山口が町田を飲み込む!〜町田vs山口(8月7日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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夏休みの夜の野津田は、子供の頃のカブトムシとりを思い出させます。

■前半

山口のフォーメーションを確認したところ、一見すると433に見えたんですよね。しかも中盤逆三角形でなく、3枚フラットな。「中盤を1人減らして、最前線に人数を増やしているのかな」なんて思いながら眺めていると、庄司と三幸と幸野が3人並んでいるように見えてしまったのですが、よくよく経過観察していると、さすがのレノファ上野監督も、そこまでトリッキーなことはしない。442でしたかね。ただ、SHの島屋はFW寄り、三幸はボランチ寄りだったので、左右非対称に見えただけで。

 

 

去年は、その強烈な得点力でJ3を席巻した山口。合い言葉は“攻撃”です。リトリートして縦ポンなんてしません。なんならキーパーもドリブルしだす。味方CBを追い抜いてからボランチにパスを出すなど、もはやプレーメーカー。ただ、そういう強気なパスワークは、危険と隣り合わせ。ゆってもJ2中位のチームですから、1人1人の技術レベルが特段に優れているわけではない。パスミスもする。低い位置でパスカットされちゃ、あっという間に命取りになるわけです。

 

 

そんか危なっかしさ満載のミスを立て続けに犯すうちに、試合の流れを町田に譲ってしまう。そして、果たしてセットプレーから中村にゴールを奪われてしまいました。しかも、1点だけでなく、2点も。町田の決定力を誉めるべきかもしれませんが、それ以上に感じるのが、球技におけるリズムの重要性。球技には魔物が住んでいて、リズムが悪いときは、いつもなら簡単にできることができなくなる。逆にリズムが良くなると、練習でも決まらないようなシュートが決まったりする。中村の2ゴールは、そんな決まり方でした。

 

 

町田にとっては願ってもない展開。策士の相馬監督としては虎視眈々と、残りの60分間のマネジメントを計算していたことでしょう。しかし、そんな皮算用を御破算にするアクシデントが発生します。それはエース鈴木孝司の負傷交代。その時点ですでに山口がイニシアティブを握り返していたのですが、鈴木の交代で趨勢の転回が決定的なものに。イケイケの山口が島屋の2ゴールで試合を降り出しに戻してしまいます。完全に町田は飲み込まれました。

 

 

 

■後半

前半終了間際の流れ的に、「後半は町田が一方的にボコられるのかな?」なんて予想もしていたのですが、相馬さんを甘く見てはいけません。修正を施します。我々(元)男の子としては“修正”という言葉はあまり好きではありません。一生懸命に目を細めることによって、それを乗り越えられると思っていました。それくらい手ごわいのが修正。町田の修正力もそれに負けず劣らずの手強さで山口の行く手を遮ります。なんだかんだで後半最初の時間帯は互角の展開に引き戻します。

 

 

どうやって修正を施したかというた、中島というパワフルなストライカーがいるわけですので、その突進力を生かす場面が増えました。山口のカウンターに対してカウンター返しで応戦するような感じ。「縦に速い攻撃には、縦に速い攻撃を!」「縦には縦を!」ですね。昔、モー娘。安倍なつみが週刊誌にパンチラを撮られ、その前の週には飯田圭織もパンチラを撮られていたことから、我が敬愛する東スポ様は「安倍なつみは『パンチラにはパンチラを!』で対抗した!」と報じましたが、そんな感じ・・・?

 

 

ただ、相手の状態などお構いなしに自分たちのサッカーに邁進する山口には、そんなこと関係がない。前半からシャカリキにSBの小池とかが「前へ、前へ!」と突進しまくっていたように、とにかくハイテンション、ハイテンポにゴールを目指す。前線にボールを送ったら、そこからテンポを抑えることもなければ、パスを初めとしてマイナス方向へのプレーなんて選択しない。スターをとったときのマリオのようにシュートまで持ち込みます。

 

 

山口の素晴らしいところは、まず、そこの愚直さとそれを可能にする運動量(スプリント力)。そして、何よりも、プレーが生意気なところが良い。その最たるものがサイドチェンジです。普通のチームなら、「そんな確率性の低い、長いレンジのパスなんか出すな!」「技術が追いつかないのだから、欲をかくな!」と言われそうなものですが、それを堂々とやってのけるのがレノファ山口。上野監督の素晴らしいチームマネジメントです。そんな山口に勝利の女神は微笑みかけます。途中出場のボランチ星が決勝点を叩き込み、山口が、“らしい”勝利を収めました。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

・庄司悦大

□推薦理由

この試合は、ちょうど選手紹介くらいのタイミングでスタンドに到着したのですが、コンコースを歩いているときにこの選手が紹介された模様。町田サポから歓声まじりのブーイング。なぜならば、かつての町田の10番様だから。今も昔も、この選手のプレースタイルは変わらない。一言で表現するならば“エレガント系レジスタ”、王様です。町田の王様だった10番は、ユニフォームの色をオレンジに替えて、今なお10番の王様としてエレガントにゲームメークしています。

 

 

にしても、ほんと、流麗ですよね、山口の生命線ともいえるサイドチェンジも、この選手が出せば、いとも簡単に成功してしまう。前へ前へと走り込めるのは、この選手が針の穴を通すようなスルーパスを出してくれるから。球足の長いパスのクオリティが非常に高い。お世辞抜きで“憲剛2世”と称しても不当ではないのではなかろうか。いったんはJ3にまでカテゴリーを落としたのだから、いろいろ欠点もあるんでしょうけど、それ以上にスタンドをヨダレが出るくらいに魅了できる選手だと思います。