□お出汁の文化ダービー
泣く子も黙る“うどん県”、それが香川県ですね。2000年あたりでしたっけ、吉野家になる前のはなまるうどんが東京で店舗数を拡大して、それと前後するように讃岐うどんもメジャーになりました。丸亀製麺はその少し後だったはず。ちなみにこの日のワタクシは「まごころ」という製麺所直営店でランチしました。とはいえ“東京が蕎麦なのに対し……”という理念的なうどん文化としては大阪も負けていません。かすうどんとかがわかりやすい例でしょうか。
ちなみに江戸が蕎麦で上方がうどんなのは水質の差がどうのこうのとか。江戸の水はカツオ出汁に合うので醤油が好まれ、結果、蕎麦の文化になった。上方の水はコンブ出汁に合うので、透明ないわゆる“お出汁”が好まれ、結果、うどんの文化になったとか。確かに関西では蕎麦も“お出汁”で食べますよね、ホロホロになるまで湯がいて。料亭風の蕎麦になる。たぶん、讃岐うどんの興隆も“お出汁”の文化と無関係ではないでしょうから、“お出汁”の文化同士の対決ということになりますかね、この試合。
さて、神戸から高松までジャンボフェリーで乗り込んできた?セレッソは、(この試合はカップ戦ですが)リーグ戦ここまで1勝2分3敗で18位。好調とは言えません。アーサー・パパス監督の苦労も絶えないわけですが、そもそも“元マリノスのコーチ”って、その後の監督キャリア的には怪しい人が多いですよね。四方田さんが作り上げた横浜FCをあそこまで清々しく台無しにしたハッチンソンの例が頭にこびりついて離れない。
迎え撃つカマタマーレはリーグ戦ここまで2勝2分1敗で5位につけてます。近年の成績を基準とするなら、好調と言って良いでしょう。米山さんはこのまま盟友の小林慶行のように評価を上げていくのか、同じく盟友の林健太郎みたいな成績で苦戦するのか、はたまたやはり盟友の戸田和幸や森岡隆三くらいの、何とも言えない塩梅なところに落ち着くのか。ここで名前をあげた面々は李国秀チルドレン。いろんな意味で強烈なイデオロギーを共有していた軍団(教団?)ですからね、申し訳ないですが、いまだに十把一絡げにしてしまいます。
□20分の陥落
というわけでピッチに目を移します。まず、セレッソですが、わてらの攻撃力をお見せしまっせフォーメーション。ファーストトップに9番のハットン、ISH予想でしたが多分トップ下だった55番ブエノはセカンドトップともいえる。右WGには77番のルーカス・フェルナンデスで左WGは11番のアンドラーデ。ブラジル人カルテットで攻める。4人中3人がゾロ目。セレッソのスタメンには他にも44番の畠中も。もはや畠中がランディに思えてきた。
4人のブラジル人か攻めて6人の日本人が後ろを固めるセレッソに対して、カマタマーレは川西が攻めて9人で守る。当たり前ながら防戦一方の中、目に止まったのはWボランチと右SB上野。Wボランチの吉田陣平と竹村は背番号が96番と4番。96は4の倍数ですし、96と4を足したら100。4×24+4×1=4×(24+1)ってヤツです。それから24番(4×6)の上野輝人は攻守に奮闘してましたね。J1のプレースピードや強度に臆せず対応できていたような。
ともあれ前半の攻防ですが、カマタマーレの専守防衛も20分が限度。セレッソ右SB奥田が崩して中に送ると最後はアンドラーデが決めました。正直、両チームに差はあった。ボールを置く位置とかトラップの大きさとか判断速度とかで引けを取ったカマタマーレは簡単にボールを失う。「これはいかん」とばかりに米山監督は右WGで先発させた宮市を右CBに配置転換。システムを4ー5+川西から343に変える。スポナビでは試合前からこの形が予想されてました。ってなことがありつつ1点差でハーフタイムを迎えます。
□同点からの実力相応
後半に入るとカマタマーレも前からハメにかかります。そしてそれがそれなりに機能する。高い位置でボールを奪えるようになると、上野がドリブルで突進してセレッソのオウンゴールを誘発することに成功。カマタマーレが同点に追いつきます。とはいえセレッソを浮き足立たせるには至らない。気を取り直したセレッソは、頭上を越えて背後を取るパスから中央突破したハットンが勝ち越しゴールを決めます。前半のアンドラーデ、そしてハットン、こうなればルーカス・フェルナンデスとブエノも黙っていない。
ハットンからのプレゼントパスを受けて奪ったPKを自ら決めたルーカス・フェルナンデスが3点目をきっちり決めると、仕上げはブエノ。3点目を奪われて緊張の緒が切れたカマタマーレの緩慢な対応を突いたブエノがやすやすと4点目を流し込む。これで勝負は完全に決まりました。このあたりは香川の投入も大きかったかもしれません。良くも悪くも前時代的な香川のポゼッションスタイルが、セレッソにリズムと落ち着きをもたらし、カマタマーレは手も足も出なくなります。試合終盤には途中出場の北野&上門で5点目をゲットしただけでなく、“秘密のまま兵器”疑惑もあったジャルンサックウォンコーンも投入される。2度ほどあったチャンスをものにできず外国籍選手5人揃い踏みとはなりませんでしたが、セレッソサポとしてはフルネームで“ジャルンサックウォンコーン♪”って一息に叫ぶチャントも披露できて満足度の高い勝利になったのではないでしょうか。