アジアカップ優勝の周辺をウロウロと…メンバーの序列固定について

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さて、季節はずれのアジアカップ物語、第二弾です。

書いているワタクシも、だいぶ忘却の彼方状態ですので、読んで下さっている皆々様におきましても、「いまさら覚えてないし」みたいな感じかもしれませんが、このアジアカップ、戦前から本田と香川のWエースがどんな魅惑のコンビプレーを見せてくれるのかと、世間の注目を集めていました。

特に香川選手はドルトムントで大活躍していたこともあり、過熱気味の期待を背負っていたわけですが、グループリーグを通じて、ファンも本人も、今ひとつ満足しきれない出来が続いていました。そんな香川選手が、最も輝いたのが、クォーターファイナルカタール戦です。当初は最高とは言えないプレーコンディションながら、尻上がりに調子を上げていき、やがて10番に恥じないところまで持ってきました。

そのカタール戦で、香川選手とは対照的に、彼の実績からすれば、少しいただけない姿を見せてしまったのが川島選手。吉田選手が退場した直後の2失点目は、壁の枚数へのコーチングを含めて、どちらかと言えば、川島選手の責任を全くなしとはしえない失点でした。さらに川島選手は予選リーグで退場しちゃったりもしています、本人だけの責任じゃありませんが。

ただ、そんな川島選手も、準決勝における韓国とのPK戦では、スーパーセーブを連発し、日本を窮地から進みました。

また、決勝戦での衝撃的なダイレクトボレーで、一躍、時の人となった李忠成選手も、初戦で途中出場した時はペンペンでしたし、サウジアラビア戦で結果を出した前田選手にしても、最後まで不十分ながら、それでも少しずつチームに貢献できるようになっていきました。

と、誰でも分かっている基本事項をダラダラと羅列してきたわけですが、これらの事実から、アジアカップにおけるザックJapanの特徴として、以下の2点が挙げられるかと思います。

ヒーローが日替わりで誕生した。

彼らは、必ずしも初戦から絶好調だったわけではない。

では、なぜ、多くの中心選手が試合を重ねる毎に本調子を取り戻し、試合を決定付けるようなプレーができるようにまで至ったのでしょうか?

答えは簡単です。

「使い続けたから」

ですね。

ザックが、調子が上がっていない12試合をみて、「こりゃ今回はあきまへんわ」と見切りをつけていたなら、彼らの活躍は実現しなかったはずです。

要するに、ザックはアジアカップにおいて比較的メンバーを固定していたわけですね。ええ、ええ、今のところ、「そんなん当たり前やん」ってことしか言ってませんよ。まぁまぁまぁ。

ザックのメンバー固定傾向を象徴的に示すのが、カタール戦で決勝点を挙げて、守備でも徐々にフィットしてきたにもかかわらず、次の韓国戦で右SBを伊野波選手から内田選手へスパッと戻した采配ですね。また、退場して出場停止になった試合の直後、川島に対して、「君への信頼は揺るがない」的な言葉をかけたというのも、有名なエピソードかと思います。このエピソードの肝は、川島選手の代役である西川選手が、まずまず悪くないパフォーマンスを見せていたにもかかわらず、ザックは川島選手への信頼を敢えて口にした、というところにあるんだと思うのですね。

伊野波選手や西川選手を筆頭に、柏木選手や岩政選手など、アジアカップを通じて、バックアップに回った選手たちは、出場機会を得た際、総じて及第点以上の活躍をしていたと感じます。でも、だからといって、彼らが、アジアカップの大会中にレギュラーの座を奪うということはありませんでした。大会期間中、ザックの序列は、極めて強固だったわけです。

このような序列の固定について、皆さんは、どのようにお感じですか?

個人的な意見を述べさせていただくならば、「短期決戦の大会中としては正解」というのが、ワタクシの見解です。

もちろんアジアカップを軽視するつもりはありませんが、ワールドカップとアジアカップとで、どちらに優先順位があるかといえば、多くのサッカーファンは、前者にプライオリティを置くでしょう。

少なくとも、トルシエ以降、日本代表は、ワールドカップからワールドカップまでの4年間を1つのスパンとするカレンダーで動いてきている。ならば、究極的には、そのときどきで必要な作業とは4年後からの逆算の中で決めていかなければならない。

そして、4年後からの逆算という観点に立ったとき、アジアカップの時点で必要だった作業とは、「チームのグランドデザインを示し、可能な範囲で骨組みを固めること」だったと思います。となれば、必然的に、ある程度、メンバーは固定せざるをえなかったのではないか、なんて。

かつてオシムは、日本代表を率いて初っ端に、「これがコアメンバーだ」ってのを示唆するように、選手を13人だけ選びました。オシムのこの行動と、今回のザックのメンバー固定は、本質的には、同じ意味を持つのではないかと感じています。

ただ、問題は、この序列が、ジーコのときのように、4年間不変の序列になったとしたら、ちとマズかろう、という点ですね。序列を相応に固定して良いのは、あくまで短いスパンの間だけ、短期決戦の最中だけだと思うのですね。

ザックに限って、そんなことは決してないと勝手に確信していますけど、他の選手がどれだけ活躍して、本田や香川が欧州で出番を失っていたとしても、常に2列目には本田や香川がいる、というようなことになれば、きっとザックJapanは2018年のWCにおけるアジア出場枠削減に大いに貢献してしまうでしょう。

その部分、つまりアジアカップにおける序列を、今後も頑迷に維持していくようなことがないか否かだけは注視していきたいですね。

というわけで、次は第3弾で、ザックの用兵について、もう少し述べていきたいのですが、気がつけばキリンカップの代表も発表されました。弊ブログ「代表活動期間中には代表関連のエントリーをアップしない」といういうザックリとした方針がありますので、この続きは、また6月2週目か3週目の週末に!