欧州の名門による川中島決戦を堪能しつつ、日本代表にとって間が悪くならないかどうかを杞憂する【レアルvsマンU】&【日本vsラトビア】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■レアル・マドリード 1 vs 1 マンチェスター・ユナイテッド[チャンピオンズリーグ 02月15日]

ホームのレアルが押し気味だったんですけど、マンUが先制しましたね。コーナーキックウェルベックが頭で合わせたもの。そのコーナーを奪ったプレーには香川が絡んでいたので、日本人による日本人のための日本人びいき全開で物を言えば、「やったぜ香川!先制点をお膳立て!!」ってことにならなくもない。

もちろん、レアルも、そのまま引き下がったりはしません。キリスト教文化圏ですから「左頬をぶたれたので、右頬っも出します」となるのかと思いきや、「目には目を、歯には歯を、ヘディングにはヘディングを」のハムラビ法典的価値観をクリロナが発動させて、同点に追いつきました。

その後もレアルが圧倒的に攻め立てますが、それをマンUが受けきって、11のままタイムアップ。アウェイゴールを奪った分だけ、若干ながら軍配はマンU寄りに上がったと言えるでしょうか。

名門同士の対決に相応しい、がっぷりよつの展開になりましたね。尤も、バルサやスペイン代表の派手で分かりやすいパスサッカーが世界を席巻している昨今のトレンドを鑑みると、ややもすれば退屈に感じなくもなかったのですが、息詰まるような緊張感に体中が包み込まれる重厚な一戦だったと思います。

レアルのホームということもあってか、基本的には〈攻めるレアルと守るマンU〉という構図が90分に渡って続いていました。とはいえ、この構図はレアルにとって有り難くなかった可能性もあります。この試合を見る限り縦への推進力を生かしたスピーディーなカウンターが発動したときのレアルの攻撃は、前線の4人が盛んにポジションチェンジを繰り返し、流動的で迫力に溢れていた一方、遅攻に移行した後は、やや棒立ち気味になっていましたので、「あんま、守備的に来てくれるな」ってのがモウリーニョの本音かも。

モウリーニョのレアルがカウンターに特徴を持つチームであるということは周知の話ですので、ファーガソン的にも、敢えて〈持たない〉という戦術を採ったようにも思えます。といいますのも、CMFというべきかボランチというべきかはわかりませんけど、中盤センターが、ジョーンズとキャリックというDF兼用のコンビでしたから、〈打ち合うのではなく、受けきる〉という狙いが透けて見えるように思われるのですよ。

この中盤構成の負の影響を、モロに被ってしまったのが香川だったかと思われますが、ともあれ、〈慎重に攻めるレアルと、じっくり守るマンU〉という、重たい展開。この、実力者同士の重厚な叩き合いを見ていると、どことなく上杉謙信武田信玄が、ただただ睨み合っていたという、第何次だったかの川中島合戦が想起されてきました。

ちなみ、バルサ織田信長ですかね。信長は、良くも悪くも超個性的で、一応、天下の第一勢力に上り詰めたわけですから、バルサに似ている。ということは、盤石に見えるバルサも、ある日いきなり崩壊してしまったりするのでしょうか?

■日本代表 3 vs 0 ラトビア代表[キリンチャレンジカップ2013 02月06日]

圧倒的に攻めている割には一向に得点の気配がしなかった前半でしたけど、ちゃんと先制しましたねぇ。右サイドで粘り腰を発揮しまくりで繋ぎつつ、清武が仕掛ける。清武は潰されながらも、気合いで残して、内田が、グランダーのキック。岡崎が詰めてゴールをこじ開けました。

後半10分くらいの追加点は、まさに、おあつらえ向き。香川が左サイドをドリブルで進入して、シンプルに中に入れると、走り込んだ本田がダイレクトで合わせてミドルシュートを突き刺しました。香川と本田のコンビプレー。うん、名波と藤田俊哉のコンビプレーくらい興奮します。

これでラトビアの集中力が切れたのか、たまたま「そういうこともあるよね!」ってことに過ぎなかったのかは分かりませんが、ともあれ、2点目を挙げた直後に3点目もダメ押しました。決めたのは岡崎。少し緩んだ展開になると、岡崎って急激に決定力が向上しますよね。

というわけで、ザックらしい〈そつのないテストマッチ〉っぷりを堪能させて頂きました。刺激という要素においては、物足りない部分もなくはなかったですけど、大津もテストされましたし、まぁ、宜しかったのではないでしょうか。

この試合を見ていて思ったのは、熟成を第一とする慎重居士なザックさんのスタイルというは、時に隔靴掻痒なシチュエーションを招いてしまうんだな、ということ。勿論、慎重であることによって、現在の安定感を生み出しているわけですから、それを一面的に批判するというのはアンフェアではありますけど、世の中、何事にも例外なく功と罪が相半ばして、全てがバラ色のユートピア状態というのは、基本的には存在しえないんだなぁ、と。

「・・・なんのこっちゃ?抽象的なことばかりタラタラタラタラと…」って話ですよね。えぇえぇ、分かります、分かります、自覚しておりますよ。いやですね、つまり、「香川を外すに外せないんだろうなぁ。。。」と感じたのですよ。

この試合(も?)、特に前半の香川って、結果こそ残しましたけど、正直あんまり良くなかったですよね。どうも躍動感に欠くというか、なんとなく他人行儀というか。そもそも、所属チームでの状況を考えると、‘絶好調’ってことはないでしょうし。でも、ザックは香川を先発させるわけですよ。そこが熟成を重視する慎重居士の哲学なわけで。

同じように長谷部や岡崎も、所属クラブでそれほど大活躍しているわけではないながらも先発からは外れない。逆に、〈今が旬!〉感がプンプンと香ってくる乾やら宇佐美やらが大抜擢されることもない。繰り返しになりますが、「それが悪い」というわけではないですけど、どうしても〈序列が上がった頃には旬を過ぎていた〉ってことになるリスクが付きまとってしまいます。

例えて言うならば、女の子の集団で、絶対エースの影に隠れながら、少しずつバラエティなどで実績を重ねて漸く序列が上がってきたと思ったら、謎の坊主頭を余儀なくされ、ますます遠藤(=ガチャンピン)化してしまって、旬を逃しかねなくなってしまうとか、あるいは、何年も地道にお茶の水の近辺でステージを重ねていたところ、馬券が当たりまくり、「いざ、ソロデビュー!」みたいになったタイミングで謎のリタイアをしたり、「そういう手ブラは公序良俗に反する!!」ってことになってしまって勢いが頓挫してしまったりするとか、そういうことがザックJAPANで将来的に発生しないとも限らないな、と。乾とかが、いわゆる一つの‘間が悪い’状態ってヤツにならないよう、ザックさんには、よろしくお取りはからいの程をお願いするしかありません。