■柏 1 vs 1 アル・シャバブ[ACLラウンド8 08月21日]
アル・シャバブは欧州人監督に率いられた規律のあるチームで、フィジカルを前面に押し出すような雰囲気ではない。これまでACL仕様として4CBで戦ってきた柏ですが、そういうこともあって、通常のSBを配した4231。ってなわけで、両チームともバランスを崩さない程度に攻めあうような展開がキックオフから続きます。なかなか見ていて楽しい感じ。
試合が動いたのは前半の20分くらい。レアンドロドミンゲスが放り込んだFKをGKがパンチング。その後の何度かボヨンボヨンと空中を行ったり来たりしつつ、最終的には工藤の足下に飛んでいくと、工藤は抑えの効いた良いシュートでゴールに突き刺しました。
システム的には両チームともに4231ですし、指向するサッカーも共通する部分があるのか、いわゆる‘ミラーゲーム’っぽくなりましたが、先制したレイソルは、普段のリーグ戦での戦い方がそうであるように、ゲームをコントロールしながら時計の針を進めていきます。
しかし、その割には中盤より後ろでミスが目立ってしまい、ミス絡みで与えたコーナーキックからメネガッソのダイレクトボレーで同点ゴールを許してしまいます。しっかりとスイートスポットにミートすることだけを心がけた綺麗なシュートでした。
後半に入ると、暑さのためか両チームとも守備においては比較的すぐにリトリートしていたので、互いのバイタルをボールが往復するようになって、それなりにアドレナリンが分泌される展開。ただ、少しずつアル・シャバブが優勢になっていきます。柏が攻め疲れた感じですね。アル・シャバブとしてはアウェーゴールを奪ってのドローなら御の字ですので、リスクを冒さない。そして、柏は攻撃が上手くいかない。少しずつグズグズになっていき、そのまま11の引き分けに終わってしまいました。
柏はネルシーニョ体制になって5年目、西野ガンバの後期のように、世代交代を試みながらも思い通りにいっていないのかもしれませんね。例えば、ボランチで先発起用された茨田。この選手って良いときは良いんでしょうけど、ワタクシが見る試合ではいつも行方不明。あるいは栗澤が衰え始めたのかもしれませんが、この選手が世代交代の旗手にならなければならない。
そして、ネルシーニョ率いるレイソルと言えばレアンドロ・ドミンゲスなんですが、途中交代を命じられたように、この選手も絶好調の頃に比べて、どうにも違いを生み出せない。ジョルジ・ワグネルにも同じことが言えるのですが、レイソルは、ブラジル人選手に依存しながら、その2人が却ってボールの奪われ所になってしまっているのですね。にもかかわらず、これまでの実績とか、そういうようなこともあって、柏の日本人選手は、ついつい2人の顔色をうかがってしまう。そして、ついついボールを預けてしまう。そして預けたところで奪われてしまう。宜しくないですねぇ。
逆にアル・シャバブはトーレスとラフィーニャという両外国籍選手が中盤を制圧しつつ、柏守備陣に乱れが見えるや、シンプルにハザジなど周囲の選手を使う。サウジ国籍の選手は、ある程度崩した状態で攻撃に参加するから、非常にスムーズにクロスやらシュートを繰り出せるわけです。自国人選手と外国籍選手の関係性において、この試合の柏とアル・シャバブは対照的だったと思います。