今年は天皇杯も意識的に見ていこうと思い、行って参りました、NACK5スタジアム。
平日のナイター開催ですから、時間的?時刻的?な余裕はあんまりありません。一応、ギリギリで間に合うはずの構想でいたのですが、そうは問屋が卸さない。「じゃ帰ります」って言おうとしたタイミングで、人がやってきたりするのが世の常ですね。まあ、でも、その辺は適度に対処して、ドロンします。
で、長年、Jリーグを見ていると、19時00分開始ということは、即ち19:04キックオフだという無意識の習慣が身に付いていたりします。
なので、「ちょっと遅れてしまったけど、19:15くらいには着くな。じゃあ、最初の10分だけが見られない的なことになるわけか」なんて思いながら、大宮駅前の横丁的なところをくぐり抜け、ブックオフの角を曲がって、氷川神社の参道を目指します。
んが、19時00分開始が19:04キックオフというのは、Jリーグ限定の慣習みたいですね。スカパー!さんあたりとの共同作業の産物なんでしょうか?
要するに天皇杯には適用されない習俗らしい。Jリーグとスカパー!さんは「介の字貼り」とかしているっつう訳ですね。
ともあれ、15分遅れでスタンドに着いて、席を探していると、事件が現場で起こったりします。藤田選手のゴールで大宮が先取点を上げてしまいました。かなり綺麗なゴールでしたね。まだ落ち着いてなかったので、それ以上の印象は残ってませんが。
そして、「雨が止まないから、傘をさしても迷惑にならない席を探して移動しようかな」なんて考えているうちに、福岡が同点に追いつきます。
展開、早えーよぅ。
前半はそんな感じで一進一退。
後半に入ると、早々に福岡がPKを獲得します。遠い方のサイドの出来事だったので、詳しくは確認できてませんが、カウンターから抜け出してドリブルして、っていうPKゲットの黄金コース或いはゴールデン進路。
ただ、このPKは大宮GK江角のスーパーな反応で決まりません。で、ここが1つの分水嶺。以後、大宮がジワジワと地力の違いを見せつけはじめ、暫くは圧倒的な大宮ペースで試合は進みます。ただ、これがなかなか得点に結びつかない。
大宮が押し込むことに成功しながらも苦戦し、福岡が踏ん張れた理由の1つは、「止める蹴る技術」にあるのではないかと感じました。
まずは大宮が押し込むことに成功した原動力は木原と橋本のダブルボランチにあるように思われます。さながら、「稲本・名波コンビみたい」と言ったら言い過ぎですが、方向性的には、そんな感じ。
後半、特に目立ったのは、木原選手の飛び出しです。積極的に前線に絡んでいくことで、福岡の守備陣を翻弄してました。
そして、前半から(ある時間まで)、確かな存在感を示していたのが橋本選手。技巧派レフティらしいボール捌きで中盤の底でのに君臨っぷりは、なかなかのものです。
両チームともに普段、出番の少ない選手が多く起用されていたこともあり、この試合、とにかく「止める蹴る」の雑な選手が目立ちました。その中で、技術に定評のある橋本選手の「止める蹴る」には、一見の価値があったと思います。
一方で、そういう「止める蹴る」に課題があるのかなぁと感じたのが、先制点を挙げた藤田選手。先制した後の藤田選手は、厳しい局面が続きました。
フリーに近いヘディングシュートを外したのは、致し方ないですが、この試合で藤田選手が示した最大のネガティブポイントは、ボールを貰えないこと、そして、ボールを簡単にロストしてしまうところかと思います。
ボールを上手く引き出せないという面については、ひょっとしたら、出し手との相性もあるのかもしれませんが、「止める」という部分に対する信頼が抜群であれば、ポジショニングに対する感覚が多少ずれていても、それなりにはボールは出てくるんじゃないか、なんて素人発想しますし、なによりボールを貰えた後の、ややイージーな失い方を見ると、実は、「止める蹴る」さえJ1レベルに追いつけば、藤田選手は鳥栖時代と同じくらいの活躍が大宮でも可能なのではないか、なんて妄想します。
対照的だったのが、途中出場してきた福岡の大久保選手。この選手も、「圧倒的なテクニック」ってタイプではないかと思うんですが、とにかくインサイドキックが丁寧なんですね。
キッチリと、野球のバットで言うところのスイートスポットにミートしている感じ。シュートシーンでも相手GKに向かって丁寧なインサイドキックでパスしたりして、或いは、その点に不満を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、個人的には、それで良いんだと感じます。
大久保選手の場合は、やはり日本人離れしたサイズがありますから、1.5列目でミスなく振る舞っていれば、それだけで相手にとっては脅威なんだと思うんですね。実際、この試合でも大久保選手が投入された途端に、相棒の高橋選手ががぜん躍動しはじめましたし。
試合は、各々1点ずつを加え、延長戦、さらにはPK戦にまでもつれ込み、福岡が勝利しました。両チームとも、出たメンバーが死力を尽くした好ゲームだったと思います。
それを象徴するのが延長戦の前半における1シーン。大宮は途中投入された青木、金久保の両選手に宮崎選手が絡んでいくの左サイドのトライアングルが試合の終盤を盛り上げていたのですが、おそらく、この3選手のうちの2人が、痛んで動けなくなった福岡の平石選手を持ち上げて、ピッチ外に搬出するという場面がありました。
思わず爆笑しましたが、なんか、このシーンが激戦となった一戦の全てを表しているように思います。