東京Vvs愛媛の周辺をヴェルディ目線でウロウロと…

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

そんなわけで、行って来ましたよ、駒沢オリンピック公園

オリンピックといえば、そういやブラジルWCの開催される2014年って、東京オリンピックから50年っていう節目になるんですね。ということは油断していると、「今年で長野オリンピックから50年」みたいなことになってしまうということか…。うん、怖いことは考えないようにしよう。

そんな恐怖の駒沢オリンピック公園から駅に向かっていると、「ゴールが決まらないもんな」とか「点取り屋がいないことには…」なんてヴェルディサポーターのボヤキ節が聞こえてきました。つまり、そういう試合だったわけです。

この試合、ヴェルディの両SBは森選手と福田選手。そのうち、より「ヴェルディっぽい」のは福田選手でした。

ここ数年、原点回帰をスローガンに掲げるヴェルディは、いかにも読売クラブらしいブラジリアンなサッカーをやります。具体的には、ショートパスを小気味よく回すことで中盤を制圧し、そこから、相手守備陣の意識が真ん中に集まっている隙にオーバーラップしてきたSBに一度預けて、正確なクロスを折り返す、そんな感じ。だからSBは、基本的にボールを持たずに駆け上がり、12回だけプレーに関与して、そこで攻撃が終わる。

福田選手は、そういった種類のオーバーラップの仕方をしていました。対する森選手は、7分どころでボールをもらってから、自らドリブルを仕掛けて突破していくタイプ。

なので、見ていて目立つのは森選手ですが、福田選手のようなタイプのSBこそ重宝されるのが、いかにもブラジリアンなヴェルディのサッカーだよなぁ、なんて思いながら試合を眺めていました。

とにもかくにもヴェルディのサッカーは足下の技術にこだわる。なので、正確なショートパスの延長線上に、正確(気味)なロングキックも加わってきて、中盤のゲームメークという意味では、かなり奥行きがあると思います。

例えば、前半、何度も富澤選手からサイドチェンジのロングパスが福田選手に通っていましたし、小林選手が繰り出す河野選手とかを走らせる一発の縦パスも、観客を唸らせるのに十分でした。

ただ、小林・富澤の両ボランチ、攻撃では光っていたものの、守備では、後手後手に回っていたかと思います。小林選手の場合、おそらく、さほど守備面での期待は大きくないでしょうから、問題は富澤選手ですね。

中盤の底として活躍する一方で、CBとして起用されることも多い富澤選手ですから、当然、守備面での期待も大きかったと思われますが、愛媛の2列目に入った赤井選手のドリブルに四苦八苦していました。というより、ほぼペンペンにされていた……場面があった。

まずは赤井選手の切れ味を誉めなければならないのですが、同時に富澤選手の守り方にも原因があったように思います。

もちろん、それが富澤選手個人の判断ミスなのか、チームとしての戦略ミスなのか、他の選手との絡みのなかで、そうせざるをえなくなったのかは分かりませんが、富澤選手、愛媛アタッカー陣のドリブルを後ろから追いかけるってシーンが目立ったんですね。

本来、DFラインに入ることの多い選手なので、アンカーっぽく低い位置で防波堤の役割を担うものかと思い込んでいたのですが、かなり高めの位置取りをしていました。

おそらく、それはゲームメークに参加するためであり、実際にそれが機能していたことは上述の通りです。しかし、その副作用として前半のヴェルディバイタルエリアがスカスカになってしまっていまい、結局12と1点のビハイドを抱えてハーフタイムを迎えます。

状況を打開すべく、ヴェルディの川勝監督は、すぐに対応策を講じ、後半の頭からCBの深津選手に代えてMFの阿部選手を2列目に投入、前半2列目に入っていた菊岡選手がボランチに、富澤選手がCBにそれぞれスライドします。

いくらリードされているとはいえ、バイタルエリアの守備をテコ入れしなければならないってときに、守備的な選手を外して、攻撃的な選手を入れるというのも、随分と大胆だなぁと感じたのですが、この采配はアタリだったと思います。

というのも、菊岡選手が低い位置取りをすることで、小林選手とのWボランチが縦っぽい関係を形成し、危険なスペースを埋めることに成功したんですね。

もともと攻撃的な菊岡選手は、ボールにたくさん触りたいわけです。そして、縦に強気なパスを通すことに、たぶん喜びを感じている。

だから、プレッシャーの緩い部分で前向きにボールを捌ける状況というのは、大好物なんですね、おそらく。必然的に、気が付けば、低い位置にポジショニングしているという状況が発生する。

逆に普段、守備的なタスクを負っている富澤選手は、どうしても「しっかり攻撃にも貢献しなければ」という意識が強くなり、無意識のうちに、前のめりな位置取りをしてしまったのかもしれません。

守備的な選手より攻撃的な選手を入れた方が、バイタルエリアの守備が安定するという逆説は、こんなメカニズムにより発生したのかなぁなんて考えたおりました。

ともあれ川勝采配もあり、後半はハーフコートゲーム状態でヴェルディが攻めまくり。ただ足下の技術を基本とするヴェルディだけに空中戦用の武器が足りない。引いた相手を力業で突き破ることができないわけですね。しかも、元々愛媛は粘り強い守備に絶対の自信を持つチーム。

だから、攻めても攻めても難攻不落の風雲バルバリッチ城を陥落させることはできませんでした。この辺りは、ヴェルディの構造的な問題になってくる可能性があるので、今後も注目していきたいところです。