前々回のエントリーの続きです。
いや、ワタクシ、今シーズンの開幕前から「今年の甲府は苦労するかもしれないな」と考えていました。なぜ、そのように考えたか。
一言で言えば、監督交代の印象が悪すぎる、というのが理由です。かつて甲府は大木監督による個性的なサッカーでJ2を席巻し、J1昇格を果たしました。J1でも「甲府のサッカーは面白い」との定評を得ましたが、2年目は選手の出入りに翻弄される形で降格してしまいます。
降格の責任を取って大木監督は辞任し、安間監督が後を受け継いだわけですが、信念を曲げずに真っ向勝負で甲府のサッカーを表現し続けた大木さんに対するフロントやサポーターの信頼感には、非常に強いものがあったように記憶してます。
そのような誕生過程もあり、安間政権はあまりフロントから歓迎されていなかったのではないかなんて邪推しています。フロントはできれば大木さんの続投、それが無理なときでも、少なくともある段
階以降は、安間さんの他に意中の候補がいたんじゃないかな、となんとなく感じることがありました。
「本当は別の人にやってもらいたいけど、選手が「どうしても」って言うから、仕方なくコーチから昇格させてやるか、やれやれ」みたいな。
もちろん部外者がメディアを介して感じているだけですから、事実かどうかは極めて疑わしいわけですが、安間さんのインタビューを読んでいると、「J1に昇格しなければ自分はクビ」という悲壮感を感じることが少なくありませんでした。
で、実際に2年連続で昇格を逃したことにより、安間さんは職を去ることになりました。
ただ、 安間さんが残した成績は、責任をとって退任しなければならないようなものだったのか。
ワタクシは割と単純といいますが、原理主義的にものを考えます。この場合、資本原理主義といいましょうか、要するにチームの成績とクラブの予算は基本的に比例するものだと考えているんですね。
だから、クラブの予算規模が上から3番以内にも関わらず昇格を逃したとすれば、現場の責任かと思います。
一方で予算規模が4番目以下で昇格に失敗した場合、責任の所在はフロント、具体的には営業部にあるんだと思うわけです。
そのように考えたとき、甲府の予算規模はどうだったのか?
これはなかなか微妙なところですね。なんだかんだ言って、J1昇格バブルを経験して、(J2の中では相対的に)貧乏クラブではなくなりましたからね。
ただ、そうであったとしても、もう一歩の4位、という成績で責任問題が発生するほどの状況ではないでしょう。
ならば、あの戦力で優勝できなかったクルピさんは、とっくにクビだろう、と思ったりします。
穿った見方に過ぎるかもしれませんが、ひょっとしたらフロントは
「シメシメ、これで内田さんを監督に据えられる」
とか思っていたんじゃないかな、なんて妄想します。
甲府は、他のJクラブと比較しても群を抜いて地域活動に熱心ですよね。まさに地域密着のお手本のようなクラブで、それは小瀬のスタンドに行ったことのある人なら納得できるところでしょう。
そんな地域密着な甲府ですから、地元出身者へのこだわりも強い。韮崎高校OBの中田英寿さんに対し「現役最後の一年だけでもヴァンフォーレで」というラブコールを送り続けていたのは有名な話でしょう。
ただ、そんな甲府も、より一層のステップアップを目指して、新たな血を導入しました。大宮からヘッドハンティングした佐久間GMです。そして、その佐久間さんの連れてきたコーチが内田さんでした。
おそらく佐久間さんと安間さんは、サッカー観が噛み合わなかったのではないでしょうか。一方で佐久間さんと内田さんは、かつての先輩・後輩関係ですから、サッカーに対する考え方がバッチリ一致する。結局、佐久間さんを取るか、安間さんを取るかの二捨択一で佐久間さんを選んだということではないかと思います。
監督とGMを天秤にかけたとき、GMが優先されるというのは、組織として当然の選択だったかと思います。
ただ、選手にその論理が通じるだろうか、とも感じます。しかも甲府に関わるようになったのは佐久間さんの方が後ですからね。安間さんの退任に、釈然としない思いを払拭できずにいる選手がいても不思議ではないな、と。あるいは杉山選手が放出されたのも、その辺りの事情も関わっているんじゃないかと、これまた妄想します。
と、つらつら内部事情を全く知らない部外者が、たまたま目に止まった状況証拠を恣意的に積み重ねて、安間さん退任のシナリオを妄想してきました。当事者の皆様からすれば噴飯の連続だったかもしれませんが、仮に、そういう事情での退任劇だったとすれば、「選手は納得しないんだろうな。だったら今年は苦労するかもな」なんて思ったわけです。
まあ、結局、甲府は見事な立て直しを見せ、圧倒的な連勝街道を邁進しましたので、ワタクシの妄想は文字通り妄想だったということでしょう。
そもそも安間さん云々と内田さんの手腕そのものは別問題ですから、そんな心配自体が杞憂だったのかもしれませんね。
反省、反省。