野津田がこれを糧にすること祈りつつ、三月八日は美南記念日に思いを馳せる【広島vs浦項】&【なでしこvsドイツ】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■広島 0 vs 1 浦項[ACLグループL 04月02日]

ACLって、だいたいそうなるんですけど、キックオフしてからしばらくは、互いに様子見するような展開になりますよね。ただ、そのような社交辞令を交わしている最中にトラブルが広島を襲撃します。青山が膝に違和感を覚えてピッチを去ってしまうのですね。そして、その動揺が収まらないうちに浦項が先制。

左SHのコ・ムヨルが起点となり、左サイドに寄ってきていた右SHノ・ビョンジュンとワンツー。綺麗に折り返すと、走り込んできたFWペ・チュンソクが丁寧に合わせて、西川の牙城を崩しました。練習中のケーススタディで繰り返しそうな‘3人での崩し’。シンプル・イズ・ベストなゴールでした。

ただでさえターンオーバーやらコンディション不良やらで森崎兄弟を欠き、ミキッチと山岸もベンチスタートの広島。その上さらに青山を失い、先制を許すとなると、なかなか厳しい。ちなみに森崎弟は足に故障があるようですね、アナさん情報によると。最近試合に出ていなかったものですから、また、厄介なアレかと思って密かに心配しておりました。

ともあれ、この後は、〈広島が攻めて浦項が守る〉といった展開が試合終了まで続きます。ただ、では、広島が浦項を圧倒していたかといえば、決してそういうわけでもなく。広島も悪くはなかったのですが、なんというか、浦項を上回れないんですね。特に中盤で。

浦項は鹿島っぽいというか鳥栖っぽいというか、過不足なく適正な人数を配して重厚なブロックを構築し、不用意にバランスを崩したりはしないサッカーを展開します。日本では〈守る〉という行為は、ときに〈耐える〉という形容のされ方をするわけですが、浦項にとって〈守る〉は、あくまで〈守備をする〉以上でも以下でもない。だから〈攻められる〉と〈ピンチ〉も同じ意味にはならない。

そうやって、淡々とふてぶてしく守る相手に対しては、それを凌駕する、なんらかの‘スーパー’が必要になるのですが、この日の広島には、それがなかった。この日のメンバーで唯一それができそうなのは高萩で、‘高萩vs浦項’くらいの構図で後半は試合が進んだものの、二の矢・三の矢が続かなかった。サンフレッチェなのに。

繰り返しになりますが、青山の負傷退場が痛かった。これによって浦項を攻略するだけの構成力が中盤から失われてしまいました。青山が退いて後、415の「1」の役割を野津田が担って、野津田は野津田で積極的にミドルシュートを撃つなど悪くはなかったのですが、やはり、この舞台ではいささか荷が重かったかもしれませんね。相手を揺さぶるための計算されたバックパスなら良いのですが、そのような逆算の感じられない‘逃げ’のバックパスが目立っていたように思います。選手層も含めて、広島の単純な力負けでしょう。

■なでしこ 1 vs 2 ドイツ女子代表[アルガルベカップ 03月08日]

序盤はドイツが一方的に攻めました。ドイツのサッカーって、女子も男子も、よく似ていますね。ただただ、ひたすら合理的。縦に速くサイドを攻略するのがファーストチョイス。それがダメなら真ん中に当ててショートパスを交換する。ボランチは的確かつダイナミックに展開し、危険な位置ではシンプルさを第一に。さすがは、政治も経済も戦後補償も、どれをとっても‘欧州の優等生’。何一つ無駄がありません。

それに対し、我らがなでしこは浮き足立つにも程がある。全然、パスが繋がらない。相手のプレスをいなせない。「ひぃひぃ」言って凌ぐだけって時間帯が、15分近く延々と続きます。そりゃ先制点も奪われてしまうってものです。

コーナーキックからの混戦をドイツが根性で繋ぎ続け、なでしこもなかなかクリアできなくて、なんとなくグダグダしているところで、ゴールを献上してしまいました。男子ほど「しっかりクリアする」って感じにならないのは女子サッカー的には致し方ないとはいえ、もう少し洗練された守備が見たかったかな、と。

まぁそれでも前半の半ばにはショートカウンターからペースを引き戻します。大きく攻めるドイツのパスを高い位置でカットすると一気に日本のチャンス。逆に、中盤を通過されると押し込まれて、奪い返した後も低い位置での組み立てを狙われて、ドイツの時間帯になる。「中盤までに奪うか、それを交わされるか」の攻防が非常に見応えあって、そういう時間帯に挙げた同点ゴールには価値があります。

大儀見が中盤で獲得したFKを、宇津木がゴール前に放り込むと、田中美南が上手く反応して、同点ゴールを叩き込みました。「あなたがシュートを決めたから、三月八日は美南記念日」。はっきり言って簡単なサラダ、切って盛るだけの簡単サラダ。もちろん、止めて蹴るだけの簡単シュートじゃなかったですけどね。

後半なると荒天の不良馬場に両チームとも悪戦苦闘しますが、いち早く順応したのはドイツ。というか、大嵐になると、キーパーは大変なのです。マロジャーンが遠い距離からのフリーキックをPAに放り込んだら、海堀が目測を誤って、そのままゴールインしてしまいました。まぁ、気の毒ですけど、昨日今日にキーパー稼業を始めたわけではないので、いわゆる一つの‘大ちょんぼ’ですな、往年の南雄太とか曽ヶ端準もタジタジとなるくらいの。

後半のなでしこは、田中陽子を投入してアグレッシブに戦おうという姿勢を見せたものの、‘ちょこまか動き回る系ボランチ’というのは功罪相半ばするもので、田中明日菜が示していた重厚感が中盤から失われたことにより、なかなか奥行きのあるサッカーを見せられませんでしたね。実験段階ゆえの完敗でしょう。