矢尽き刀折れPKに散る〜栃木SCvs流通経済大学(8月29日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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いろいろあって栃木SCを今年は見れていなかったので、天皇杯をば。

■前半

天皇杯。そして、相手は流通経済大学。そりゃ知りませんよ、選手とか、フォーメーションとか。なので流経中心に、いろいろと確認。湯澤とかJリーグ内定の選手がいますので、そのあたりをポイントに見ていく。流経には湯澤聖人の他に古波津って選手の名前も知っていて、この選手はこの日対峙した栃木の特別指定。『エルゴラッソ』では4231のトップ下予想でしたが、433の右インサイドハーフでしたかね。4番がアンカーで13番が左。4141かもしれませんが、ともあれ中盤は逆三角形。

 

 

その古波津、ナンバー10を背負っているように、どうやら中盤のプレーメーカーらしい。見た限りだと地蔵系っぽいので、プロに入ってどんなものか懸念がなくもないですが、戦術上の理由であまり上下動しなかっただけなのかもしれません。

 

 

そんな古波津とは対照的にアグレッシブだったのは、栃木の河本。この選手は流経のOB。きっと先輩として後輩諸君に向かって、「これがプロじゃ、これがオトナの世界じゃ!」ってのを示したかったのでしょう。長髪のたなびかせ方なんて、「ほれほれ、大学のうちだと監督が怖くてチャラつけないでしょ! プロになったらロン毛も許されるぜ!」というのを見せつけようとしていたとしか思えないですもん。ともあれ、そんな前半戦。

 

 

■後半

前半からそうだったんですけど、後半に入っても、あまりスコアが動く気配はしない。もうね、攻め倦ねるんですよ、栃木が。栃木を格上としてリスペクトしたからなのか、普段通りのやり方なのか、流経がひいて守る。そして、ひいて守る流経を栃木が崩しきれない。天皇杯においては、あまりにもお馴染みとなった構図ですけど、栃木もそこの蟻地獄にズルズルと引き込まれていく。

 

 

そこで、状況を打開すべく、栃木は金子翔太を投入します。エスパルス期待のホープは育成型レンタルで栃木に加入したらしい。この金子が良かったですね〜。というか、他のアタッカー陣が悪すぎたのかもしれません。先の河本をはじめ、阪野・中美・小野寺・広瀬と前寄りの選手はみんな大卒で、河本と中美は流経OB。こういう大卒の選手たちって、「大学生=未熟な頃の自分」ですから、「大学生には負けられない」とか「大学生ごときに負けている場合ではない」という先輩意識が強くなりすぎて、肩に力が入りまくるのかもしれませんね。その点、金子はユース育ちのエリート。ヘンに大学生を意識することもないでしょう。しかも、なんなら自分より年上だったりしますからね、「上位者としての沽券を示さねば」って力むこともない。その軽やかな身のこなしは、センスもさることながら、自然体だからこそ発揮できたって部分もあるんじゃなかろうか。

 

 

ともあれ、それでも栃木は流経のゴールを割れないのです。そりゃそうですよね、普段のJリーグにおける立ち位置的に、「亀になって守る相手から、いかに得点を奪うか」みたいな練習をやっているわけがないですから。攻めれば攻めるほど、攻撃している側にもかかわらず、どんどんどんどんヒットポイントが減っていき、優位に進めているはずが、なぜか“矢尽き、刀折れ”みたいな状況に追い込まれていく。時間の経過とともにアイデアを出し果たし、スタミナ(=動きのキレ)が奪われていく。延長戦でも決着は付かず、そしてPK戦でまさかの敗北を喫することとなったのも、それほど大どんでん返し感はしなかったですね。攻撃をやり続ける耐性の欠如が、勝敗の分かれ目だったと思われます。

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

流通経済大学の9番(中村慶太)

□推薦理由

この試合の流経は総じて小兵系の選手が目立ってました。具体的には右ウイングの8番(西谷和希)とか、トップの16番(渡辺直輝)とか。その中でも特に目をひいたのは、9番のこの選手。長崎への入団が内定しているんですか? なんか、意図したプレーなのか、偶然の産物なのかはわかりませんが、トリッキーに小刻みな連続タッチから相手DFを翻弄するようなスルーパスとか出していましたよ。

 

 

ドリブルもできるテクニシャンって感じで、香川っぽいっちゃ、香川っぽい。やっぱり、こういうプレースタイルだと、キレがとても大切になってくるわけですが、こと、キレに関して言えば、プロよりも大学生の方がパラメーターは高いですからね。フィジカルの強さは30代になっても衰えませんし、テクニックも熟練の妙がキーファクターになる。ただ、キレだけは20歳前後がピーク。そういう若者特有の、20代半ば以降はどうやっても失ってしまう要素を、いかにチームに注入していくか、若者の大抜擢に対し、相対的に慎重な国民性の日本代表にとっては、重要な課題なんだと思います。