わかりやすい柏と地味な千葉ちばぎんカップ(2月17日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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両チームのサポーターもライターさん達も一致して仰っているように、この試合のレイソルは良くなかったですね。特に前半は宜しくなかった。理由ははっきりしていて、3バックという新たなシステムが全く機能しなかったことに尽きます。

3バックだと、ウイングバックが、攻撃時ある程度クロッサーとしての役割に専念しますから、比較的、サイドからの放り込みが目立つんですけど、それにしても、前半のレイソルは放り込みが多かった。別に、両サイドがジェフ守備陣の手に負えないくらいにキレキレだった結果としてクロスが目立つのなら問題はないのですが、この試合の柏の場合、単に中央でゲームを組み立てられなかったことの裏返しで、サイドの放り込みばかりとなっていたので、問題なしとは評価しがたいところ。

ワグネルとキムチャンスがクロスを放り込みたくなるのは、外から見ていても理解できるわけですよ。なんといっても真ん中ではクレオと工藤が待っているわけですから。だから中央からの崩しができなかった主因は、WBの判断ミスというよりも、中盤の選手がボールに絡めなかったところにある。

具体的には、谷口・茨田というWボランチが、攻撃を組み立てられなかった。もともと谷口は、広範囲に動き回って、フィジカルを生かしたパワフルなプレーを繰り出すところにある。高い位置まで出張して、相手を攻撃を潰したり、攻撃に援護射撃を加えたりするのは得意ですが、低い位置でボールを散らしたり、攻撃をオーガナイズしたりという作業は、中村憲剛の任せていた選手ですね、川崎時代は。

そう考えると、茨田が中村憲剛の役割を果たさなければならなかったわけですが、この選手も、あまり低い位置で捌いたり、ボールを引き出す動きをして、DFから預かって前線に繋げるって仕事ができていなかった。チーム全体が攻撃モードになったときの後方援護的なロングパスは糸を引くような美しさが垣間見られましたけど。

実際に、栗澤が投入されて、リンクマンとして獅子奮迅の存在感を示すようになると、レイソルの攻撃は一気に活性化しましたので、この試合におけるレイソルの敗因は、3バックなるシステムというより、Wボランチの人選、相性の悪さにあったのではないでしょうか。

対する千葉ですが、30の快勝ですし、しかもジェフの若大将・米倉が最初の2点を決めて、新戦力のナムがダメ押し弾ですので、ジェフサポ的には満足のいく試合だったのではないでしょうか。しかも、期待のジャイールも前評判に違わぬ突破力を見せつけてくれましたし。

ただ、じゃあ、「今年のジェフは、こういう攻撃の形でやっていきます!」といった、チームとしての名刺代わりがあったかといえば、なかなか微妙なところ。先制点が入るまでは、慎重な試合運びで、虎視眈々とレイソルの隙を伺うというスタイルでしたし、先制して以降は、より一層カウンターモードにシフトして、抜け目なく追加点を重ねた感じでした。リアクションサッカーに専念し、自らの主体的アクションが如何なるものであるかを積極的に表現することはなかった。

ただ、敢えて言うなら、こういう、〈タイミング良く追加点を挙げていく〉というのが、今年の千葉スタイルなのかもしれません。鈴木監督が、〈派手さはないが巧みな試合運びで勝ち点を積み重ねていく〉というサッカーを志向しているんだとすれば、この試合は強烈な御挨拶だったということになります。

と言いますのも、プレシーズンマッチだというのに、後半に鈴木監督が見せた選手起用が、大人げないというか、えげつないというか、とにかく‘本気(マジ)’だった。だって、ただでさえ思いっきりブロックとラインを整えた組織的な守備を前面に押し出している中、さらに、大岩であるとか、山口慶とかを投入するんですよ。

つまり、〈勝っている試合を確実にクローズさせること〉を主眼に置いた用兵をしたわけで、そこに、〈新戦力のお披露目〉とか、〈攻撃的な姿勢を見せることでサポーターの心を掴む〉といった、〈プレシーズンマッチプレシーズンマッチとして戦う〉という意識は全くなかった。今年のでジェフは、〈派手さはないけど、なんだかんだで勝ち点を重ねるチーム〉になるのかもしれません。

□日本代表への推薦状

・推薦者

谷澤達也

・推薦理由

もともとは華麗なドリブラーで、近年は重心の低い体型を生かした(笑)鬼キープで、FC東京やジェフの攻撃を牽引してきたテクニシャンですが、この試合では1トップとして起用されていました。そして、その起用に完璧に応えていたと思います。

どこが凄いかって、とにかく足下でのポストワークが超絶に巧い。無理な体勢や、厳しいチェックにあいながらも、ありとあらゆる技術を繰り出して、マイボールにしてしまう。前田遼一を彷彿とさせるようなポストワークでした。ということで、ポスト前田として谷澤はどうでしょうか?