者の強豪然とした貫禄を示しました。ちなみに2点目は喜田のパスカットから最後は斎藤学が押し込んだゴールで、3点目は、自陣でのパスカットをラフィーニャが前線に持ち上がり、最後は富澤が決めきったもの。マリノスとしては、この上のないお約束の結末だったのではないでしょうか。

 

 

 

それにしても湘南は苦戦してますね。そして、ひょっとしたらシーズンを通して、この苦労とは付き合い続けなければならないかもしれません。湘南スタイルとして2014シーズンのJ2を席巻した運動量を押し出す縦に超速いサッカーですけど、それを発揮しようにも、相手を潰せない、そしてボールを奪ったとしても運べない、クサビを送っても前線に収まらない。湘南スタイルとは、端的に言えば「質の不足を量の大きさで凌駕する」ってことだとは思いますが、さすがに、もう少し質の部分もどうにかしないと。

 

 

なんか湘南を見ていると、ザックジャパンを思い出すのですよ。発想の基盤が「彼我の実力差なんて意識する必要はないし、それによって自分たちのあり方を変えるなんてありえない。自分たちの進むべき道を一途に追求すれば、自ずと問題は解決する」という、超楽観的な希望的観測なんですよね。そういう意志の強さももちろん大切なんですけど、現状認識の放棄を精神論によって正当化してしまうところが、「国民精神を集結すれば、物量差は克服できる」なる思考停止のもと真珠湾に突撃していった頃と何一つ日本人は変わっていなかったりするのではなかろうかと杞憂してしまいます。